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ただただただ。の裏側で  作者: けー


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世界の変化 城崎視点

誰だそれ、な人視点。

五章のダンジョンができ、魔物が出てきてる辺りです。



 ダンジョンができたと世界が大騒ぎになったが、だからと言って大都市に住んでもいない俺の生活が何か変わったわけではなった。


 ただ突如出来上がったダンジョン。その中に入り動画を投稿する人などもいたようだが、俺にも興味もないことだった。

 連日の報道も似たり寄ったりで、そろそろ飽きてきたと思い始めたころ、それは突然人類に牙を向いた。


 魔物の氾濫。


 最初はそれを信じることなんてできるはずもなかった。テレビに映る光景はまるで映画のようで、我が身に振りかかっていないその時にどうやって信じろと言うのだろうか。


 その時点では付近にダンジョンはなく、どこか遠くの国で戦争をしているというニュースと、なんら変わりない感じで見てしまっていた、と今なら思う。


 その恐ろしい存在は近くまでやってきていたというのに。


 ましてや自分は妻も子も失った男やもめ、守る者を失っている俺からするとどこか気楽に考えてしまっていた。


 探索者組合と言うものができることは会見で見ていて、それもいいかと考えたが他県と言うことも有り、考えはすぐに止めた。

 すでに魔物が出ている地域だ、わざわざそんな所に行くのもどうかと飽きたテレビを消したことを俺は後々後悔する。


 そのまま見ていれば、ダンジョンに対するニュースをもっとちゃんと見ていれば、他人事と片付けていなければ、きっと俺のこれからはもう少し変わっただろう。



 魔物が出たからと言って俺の住んでいる辺りは平和そのもので、生活に変化はすぐに起きなかった。

 仕事に行って帰ってきて、嫁と生まれなかった我が子に手を合わせる。それでも嫁の言葉通りに備えは俺なりにしていた。


 防災グッズや避難用の鞄、元々は嫁が準備していた物だ。


 それを確認しながらあいつが言っていた「備えあれば憂いないし」と、いつも笑っていたのを思い出す。


 それが役に立つ日が来るなんて、俺は露ほども思っていなかった。

 しかもそれがただの災害ではなく、紛れもない文字通りの天災だと誰が思うだろうか。



 人が生きていくために必要な物。それは紛れもなく食料で、それがなければ人は自然と死んでしまう。


 その日も車に防災グッズなどを念の為に乗せ、俺は早朝から食料の買い出しにスーパーに行くことにした。

 最近はめっきりと入荷数も減り、様々なところと物流が上手く行っていないことは明確だ。

 その為、家の辺りより栄えている隣町の大きなスーパーまで車を走らせた。


 そうして徐々に自分の生活にも影響が出始めていることを身に感じながら、それでもまだ俺は楽観的に、まだ見ぬダンジョンと魔物など国がどうにかすると、いつになったら動くのか。そんなことを思っていた。


 車を走らせ徐々に栄えている中心部に近づくと、何かが違うと違和感を感じ始める。なのにその違和感の理由がわからない。

 風景が変わったわけでも、何かが壊されているわけでも、何もないのに何かが違って思えた。


 もう暫く車を走らせて、漸く俺が感じた違和感は車の少なさだったのか、と気付けた。路肩には止められた車がいつもより少なく感じ、人気のない街になっている気がする。


 どうする? 隣町にダンジョンができていたとは聞いていない。なら違う何かが起こっているのか? だからと言ってサイレンや騒ぎが起こっているようにも思えず、違和感や異変は勘違いと言える程度の物。


 一瞬悩んだが俺はそのまま車を予定地まで走らせたのは、たぶんどこかで、失った物の大きさから破滅願望でもあったのかもしれない。



 大型スーパーや商業施設が立ち並ぶ区域に行けば、いつもなら人が溢れ車が多く止まっているのにその姿もなく、どうなっているのかとそのまま駐車場の中を車で一回りしてみる。


 所々に赤い物が見える気がする。それはスプレーやペンキではない赤黒い物。

 脳裏に過ぎるのは魔物だがそれにしては静かな気がして、騒めく心を落ち着かせるように車を移動させればそれは目に入った。


 足を引きずる女性が子供と手を繋ぎ、走れない足で走っている。その後ろに迫るのは、小汚い緑の小鬼。

 手に持ったナイフのような物で狩りを楽しむように、にやにやとした醜悪な顔をしている。


 俺はその姿にアクセルを踏むと小鬼を跳ね飛ばし、すぐにブレーキを踏む。

 母子側の窓を開け、車の鍵も開け大きく叫んだ。


「乗って! 早く!」


 驚いた顔をする母子には悪いが、小鬼はまだよたよたと立ち上がる。その足では大変だとすぐに気づいて、俺は車から飛び降りる勢いで出ると母親を抱き抱え後部座席に乗せ、子供も乗せた。


 すぐに運転席に戻りそのまま急発進で小鬼を引いて車を走らせれば、頭の中で鐘の音が鳴った。だが、今は気にしてなんかいられないだろう。異変を感じたのかスーパーの中からあの緑の小鬼が大量に出てきたから。



 俺はアクセルを全開にただ車を走らせて、そこから離れてから漸く、これからどうするべきか考えてなかったことに気が付いた。



パソコン早く使えるようになりたいです。

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