没部分
「面倒な結果」の終わりの方に考えた部分です。
「そうですね、姫様の好みがあれば私は考慮はしますがありますか?」
何でもないことのようにいつもの微笑みで、急に言い出す智さん。それに対してどう反応するべきか悩むのはあたしだ。
「好みなあ、あんまり考えたことないんよなあ」
「とりあえずあたしより弱いのは却下で」
「それってかなりの無茶やんな?」
お姉の言葉につい反応してしまう。このメンバーより強いって今の世界で、中々無茶じゃないのか? 条件によってはあたしもお姉に負けるぞ?
「朝から何の話ししてるの?」
「絵里子の好みの話し?」
「いや違うから、この後どうするって話しをしてたはずやねん」
眠そうに起きてきた信也さんと武雄くんが、揃ってやってきて聞いてくる。話題が逸れていると最初の話しに戻そうとあたしは言うが、お兄ちゃんは面白がって広げようとする。
「絵里子に群がる男をどうするか、から、絵里子の好みと条件の話しになってるわ」
「それ俺、気になるんだけど」
「恵子は自分より弱いのは却下やって」
「まあそう言うだろうね」
「武雄くんまで納得する!? おかしくない?」
「姫様の周り考えたらそうなるんじゃない?」
頷く二人にため息が出そうになる、あたしとしては勘弁してほしいんだけど。
「それで姫様の好みって?」
「好みってあんまわからんのよねえ、考えたこともあんまりないし」
「高校の頃、優しい人とか言ってなかったか?」
「あー、まあ聞かれる話題やからな」
女子が集まればそんな話題ばかりだ。当たり障りのないこと言って流していた記憶がある。拓斗もわかって言ってきてるから質が悪い。
「それって基本条件やろ? あとは絵里子を安心させれる奴やなあ」
「なんでお姉が条件出してるねん?」
お兄ちゃんと拓斗が爆笑しているけど気にしたら負けなんだろう。
「それ言ったらみんなはどうなん? 特に拓斗は昔からはぐらかしてたよなあ?」
「俺なあ、女作るん面倒やったからなあ」
「モテる男やな、そう言っても定期的に付き合ってたやん?」
「それお前もやん?」
お互いにリアルタイムで過去を知っているだけに面倒な。あたしはさっさと矛先を変える。
「とりあえず拓斗は可愛い系のはず、智さんとか秀嗣さんは?」
「私はそうですね、一生懸命な方は好ましく思いますよ?」
「俺はそうだな、人を思いやれる人か?」
「もうちょい具体的にはないんでしょうか?」
そう聞いてみても智さんはいつもの微笑みで躱し、秀嗣さんはこう言った話しは苦手なのか、いつもより苦笑が深い。
「信也さんと武雄くんは?」
「俺は姫様が好み」
「俺もだよ、信也と今はライバルしてる」
「そうゆう冗談今いらんー、本音言おうよみんなー」
この際だと面白がって聞けば、冗談で返されてあたしは子供のように拗ねたフリで言う。それにお姉とのり君は普段と変わらずに、拓斗が爆笑して残りが間抜けな顔をするからあたしが戸惑った。
「なあなあ、絵里子」
「なによ?」
笑いがまだ収まらない拓斗があたしを呼ぶから顔を向ける。真っ直ぐにあたしの目を見て笑顔で拓斗はただ一言だけ口にした。
「好きやで」
「あたしも好きやで」
そのやり取りに周りの間抜けな顔が余計に間抜けになる。ただその様子を見て拓斗の爆笑が再開して、秀嗣さんはどこか納得の表情を見せた。
「ひ、姫様、私のことどう思いますか?」
「好きやで、何当たり前の事聞いてるん?」
不思議に思い首を傾げ智さんを見れば、拓斗だけがただ笑い周囲が止まった。
「ちょお、この妹マジでぽんこつ?」
「絵里子は昔からこんなんやで」
「そうですね、高校から変わりませんよ。あの頃はここまではっきりと好きって言葉にはしませんでしたけど」
お姉と拓斗の言葉にお兄ちゃんが何とも言えない顔で、残念なものを見る目であたしを見てくる。
「あの頃は変な勘繰りとかあったし面倒やったやろ、あたしとたっちゃんの噂、あんたも知ってるやん」
「あれな、弱ってた達也の相談乗ってただけで中々いい噂ながれたなあ」
「笑い話ちゃうわ、あんたを好きって言う子に呼び出されたこともあったし」
「なんか達也が言ってたな」
「今となったら笑い話やけどなあ」
あの頃を思い出してついあたしも笑ってしまう。男女と言うだけで多感なお年頃は大変でした。
つい二人で思い出話しに盛り上がってしまう。本当に色々ありましたねえと。
そうこうしていたら幸康さんの声がして朝食の準備が整ったようだ。上手く話題も終わったしとあたしは朝食を取りに行こうとしてそこで気づいた。
「結局今日の予定どうするんやろ?」
「決まってないが正解ちゃう?」
「宏としても悩むところだろうからなあ」
秀嗣さんの言葉に納得してしまい、ならあたしは大人しくしてお姉を押さえてあげようかと思った。
主人公がなんか馬鹿っぽ過ぎるかと没にしました。




