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ただただただ。の裏側で  作者: けー


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大事なもの 恵子視点

九章お姉ちゃんモード。の主人公お昼寝中。



 ゆっくりとした寝息を立て始めた絵里子を見てつい笑みがこぼれた、熱があるときは特に何かを抱きしめたり掴んだりしているほうが寝やすいのは変わらないようだ。


 だからこそあたしは強い目でお兄を見る。


 「お兄、組合に言って早急に神職はただの人やって噂流して」

 「どうゆうことや」


 訝しがるお兄、それにみんなもあたしに注目する。


 「神職はただの人、姫は善意で手助けするけどなんでもできるわけじゃない」

 「持ち上げられたときようか」

 「このままやったら姫ならなんでもできると思われる、民間にそれが広まったら」

 「確かに姫様に助けを求める声は上がりますね」

 「そんなん聞かせたくないし、あたしらパーティーはやりたいことしかやらん、別に人助け目的にしてるわけじゃない」


 自分たちだけ良ければそれでいいと言う気もない、それでも一番大事なのは自分たちだ、そしてあたしは絵里子だ、他は男だし自分でどうにかしたらいいと思う。


 「北海道でかなり無茶したんやろ?東北でも道中やったみたいやし、今手を打たんかったらあかん」

 「そう言えばお前副姫巫女やったな、それは副姫巫女としての勘か?それとも野生の勘か?」

 「絵里子が困るの嫌なだけや」

 「お前はほんまは頭悪くないもんなあ、他のことにも使ってくれたら助かるのに」


 どっちでもいいよ、ただあたしはやりたいことやるだけだから。


 「わかった、もうちょい内容決めて高遠さんに回しとく」

 「それと姫を偽る人出てくる可能性も考えたほうがいいかもですね」


 智がそう言うからあたしは何が駄目なのかわからない。


 「なんで?絵里子の悪評に繋がるんは嫌やけど、逆に言えば人がそっちに群がればいいと思う」


 たぶん絵里子はあたし達の悪評なら気にするだろう、それを撤回させるために動くだろう、でも自分の悪評だったら?たぶんこの子は動かずに笑えるものなら笑ってしまうだろう。


 「一番怖いのは姫として持ち上げられること、次に怖いのはあたし達の悪評が流れること」


 みんなの目が大きくなる、これが鳩が豆鉄砲を食ったようなってやつか。


 「悪鬼は悪評ちゃうんか」

 「姫に手を出せば怒れる悪鬼の登場やから嘘ちゃうし」

 「お前はほんま絵里子のことには頭使うな」

 「他は男やし、この子が自分省みいひんからしょうがない」


 苦笑するお兄がいるが知ったこっちゃない、あたしはできれば可愛いものしか守りたくないだけだ。


 「それと後であたし北海道行ってくる」

 「ちょっと待て、なんでや?」


 何慌ててるんだこの兄は、当たり前のことを言っただけなのにとつい首を傾げてしまう。


 「北海道のダンジョンそれなりに間引いたとはいえ魔物まだ多くて強いのが上におるんやろ?熱下がった後で思い出して絵里子が気にするやん」


 秀嗣と智が驚いた顔をしてお兄が大きなため息を吐く。


 「できれば絵里子にお昼食べさせなやから一回戻るけど、寝かせてもう一回行けば一日で終わるやろ」

 「こんなん言ってますけど、思ったより上がらんかったレベルもありますよ」

 「うっさいわのり」


 何人かがやっぱりかという顔をするがそれこそあたしに失礼な気がする。


 「お前の本意はどっちでもいいわ、高遠さんに連絡して聞いてから判断する」

 「なんで?あたしが暴れたほうが姫の噂は潰しやすい」

 「それでも、まだ転移陣を大っぴらにするわけにいかんやろ?それこそ人だけじゃなく全世界注目の的や」

 「そうやけど、いつかはばれるやん」

 「それが今じゃないって言ってんや、それにある程度地域で対応できるようにせなあかんのもほんまや」


 お兄が正論言うから、あたしは仕方なく黙るしかない。それにこの状態の絵里子が気になるのも本当だ。


 「決まったら早く教えてよ」

 「わかってるわ、必要ならな」


 まだ行けないなら仕方ない、あたしは立ち上がる。


 「レトルトのおかゆとかって倉庫やったっけ?」

 「そのはずやで、絵里子のか?」

 「疲れすぎると食べへんから、昨日や一昨日もスープだけとかやったんちゃう?」

 「あー、そう言えばそうやわ」

 「言われてみれば確かにだな」


 行動をよく一緒にしてる二人頷いている。


 「そうゆうとき具が多めか、パンちぎって入れたって、それか強制的にある程度食べさせるか」


 元々食も細くレトルトもあまり好きじゃないこの子だけど、今日は勘弁してもらうしかない、絵里子が作ったスープ類や総菜はほぼないから。

 せめて食べやすそうなものを探すかとあたしは倉庫に向かった。


 後ろからお姉ちゃんだと聞こえてきたが、あたしからしたら当たり前のことだ。



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