陽気な外国人枠だって主人公になれるっしょ!の1
主人公の声はモン○トのサタンの声脳内再生でどうぞ
日中の気温が38℃だった8月7日(土曜日)23時50分 某クラブにて。
こんな爆音でEDMが流れる中、壁際に半目でもたれ掛かる静かな男がいた。ツーブロックの青い髪に白地に赤い大きなボックスロゴの入ったTシャツにヴィンテージのジーンズ、足元はエアーがマックスに詰まっている靴だ。
「ちょっとぉぉぉぉ アヴさん何してんすか!みんなもうあっちでスタンバってますってば!」今回の主催者、いわゆるオーガーナイザーであるユージが声を張る。
「あはははは!めんごめんご!チルってたわ!」
明るく返すのが主人公であり今日の主役でもあるアヴさんこと虻郎であった。
「今日は志摩ちゃんが店休みにしてまで来てるし、しまやんは会社休んで準備してたし、森島なんか広島からかけつけてきたんすよ!」
「シマ多くねぇ?」
「シマじゃないところでいうと大橋さんは今日無理やり退院してきたしイトヤンは今日はいつもの寿司屋行かずにこっちきたらしいっすよ!!」
「まーーーじでーーーー!!そんなに気合い入れて集まったのかー!急いでいくしかねぇっしょ!」
そう言って虻郎は走ってステージまで行く。走るといっても千鳥足だが。
馴染みのDJシンスケくんからマイクを受け取って挨拶に叫ぶ
『みんなーーー今日は俺っちの誕生日に集まってくれてまじサンキュー!』
「あったりめーだ!」「来るに決まってんだろ!」「祝うか死ぬかだろ!」500人はいるであろう会場の全員が、バーテンダーまでがヤジをとばす。
『じゃ、35才になっちゃうよーのカウントダウンいっきまーすw』
『「5」』『「4」』『「3」』『「2」』『「1」』
『「ハピバアアアアアアアアアッ」』
8月8日になった。
どっパーンという音と共にシャンパンコルクが乱れ跳び、参加者は一様に飛びっきりの笑顔で乾杯をしまくった。
突然、ただでさえ暗いクラブの照明が落ち、ザワついたあと唐突に奥の方できれいなオレンジ色が灯る。
500人の揃った合唱で「「「ハッピーバースデー ディーア アヴさーーーん ハッピーバースデートゥーユー!」」」
大きなケーキに虻郎の顔がデジタルプリントされたチョコレートが置かれ、その周りには35本のU・Oがパキられていた。U・Oは本来ライブで使う物だが。
「ひょーーーー最高にパキっててガンギマリって感じだね!!」虻郎は少ない語彙ながら非常に喜んでいた。
「それとこれはみんなからの」「「「プレゼントです!」」」
ホテルの食事を運ぶ台車にはアイスペールに氷を敷き詰められ、キンキン冷えてやがる状態で届けられたプレゼント達。それこそがこの虻郎が異世界にいくキッカケとなったのだ。
どう考えても死ぬ系移転である。
アイスペールに刺さるは5本の酒。
全てウイスキーであった。
アイリッシュ···ミドルトン ベリーレア
スコッチ···グレンドロナック18年
アメリカン···ブラントン
カナディアン···クラウンローヤル メイプルフィニッシュ
ジャパニーズ···白州18年
「5大ウイスキーで世界一制覇ってか!」
「「「飲ーんで 飲ーんで飲んで!アヴちゃん!!!」」」
地獄が幕をあけた瞬間であった。
「俺っちは好きなのを最後にとっとくタイプっしょ?ミドルトンベリーレア、でてこいやぁ!」少しプロレスラーのマネをしながらアヴローが叫ぶ。
「っしゃあああああ いったらあああああ」
アヴローは覚悟を決めていた。明日は二日酔い上等であると。
ヘパリーゼだって一番高いの飲んだら大丈夫であると。
「ううーーーー悪くないね!次ブラントンこいやあああああ」
高い酒をイッキに飲んでおいてこの感想である。
歓声と拍手が鳴り止まないうちに次にいく。
「ウフぉーーーうーーーッフー!」
飲み干して不思議と高い声がでてしますアヴローであったがこの時点でとっくに一般的に致死量と言われる、血中アルコール濃度は0,5%を越える領域
チル=チルアウトと言い、クールダウンというかリラックスみたいな?ボーッとすることもだし、仲のいい友達とダベるのもチルみたいな?