赤鷲1
「『赤鷲』?」
「そうさ、あんたの通り名さ、んで、あんたの懸賞金は...あんた異世界人だろ、なら50ダイスな」
目が覚めた先は古ぼけた掘っ建て小屋だった。ちょうど西部劇に出てくるようなバーだ。そこにいたのは、ニヤニヤとした笑みを浮かべる店主。
「ルールを言うぜ、この店を出た正面に町がある。中央に馬鹿でかい塔がある。そいつを登ればいい。」
「ちょ、ちょっと待ってよ赤鷲ってなんだわたしには、春風さく、」
「おっと、それ以上は言わない方がいいぜ」
手でわたしの口を制した。
「本名を知られたらあの世行くより酷い目に遭うぜ」
店主の凄みにうなずくことしかできなかった。
ひひっそれでいい。
バタン
勢いよく入口の羽根戸が開く。
「たすけてくれ!『黒犬』に追われてんだ!たすけてくれ!!」
決死の表情の男が入ってきて言った。店主は無視する。無駄なことがわかるとこちらにつかみかかってくる。
「なあ、あんた日本人だろ!助けてくれ!!同郷のよしみでさ、ダイスもやる!持ってるのぜんぶやるから!」
懐から茶色の皮袋を出し、押し付けてくる。ジャラジャラと中身がこぼれ落ちる。訳が分からず、棒立ちするしかなかった。
「・・・オイ」
低い若い男の声がした。いつのまにか、その男の横に黒づくめのフードの男が現れ、肩を組む。
まるで影から現れたような静かにいた。肩を組まれた方は全身を恐怖に震わせていた。こめかみに銃を突きつけられていた。
「懸賞金100000ダイス。『緑鼠』ちっ小物が」
苛立ちを隠せない声がもれる。そして引き金がひかれた




