近藤中央病院の呪い
『近藤中央病院』 番外編になります。
本編を読まれてない場合は作者のページから探して、そちらを読んでからをお勧めします。
久しぶりの雑記内小説になりますのでお楽しみ下さい。
「あのオヤジ、なにを尋ねようと一切聞く耳持ちませんでしたね」
後輩の東堂は舌打ちをした。
「奴さん、こっちの証拠はいくらでもあるって言ってんのに、あんなに強気で来るとはな。また、やる気なんだな」
真新しい白い外壁のその建物は患者からしたら天国なんだろうが、俺から見たら伏魔殿以外の何者でもないように思えた。
戦前にはもう存在していたこの病院は、戦時中に気が狂った兵士達による大量虐殺に遭った。
これが全ての始まりなのだろうと思う。
戦時下という特殊な状況で病院側の取った対策は、事件そのものを無くす事だった。
それを命じたのが今の院長である近藤一郎の父、近藤肇 (こんどうはじめ)。
それから、この病院ではなにかときな臭い事ばかり起こった。
昭和の終わり頃に起きた、連続医療ミスと近藤肇に疑いがかかった汚職事件。
近藤肇が時の医大出身の大臣に金を渡したと噂されたが、結局証拠は見つからなかった。
そうまでして消したかったのが連続医療ミスの事。
これもなかなかにアクの強い事件だったらしく、医療ミスと言ってはいるが実際の所、故意だったのではないかという疑惑があった。
しかし、容疑者である男性医師の自殺により、事件はお蔵入りになってしまった。
その次は平成になったばかりの頃に起きた、病院内での母子絞殺事件。
同病院に通院していた患者が、検診で病院を訪れていた妊婦を絞殺し、腹の中から胎児を引きずり出した猟奇的な事件。
この時は事件の奇妙さからマスコミがすぐに食いついたが、ひと月もしない内に報道がされなくなった。
あくまで噂だが、この時にマスコミを抑えたのが今の院長である近藤一郎だそうだ。
一体、どんな手を使ったのやら。
そして、俺が担当した事件。
院内での看護師による薬品大量摂取による自殺事件。
ノイローゼ気味だった彼女が誤って大量の薬を飲んだという事になってはいるが、彼女が飲んだ薬は使用禁止になっていた病院の備品だ。
わざわざ倉庫から持ってきたというよりも、誰かに飲まされたと考えた方が筋が通る。
なぜなら彼女は連続医療ミス事件の時の担当看護婦だったのだから、その事件の何かを知った事により殺されたのではないだろうか?
あくまで憶測でしかないが。
「はあ、それにしても暑いな」
「今日も猛暑日らしいですよ」
熱で視界がぶれ、陽炎のように『近藤中央病院』 は揺れていた。
こんなにたくさんの事件を隠蔽していたら、誰かから恨まれるだろう。
まるで呪いのように。
「馬鹿馬鹿しい」
呪いだなんてあるものか。
けどあるとしたら、呪われてるのは病院か? それとも近藤家なのか?
考えるだけ無駄だな。
俺は病院に背を向けながらも、この事件を解決すると強く誓った。
蛇足も蛇足なので、こっちに掲載しました。




