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眠る月の皇子  作者: 古波萩子
第4章 平行世界の簒奪者
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 第1話 誘拐



※一方的な暴力表現が有ります。苦手な方は読み飛ばして下さい。





                 ◇◇◇





 一瞬立ちくらみをした、と水城みずしろ輝夜てるやすは思った。

 視界が黒から白に点滅して闇が素早く過ぎ去ったからだ。


 まず違和感は鼻が訴えた。室内の匂いが変わったと思い至る前に、背後から何者かの手が伸びて口を塞がれる。ぎょっと目をみはった。

 口内で錠剤らしき物が溶けていく感触が舌の上にあり、何かの薬を口の中に放り込まれたのだと身体を強張らせる。いつの間にか両腕も背後で拘束され、身動きが取れなくなっていた。

 無我夢中で拘束を解こうと暴れるが、拘束する背後の人物の手も腕もビクともしない。異様な事態に恐怖ばかりが先行し、パニック状態で頭の中はぐちゃぐちゃだった。


 不意に、輝夜てるやすの口を塞いでいた手と両腕の拘束が乱暴に放される。

 突き飛ばされて床に倒れた。ハアハアと輝夜てるやすは荒い息を吐く。鼻だけの呼吸はつらかった。口内の異物は溶けきり、もうどこにもない。ただただ苦味だけが舌先に残っていた。

 つんいになっていた輝夜てるやすの腹が横から思い切り蹴り上げられる。輝夜てるやすはあまりの衝撃に悲鳴さえ出せず、仰向けに転がった。

 輝夜てるやすを蹴り倒した背後の男が、覗き込むように輝夜てるやすを見下ろす。

 侮蔑を滲ませる男の顔に輝夜てるやすは目を零れんばかりに見開いた。

 バクバクと動悸がする。心臓が、頭が痛い。キイィィンと耳鳴りがしてガクガクと身体の震えが止まらない。輝夜てるやすは悪夢のような情景に、血の気が引くほど真っ青になった。




 ――水城みずしろ篁朝たかときが……9年前に消えたはずの、輝夜てるやすを殴っていた兄がそこにいた。




水岐みずき殿。そこまで乱暴に扱うのはどうかと」

「ふん、ただの領民だろ」

広早こうさ、完全に皇族御三家が存在しない世界は無い。惑星が誕生しないからな。それはどこにいるか不明なこちらの皇族が、万が一手出ししてこないようの牽制目的の人質だ。刺激させない程度にしろ」


 兄の背後に居る2人に、輝夜てるやすは驚愕する。


 そこには眉を潜める電谷でんやと、何1つ感慨もないような表情の電須でんす佐由さよしが立っている。


 見知った2人が、さも輝夜てるやすが暴力を振るわれているのが当然かのように冷めた目でこちらを見ている状況についていけずに混乱する。

 輝夜てるやすが錯乱する前に暴力的な兄の拳で顔を殴られ、頭を床に打ち付けて輝夜てるやすは昏睡した。






                 ◇◇◇







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