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異世界召喚された勇者に付き添う僕  作者: 丘松並幸
第1章 グリーム王国編
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充実した日々

「今日もいい天気だな~」


 僕は心地のいい朝日を浴びながら家のドアを開く。

 そして日課となったお母さんの墓参りに行くために散歩を始める。

 今日でヴェイルさんと修行を始めてちょうど1週間。

 この林の中での生活に慣れ始めてきた。

 生活って言っても、朝起きてお母さんの墓参りに行く、朝ご飯を作る、朝の修行、昼ご飯を作る、昼の修行、夜ご飯を作る、寝る、の繰り返しだ。

 毎日ほとんど同じことをやっているけど、今の生活に不満は無い。

 修行の内容を含め、本当に同じことしかしてないけど、特に変えたいとは思っていない。

 ここでの生活でちゃんと強くなれている。

 それがわかるから僕は満足だ。


「相変わらずいつもどうやって辿り着けているのか不思議だな~」


 僕は初めてお母さんの墓に行った日から毎朝墓参りに行くようにしている。

 ヴェイルさん曰く、墓に自分以外誰も来れないように結界を張っているらしい。

 でも僕はこうやって毎日墓参りに行っている。

 でも僕は毎日どうやって墓まで行っているのかわからない。

 適当に散歩をしていたら勝手に墓に辿り着くのだ。

 大体十分くらい歩いていたらいつの間にか墓が見えてくる。

 これが何でなのかはよくわからないけど、お母さんと話が出来るのは素直に嬉しい。

 まぁ、話と言っても僕が一方的に今までのことを言うだけだけどね。

 お母さんは僕のことをよく知らないだろうから、まだ墓にいると信じて教えてあげている。

 親は子供の話を聞くのが好きって聞いたことがあるし、きっとお母さんも喜んでくれているはず。


「あ、ヴェイルさん、おはようございます」

「おはよう。今日も来たのね」


 まだ墓には着いていないけど、ヴェイルさんに会ったということはここが墓に行くための道なんだろう。

 こういうことは今までにも何回かあったから、お互い特に驚いたりはしない。

 

「前も言いましたけど、どうせ墓で会うんだから一緒に行きませんか?」


 ヴェイルさんは僕がここに来る前から、毎朝、墓参りをしていたらしい。

 僕も毎朝、墓参りをするんだから一緒に行けばいいと思う。


「だってあたしが家を出る時、ロアちゃんはまだ寝てるもの」

「起こしてくれればいいんですよ」

「あんまり気持ち良さそうに寝てるから起こす気になれないわ」


 ヴェイルさんは色々と準備をすることがあるらしく、僕よりも早く家を出る。

 それは前にも聞いたのだけど、何で僕を起こしてくれないのかは初めて聞いた。

 起こす気になれないくらいぐっすり寝ているのか……

 

「それでも起こしてください。そろそろちゃんと道を知っておきたいですから」

「知らなくても勝手に来れるじゃない」

「まぁ、そうですけど……」


 確かに道を知らないままでも墓に辿り着ける。

 でもやっぱり自分のお母さんの墓の場所くらいはちゃんと知っておきたい。


「明日は起こしてあげるわ。覚えていたら……ね」

「それ絶対に起こさないですよね! ヴェイルさんがそう言った時って大体忘れてますよね!」

「そうかしら?」


 首をかしげているから自覚が無いみたいだけど、ヴェイルさんはかなり忘れっぽい。

 大切なことを伝え忘れていることも結構ある。

 この1週間でわかったことだ。


「そんなことより、もう着くわよ」


 ヴェイルさんの言葉通り、視界の端の方に墓のある広場が見える。

 いつもと同じ、十分ちょっとで着いた。


「ロアちゃんが先にお参りしていいわよ」

「わかりました」


 僕は墓の前に行き、いつものように目を閉じる。

 そして心の中で話し始める。


 お母さん、おはようございます。

 今日もいい天気ですね。

 この1週間で僕も少しは強くなりました。

 毎日走って体力はかなり付いたし、新しい魔法も何個か使えるようになりました。

 まぁ、魔女魔法に関しては相変わらず、戦いで使えるようなものじゃないですけど。

 それでも毎日少しずつ強くなっているのを実感しています。

 これからも強くなり続けるので心配せず見守っておいてください。

 今日は後ろでヴェイルさんが待っているのでこのくらいにしておきます。

 お母さん、また明日。


 僕はそっと目を開ける。

 いつもならもう少し長く話をするけど、ヴェイルさんを待たせるのは申し訳ない。


「終わった? ならあたしが終わるまで待ってて」


 僕の返事を待たず、ヴェイルさんは目を閉じる。

 ここまで来るのは歩いてだけど、帰りは『ワープ』を使って一瞬で帰る。

 だから僕は待っていないといけない。

 行きも『ワープ』で来ればいいと思うかもしれないけど、ヴェイルさんは毎日林の花を摘んでからここに来るから歩かないといけない。

 それから一分後、ヴェイルさんが目を開ける。


「さて、帰りましょうか。あ、あと今日は魔女の組合に行くから、ロアちゃんもついてきてね」



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