表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界召喚された勇者に付き添う僕  作者: 丘松並幸
第1章 グリーム王国編
17/48

1週間

「う~ん、今日も天気だなぁ」


心地よい風と眩しい朝日が僕を目覚めさせる。

僕から少し離れた所にはカエデとアドアがまだ寝ている。

最近僕は2人よりも早く起きるようになった。

もう2度とあんなことを起こさせないために体がそうなったのだろう。


「今日も1日がんばっていこう」


 僕はこの数日で大分貯めることが出来ている食料で朝ご飯を作る準備を始める。

 もう魔境に入って1週間。

 さすがにここでの生活にも慣れてきている。

 でも、死なないために最善の選択を続ける、とあの日に決めた。

だから油断はしない。

僕は起きてすぐで緩んでいる気持ちを入れ直して朝ご飯を作る。


――クマとの戦闘から1週間、僕達は強くなった。

あの日から慎重にモンスターを倒していった

 モンスターに見つかることなくモンスターを見つける。

 そしてカエデの『バレット』で様子見。

 もしモンスターに全く効いていないようだったら、全力で逃げる。

 効いているようだったら、一定の距離を保ちながら3人で戦う。

 あの日3人で話し合って決めたことだ。

これを1週間続けたけど、もちろん失敗するときもあった。

例えばモンスターが速くて逃げきれなかったとき。

そのときは僕が囮になってカエデとアドアを逃がして、その後カエデがモンス ターの視界に入らない所から攻撃をして僕から注意を逸らし、その隙に僕が死ぬ気で逃げた。

他にはモンスターに見つかってしまったとき。

そのときはアドアが新しく覚えた魔法『シャイン』で目くらましをして、カエデの勇者魔法『シャドウ』で僕達の姿を一時的に見えなくして逃げた。


僕達はこの1週間で前と比べればかなり強くなった。

昨日カエデにレベルを確認してもらったら、僕は52、アドアは41、カエデは58になっていた。

最初に悩んでいた、カエデとの力の差はあんまりない。

僕よりカエデの方が強いというのは変わらないのだけど、足手纏いになってしまうという程ではない。

それにカエデにだって出来ないことがあるから、それを僕とアドアがやっている。

強くなったことで新しく使えるようになった魔法でもカエデは遠距離の攻撃系魔法と補助系の魔法が多かった。

だからカエデは変わらず後衛として戦っている。

カエデと違ってアドアは回復系の魔法以外に光系の魔法、防御系の魔法が使えるようになった。

アドアのおかげで僕達は灯りが必要なくなったし、カエデと同じくらいの防御系魔法で僕を守ってくれるのでホントに助かっている。

とても優秀な回復役に成長して、最近ではあの魔女の人のように一気に3人を回復させることが出来るようになっている。

そして僕はというと、もちろん変わらず前衛だ。

使える魔法も前衛らしいものばかりだ。

でも僕が使っているのは戦士魔法だから攻撃系の魔法が多い。

騎士魔法なら味方を守るための魔法が多いから、こんな状況になるならそっちを選べば良かったなー、とか思ったりする。

今更だとも思うけど。


今の僕達は魔境のモンスターのほとんどに負けないくらいくらいの力を付けている。

倒すまでは無理なモンスターでも安全に逃げ切ることは出来る。

そのくらい強くなったのだ。

今ならあのクマに一方的にやられることだってないだろう。

でも今でもモンスターに見つからないようにモンスターを見つけて攻撃するという方法は変えていない。

僕もカエデもアドアも自信を持ちすぎないように、毎晩、お互いの悪い所を注意し合うということをやっている。

僕達は謙虚に強くなると決めたのだ。



「よし、できた」


 僕は完成した朝ご飯を平らな岩の上に並べる。

 そしてカエデとアドアを起こす。

 それがここ数日の流れだ。

 だから今日もカエデとアドアを起こそうと2人の所に行く。

 でも朝ご飯から数歩離れたそのとき、草陰から黒ウサギが3匹出てきて、僕は足を止める。

 3匹が出てきたのは朝ご飯の近く。

 そのまま3匹の黒ウサギは朝ご飯の方に向かっていく。

 初めて会ったときは速過ぎて目で追えなかったけど、今は僕の方が速いくらいだ。

 僕は黒ウサギが朝ご飯に辿り着く前に黒ウサギの前に移動する。

 そして動き回る3匹に向けて一度だけ剣を振る。

 3匹の黒ウサギは一斉に動きを止め、地面に倒れる。

 僕はそれを確認して剣を納める。


「黒ウサギが好きなものなんて入ってたかなぁ?」


 周りに仲間の黒ウサギがいないことを確認してカエデとアドアを起こしに行く。

 2人が起きているなら黒ウサギであろうと3人で戦っていただろう。

 とっさのことで決まりを破ってしまったけど、朝ご飯の危機だったから仕方ない。


「ってただの言い訳だね」



「うん、やっぱりロア君のご飯は普通においしいね」

「毎日申し訳ないです」


 2人は起きた後、身だしなみを整えて、こうして朝ご飯を食べている。

 カエデ曰く僕の料理はお母さん以上お店未満だそうだ。

 アドアは気を使って店で食べる料理よりおいしいと言うけど、そんなことはないだろう。

 

「食べたら今日のことを話し合おうか」

「はーい」

「わかりました」


 朝ご飯を食べた後に3人でその日のことを話し合う。

 そこでそれぞれの意見を言い合ってその日をどう過ごすのか決めるのだ。


「よーし、今日もがんばろー!」


 こうして僕達の1日は始まる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ