女の子の階段上る
「女の子になったから必要なもの、そう!それはズバリ下着、服、化粧品、生理用品、髪留め……」
「うん、必要なもの全部挙げていかなくていいからね、桜」
指折り数えていつまでもブツブツと必要なものを挙げていく桜を尻目に、おばあちゃんの車椅子を押す
そんなこんなで、駅前にあるショッピングモールに来たわけだけど、休日ということもあって人が多いけれど、なぜかみんなぼくたちから一定の距離を置いているような気がするのは気のせいかな
「説明しよう!」
「…何をですか、姉さん」
「それはもちろん、なぜみんな私達から一定の距離を置いているか」
「勝手に人の心を読まないでください、エスパーですか」
「槙の心を読むぐらい朝飯前だい」
ぼくにはプライバシーはないのか
たとえ家族でも、いや、家族だからこそプライバシーは大切だと思うんだ
うん、ぼく正しい
「で、話を戻すけど、やっぱり槙がかわいいからだと私は思うんだよ、うん」
ええー、そんなことないと思うんだけどな
まあガラスに映る自分は客観的に見てかわいい部類だと思うが、そこまで目を引くかといわれると首を傾げてしまう
「はい!」
さっきまでひとりでブツブツ言っていた桜が、急に手をビシッとあげて桜が挙手をした
急に大きい声出すからビックリしたよ。あー、心臓に悪い
それに、何かと思ってみんなこっち見てるじゃないか、恥ずかしいな
「はい!桜」
姉さんはビシッと挙手している桜を指す
「やっぱり、響花姉さんからにじみ出る変態的なオーラを本能的に感じてドン引きしてるんじゃないかな?」
「ぼくも、桜の意見に一票」
「なん…だと…、私の押さえ切れない槙への気持ちが周りからドン引きされていたなんて。しかも、妹たちに肯定されたっ!?だが、間違っているぞ!私は変態ではない!なぜなら変態という名の淑女だからだ!ってもういない!?ちょ、おいていかないでー!」
一人で騒いだ姉さんを撒くことに失敗した、ぼくと桜は
「「ちっ、撒けなかった」」
と思ったことをそのまま口にした
おばあちゃんは「仲がよくて良いわね」とニコニコしていた
☆★☆★☆★
仕方なく、姉さんも交えて買出しをしていくが
「いきなりハードルが高い!」
それが今、ぼくが思っている率直な感想だ
確かに必要だということはわかる
それがないと大変だということもまあ、なんとなく分かる
分かるんだけどいきなりここに来なくても――
物事には順序ってやつがあるとぼくは思うわけだよ
もっとこう、段階的にきた最後のほうに来るべきだと
「なにやってるの、槙お姉ちゃん。ささ、入り口の近くにいると他のお客さんの迷惑になっちゃうからねー」
桜め、わざと「お姉ちゃん」のところを強調して言ったな
そんなことを思っているとグイグイ押されて入店させられる
「ちょ、ちょっと待ってよ、桜!まだ心の準備があああ!」
「大丈夫、大丈夫。最初はちょっと気恥ずかしいけどすぐ慣れるって」
そしてぼくは女の子への階段を上らされることを余儀なくされた