女の子の買い物
試着するために試着室まで来た、のはいいが正直早く店から出たいのだがこの姉妹は逃がしてくれそうにない
むしろ抵抗するより、従ってたほうが早くこの店での用事が済むんじゃないかと思ってきたよ
――よし、ここまできたらぼくも腹を決めてスピーディーに終わらせてこの店を出よう。
なんかこの店、自分がいたらいけないような気がするしね。主に男としてのプライドが……!
まあ、今はもう女ですけど!男に戻れないらしいですけど!
落ち着け、ぼく。今は目先のことだ。そう下着の試着……
渡された下着を見ると恥ずかしいし、とりあえず今着てるワンピースを脱いでハンガーにかける
このカーテン一枚を隔てた向こう側には普通に買い物してる人たちがいて、急にカーテンが開けられるんじゃないかと思うと、なんとなく急かされてるような気がする
そんなことはないのは分かってるんだけどね
そして今着てる下着も後ろに手をまわしてホックをはずす
「そうだ!お姉ちゃんがつけ方を教え――」
急に姉さんがカーテンの隙間から顔を出してきたので驚いてワンピースのポケットに忍ばせてあったボールペンを投擲した
そしてそのまま姉さんはなぜか鼻血を出しながら後ろに倒れた
「もう!急に覗き込まないでください!分からないことは桜に聞きますから姉さんはそこでおとなしくしててくださいね!」
「はいはーい、じゃあ第一回!桜先生のブラのつけ方講座!」
いつの間にか桜が試着室に入ってきていて、すでにぼくが試着しようとしていたものをもっていた
「はいはい、じゃあお願いします……」
もう、桜に任せよう。姉さんに分からないことは桜に聞くと言った手前断れないし、お任せしたほうが早く終わるんじゃないかと淡い期待をしていた
☆★☆★☆★
「ふう、一件目から疲れた……」
「よーし、どんどんいくぞ!次は服だー!」
「おー!」
疲労困憊のぼくとは正反対の姉さんと桜がうらやましい
結局試着した下着すべてお買い上げした
レジで会計した時、なかなかのお値段だったけれど大丈夫なんだろうか
そしてさらに服を買おうとしてるんだから、かなりの額になると思うけど…
姉さんは「大丈夫、大丈夫!このクレカ、親父の口座から引き落とされるから」といっていた
お父さんごめん、お父さんのお小遣い、しばらく出ないかも……
「ふふふ、元気ね。でもそろそろ夕飯の買出しをして帰らないと遅くなっちゃうわよ?」
「え?もうそんな時間かー、しょうがない今日はこれくらいにしといてやろう」
「それだと悪役のセリフですよ。姉さん」
姉さんと桜はまだまだ元気が有り余っており残念そうだが、正直ぼくとしてはほっとした
「さて、じゃあ食料品を買って帰りますか」
気持ちを切り替えて、食料品を扱うお店のほうに足を向けた




