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「秋元編集長のスクープ事件簿」  作者: 秋山 そら
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土偶

土偶


シロは、土偶を作成しながらも部屋の様子を伺っていた。


「後ろには、帝がいるし下手に逃げたら船が大変なことになるし。けど、真昼さんと秋元さんが居るなら、逃げられたら」


シロは、部屋の様子を注意深く観察した。帝が居る壁際には一面ガラスの窓があり、海を一望できる造りになっている。さらに、インテリアなのか端には観葉植物が置かれている。シロの前方には、女がテーブルに座り脚を組んだ状態でこちらの様子を窺っている。

シロは、土偶の模様を制作し終えた。


「ふぅ、出来たよ」


シロは、完成した土偶を帝に見せた。帝は、シロの後ろから駆け寄ってくると完成した土偶を見た。そして、床に置かれた図面を拾い上げると細かく所々、ミスはないか照らし合わせた。帝の口元に、笑みが浮かんだ。


「よし、ありがとう。完成した、完成したのだな。これで我が宝物庫を開けることができるな」


帝は、興奮した様子で土偶をよく観察するためにシロの近くに屈んだ。


「ヨシッ、今や」


シロは、ゆっくりと立ち上がり、帝の顔面を思いっきり蹴った。そして、扉の方へと走った。


「痛ッ」


帝は、顔面を押さえながら床に顔を埋めるような格好になった。

シロの突然の行動に驚いた。女は、テーブルから立ち上がるとシロの方へと向いた。


「ちょっと、待ちなさい」


女は、慌てふためいた様子で叫ぶと帝の方へと駆け寄った。


「大丈夫、シロが逃げるわよ」


帝は、片目を押さえながらも立ち上がった。そして、完成された土偶をまずは保存用の四角いケースに入れ懐へとしまった。


 シロは、全力疾走で扉の方へと走った。息が苦しい中で土偶を置き去りにしてしまった。


彼女は、ドアを開けるとすぐに階段を見つめた。階段付近には帝があらかじめ人が来ない様にしていたために誰もいなかった。シロは、必死で階段を駆け下りた。喉が痛くなって来たがそれよりもこのフロアから早く人の多くいる所を探した。階段を降りたフロアを行けるとフロアの入り口の方から人の声が聞こえてきた。


「あっちか」


後ろから、人の気配がした。帝がいた。


「シロ君、今逃げられては困るのだよ。大丈夫、無事に君を送り届けることは保障しよう。だから、早く部屋に戻ってくれたまえ」


「嫌や、船に爆弾しかける奴のいうコト信じられるはずないでしょが」


シロは、船上へと続く扉を開けると逃げ出した。


一方、秋元と真昼は、帝を探してウロウロしていた。


「うーん、帝君はどこに行ったのだろうねぇ。さっきは会場にいたのだけどねぇ」


「どこかの部屋にいるのかもしれませんよねぇ」


シロは、走って船上へと逃げた。すぐ後ろには帝が見える。

帝と慶子が突然船内から走って来た。ウロウロしてきた秋元と真昼は一瞬なぜあの二人が一緒にいるのかと不思議に思い立ち止った。


「アレッ、なんで慶子さんが」


「慶子君」


真昼は、秋元に言った。


「編集長、それより帝とシロさんが」


秋元は、いきなり大声で叫び始めた。


「帝さーーん。見つけましたよーーー」


帝は、驚き立ち止ってしまった。


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