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「秋元編集長のスクープ事件簿」  作者: 秋山 そら
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帝の憂鬱

  帝の憂鬱


 電話を切り終わると帝は、不敵な笑みを浮かべていた。


「あと、一時間か。あのタヌキも船上では無茶も出来ないだろう。あとはゆっくりシロ君に役立って貰うとしようか。なんせ、彼女の技術がなくては我が家の宝を開けることが出来ないのだからなぁ」


帝は、パーティ会場の裏で煙草を一服したあと、何食わぬ顔で客への挨拶に戻ろうとした。


しかし、すぐに掛け直された電話により予定を変更した。


「はぁ、秋元と一緒にいたカメラマンを捕まえただと。顔写真を撮られた……。そうじゃなぁ、彼が起きないうちにカメラのデータを抜き取って置いてくれ。後はどうしても構わない」


「了解」


電話の主は少しため息交じりに答えた。


帝は、賑やかなパーティ会場に戻った。帝は、戻ると亀の老夫婦のもとへと向かった。


歩くと、帝に気づいた貴婦人たちやビジネスの話を持ち込もうしている若いスーツの男たちが次々と帝に押し寄せて行った。


あるビジネスマンが白いワインを渡しながら話し掛けてきた。


「帝さん、今度うちの会社で弁護士を呼んで講座を開こうと思っているのですが、どうでしょうか」


帝は、ワインを受け取った。


「そうですか、ワシもぜひ今度お話をお伺いしたいですね」


帝は、スーツの胸ポケットから名刺を取り出し両手で掴むと男に渡した。


男は、ポケットから皮の使い込まれた名刺入を無造作に取り出すと人込みをかき分けるように帝に手渡し、帝から名刺を受け取った。


男は名刺を受け取ると人込みの中にすぐに飲まれていった。帝の周りは人で大いにあふれていた。


「帝さん、今度仕事を一緒にしましょう」


「帝さん、前回の裁判のことでもう一回お話を伺いたいのですが」


「弁護士協会のトップに就任されると言う噂は本当ですか、また、最近テレビに多く出演されていますが。タレントへの方向転換などはあるのですか」


周り人間の声がだんだん雑音のように聞こえてきていた。彼は、仕事人間ではあるが行もあまりに一斉に仕事のことばかりを聞かされてはため息もつきたくなった。


「さて、皆さん今回は来てくれてありがとうございます。仕事関係で何かあればワシではなくマネージャーなどを通していただきたいのじゃが」


帝は、失礼しますと断りを入れると人込みをかき分けて亀の老夫婦のもとへと向かった。


老夫婦はニコニコとした表情で、テーブルを囲い周りにいる同い年ぐらいの老婦人や同人の集団に混じり楽しそうに談笑をしていた。前方から来る帝に築きニコニコとした笑顔がさらに懐かしさを含んだものへと変化した。


「やぁ、帝君会いたかったよ」


帝は、彼の日頃の自信たっぷりな態度を一転させて敬意を表してお辞儀をした。


「お久しぶりです。亀吉さん」


亀の老人の名前は亀吉、彼は帝に弁護士の知識を叩き込んだ人物である。

彼は、現役時代は小さな個人の弁護士事務所を開いていた。小さい事務所ながらも弁護を引き受ければその腕には検事達には厄介な人物だと恐れられていた。


「どうでしたか、今日のパーティはいろいろな業界の方を招いてパーティを開催したのですが。一番の招待状をお出ししたのは亀吉さんですよ」


亀吉は、咳を一つすると温和な笑顔を帝に向けた。


「ありがとう、今日のパーティはとても楽しかったよ」


「それは、よかった。今日ここに私がいるのもあなたのおかげですよ」


帝は、腕に着けた時計に目をやった。


「では、私は用事がありますのでそろそろ失礼します。今度ぜひゆっくり話をしましょう」


亀吉は頷いた。


「うむ、楽しみにしているよ」


帝は、パーティ会場の裏側へと歩いて行っ


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