失踪
失踪
三人でバラバラに廊下を探しているとき、真昼は一番後ろの方にいた。
廊下はあまり広くないのでバラバラになると言っても誰かが廊下の先にいる程度のことでありそんなに気にも留めなかった。
真昼は、廊下に鍵が落ちていることに気が付いた。
彼は、鍵を拾おうとしたときに背後からドアを開けられ、中に無理やり引き連りこまれたのである。一瞬のことであったから声を挙げる時間さえなかった。
引きずり込んだのはどうやら手の細さから女性の様だと判断した。しかし。そこで真昼の意識は一旦途絶えたどうやら口に何か当てられ意識が朦朧としてきたらしい。真昼は、瞼が急に重くなるのを感じ、目を閉じた。
女は、素早く廊下に落とした鍵を回収するとまわりに気が付かれないように静かに鍵を回収した。そして、服のポケットへとしまった。
「危ない、危ない。上手くいったわねぇ。さて、この子からアレを回収して、でも二人ともこの部屋に置いておいてもいいけど。この子が起きて騒がれても困るし、どうしようかしら」
女は、床にだらりと転がる真昼を身降ろしながら頬に腕を付けて、どうするかを考えていた。
「まぁ、いいわ。とりあえずデータを抜いてから、彼女の横に運んでしばらく眠らせて置こうかしら」
女は、シロが寝ているベッドに真昼を引きずると腕と頭、腰、脚の順番にゆっくりと真昼をベッドへと運んだ。真昼は、シロが寝ている大きめのベッドにだらりと運ばれた。真昼はスヤスヤと寝息を立てていた。
一方、秋元と藤堂は真昼がどこに行ったのかを推理していた。
「なぜ、このタイミングで真昼君がいなくなったのか。また、どこかの客室に連れ込まれた可能性が高い。そして、どの客室にもなぜか鍵がかかっているが中に人のいる気配がない。」
「そんな、悠長なこと言ってないで真昼さんを探さないと彼の身が危ないかもしれないのですよ。もうこれは立派な誘拐です。警察を呼びましょう」
「んっ、警察は君だけどね。あと、こんな船の上じゃあすぐに警察も来てくれないよ。来る頃には、パーティは終わって港に戻るだろう。」
「でも、どうするのですか」
藤堂は、どうするべきか冷静な判断が出来なくなっているようだ。
一方、秋元は真昼が居なくなっても持ち前の冷静さを失っていないようだ。
「んー、こんなことなら真昼君にも発信器を付けて措くべきだった」
「早く探しましょう」
「とにかく、この階はくらいから一旦戻って懐中電灯を探してこよう。そうすれば、周りが良く見えるだろうから」
藤堂は、真っ先に走り出した。秋元は、ゆっくりと階段の方へと歩き出した。
秋元は、ゆっくりと後ろを振り向くと奥の客室の方に顔を向けて一言、言った。
「狐に化かされたのかなぁ、それともに人間に化かされたかどっちだろうねぇ」
二人は、一旦船上へと出た。日差しはだいぶ傾いてはいるが薄暗い空間から出た二人には眩しく感じられた。
「懐中電灯は、船内の救護室にでもあるじゃないかな。とりあえず、急いで救護室に行こう」
救護室には、華やかな船内とは裏腹に人がいないようだ。
「失礼します。懐中電灯をお借りしたいのですが」
救護室には白く清潔なベッドと蛍光緑のベストを着た短髪の女性がいるだけであった。彼女は暇なのかカットバンなどの備品を棚に補充していた。
「すいません、落し物をしたので懐中電灯を借りてもいいですか」
「えぇ、構いませんよ。早く見つかるといいですね、見つけたら返しに来てくださいねぇ」
救護班の女性から懐中電灯を受け取った。
救護室から出ると藤堂は徐に帝の悪口を言い始めた。
「しかし、帝は真昼さんを攫うなんてひどい奴ですね」
「あぁ、そうだねぇ………」
秋元は、歩いていた足を止めた。
「んっ、今回真昼君が居なくなったのは、ビンゴ大会が終わって、僕らで客室に向かったから………」
藤堂は、秋元の顔を覗き込んでいる。
「藤堂君、一旦パーティ会場に行って帝がいるか確かめよう」
「えっ、どうしてですか」
「彼がひとりですぐにパーティ会場から抜けて、真昼君攫うのはどうも引っかかるなぁ。というか、不可能だねぇ」
藤堂は、驚いていた。
「なんでですか」
「だって、真昼君を攫うには事前に僕らよりも早く部屋にいる必要がある。僕らがすぐに客室に向かったし作戦会議中、帝はパーティ会場にいたよね」
「たっ、確かに」
「一回、確認しとこうか」




