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「秋元編集長のスクープ事件簿」  作者: 秋山 そら
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作戦会議

作戦会議


「で、帝さんと話は出来たのですか」


「あぁ、なんとかねぇ。しかし、彼もさすがに簡単にはボロはでなかった。単なる挨拶で終わってしまったよ。うーん、どうも難しいなぁ」


「編集長が、難しいとは珍しいですね」


「今、食べているカニの足の身を取ることが難しいよ。君器用だからこの足の身取れないかい」


真昼は、編集長からカニと箸を受け取った。


「あっ、そうですか。で、これからどうするのですか」


カニの身を器用に取り出すと皿に移して渡した。


「ありがとう。もちろん、シロ君を助けに行くよ」


「もちろんです」


真昼は、ふと思い出したように横にいた藤堂に質問をした。


「藤堂さん、そういえば例の赤い液体は何だったのですか」


「あぁ、アレですか。鑑識によれば水、次亜塩素酸塩 、 水酸化ナトリウム 、アルキルアミンオキシド 、純石けん分 、安定化剤と赤くするために着色料の赤色が使われていたそうです。」


真昼は、その成分が何であるか理解しきれていないようだ。

秋元は少し考えると喋り始めた。かすかに口元には笑みが浮かんでいる。


「あぁ、あれか。なかなか面白いモノを使ったのだね。フムフム」


藤堂は、続きを述べた。


「要するに、排水溝の汚れを溶かしたりする洗剤ですよ。最近は無臭のモノも出ていますからねぇ」


「それが、なんで美術館なんかに撒かれていたのですかねぇ。しかも赤色で」


「でも、そもそもなんで一流弁護士がわざわざ新人芸術家の作品を盗むのですか?しかも、土偶ですよね。」


「つまり、犯行動機がはっきりしていないということですね」


藤堂は、真昼の疑問を提示した。


「そうだね、僕もそこには納得がいかない部分があるのだよねぇ。シロ君と帝氏にはたぶん面識があるかどうか。だけど、帝氏は美術品を得意とする弁護士だからその線で考えることは出来るのだ。だけど、藤堂刑事によるとシロ君が裁判などで帝氏に依頼した形跡もないらしい」


藤堂は、秋元に相槌を打った、


「ええっ、交友関係や仕事関係を調べたところ関係性はないと私たちは判断しました。」


秋元は、赤ワインを通りかかったボーイに注文した。


真昼は、天井の方を向いた姿勢でしばらく思考すると秋元の方を向き、両手を広げて喋り始めた。


「本当に、帝さんが犯人なのですか。編集長」


秋元は、近くにあるフォークに手をやると、それを両手に広げた真昼の方に不敵な笑みを浮かべた。


「それは、間違いないと思うよ」


「そんなに自身があるなら決定的な証拠を掴んでいるのですね。秋元さん」


藤堂は、目を輝かせている。


「それはねぇ。もう少し待っていて今来るから」


そういうと、秋元はボーイが持ってきた。赤ワインが入ったグラスを二人の前に突き出した。


「そう、コレだよ」


「ワインですか」


「まぁ、そのうち説明するよ」


秋元はワインを活きよい良く飲み干すと、後ろの方に目をやった。

どうやら、帝がパーティ会場に来たらしい。


「よし、一旦会場からは出ようか」


三人は、パーティ会場から移動することにした。


一方

真昼が、調べた客室に、女とシロはいた。シロは、ベッドに横にされたまま寝ている。


「さて、仕事をしようか」


慶子は、スマートフォンをポケットから取り出した。スマートフォンを器用に片手で操作するとあるところに電話を掛けた。


「もしもし、パーティはそろそろ終わるわよね。後2時間くらいで港に着くのね」


電話の相手は、そうだとだけ答えた。


「わかった。さて、そっちはどう」


相手は、特に問題ないとだけ答えると電話を切った。


秋元は、外に出ると思い切りスーツのネクタイを緩めて伸びをした。

海の潮風が秋元の全身を通って行った。すると、徐にタヌキの姿の戻った。


「ふー、やっぱりこっちのありのままの姿の方が楽だね」


タヌキに戻った。秋元の顔はほんのり赤くなっていった。


「もうそろそろ、夕暮れになりそうですね」


真昼は、海の方を見て気分転換しているようだ。

周りの観客たちは、パーティが最高潮に盛り上がったことについてそれぞれ話をして、仕事の話などに夢中なようだ。


「どうしますか、シロさんはどこにいるのでしょうか」


「んー。とりあえず人の多いステージ裏にはいる可能性が低いから、2階の客室に行こうか」


秋元は、憶測を話すと船内をぐるりと見渡した。藤堂は、息を飲んで覚悟したようだ。


「いよいよ、捜査ですね。やっと、出番がきましたね」


「そうだね、現場を押さえたらそこ確保だよ。そして、真昼君はカメラの準備をよろしくね」


「はい、現行犯なら即逮捕します」


「カメラの用意はバッチリです」


真昼は、カメラを顔の所まで上げてそれの存在をアピールした。

三人は、二階の怪しい客室へと向かった。


三人は、それぞれ不気味な廊下や客室を調べながらも同じ廊下を各々進んでいく。

やはり、先ほどと変わらず人の気配が全くない廊下に藤堂は寒気を覚えた。


「なんか、不気味ですねぇ。先ほどもう一度下にいるボーイの方に聞いても二階も全室満室なはずですが、と言われましたよね」


秋元は、廊下や客室のドアに空きが掛かっているのか調べながら歩いている。ドアノブを一つ一つ回しながら進んでいるため最後の部屋にたどり着くまで時間が掛かる。


真昼は、廊下が全体的には薄暗いためにカメラでの撮影は難しいだろうと考えながらもフラッシュを焚きながら廊下や客室のドアや天井などを撮影した。


秋元は、観察を一通り済ませると、まるで子供が新しい玩具を見つけたような華麗なスキップを音も立てずにしながら奥の客室の近くへと向かう。


奥の客室のドアはすでに何者かによって占められていた。


「んー。怪しい匂いが漂っているねぇ」


すると、後ろからいきなり藤堂が秋元の肩を掴んだ。秋元は驚き、尻尾が大きく逆立っていた。秋元は、全身に鳥肌を立てながら後ろを振り向き喋り出した。


「何だい、脅かさないでくれよ。どうしたんだい藤堂君」


藤堂の顔色は蒼白になっていた。


「秋元さん、真昼さんがどこにもいません。さっきまでいましたよねぇ」


「えっ、なんだって」


秋元と藤堂は一旦廊下をすべて調べ直すことにした。廊下はさっきよりも一層薄暗さを増しているように思える。

しばらく探したが、真昼の姿は見つからなかった。



「真昼君が、消えた」



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