表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

好きと嫌い

作者: タツ

いっぱい好きを言おう。

たくさんの好きは笑顔が出るね。

嫌な事もあるけど、好きって言えたら笑顔になるね。

うまく好きって言えなくても、口から好きって出すだけで嫌な事も忘れるね。

好きっていっぱい力持ち。心が悲しくなったら、好きが助けてくれるんだ。

好きって凄いよね。


嫌いって怖い。

嫌いって口から出すとちょっと悲しくなる。

嫌いって言われると心がシクシクするんだよね。

嫌いって強くて力持ち。嫌いにはいつも負けてしまう。

だって、嫌いはいらないとか、知らないとか、全部無くしちゃうから。

だから、言いたくないんだ。嫌いって。

いっぱい嫌いを言ったら笑えなくなるよ。

嫌いって言うと大好きな人も悲しい顔をするね。


今日は公園で好きと嫌いがケンカしてた。

嫌いは好きの言う事も聞かないでずっと怒鳴るんだ。

好きはそんな嫌いを見て悲しい顔をしている。

いつもそうなんだ。好きは優しい目で嫌いを見てるのに、嫌いは好きの事を怒った目で見てる。

嫌いはいつも怒ってる。

好きはいつも笑ってる。

そんな好きの笑顔を見て嫌いはいつも怒ってる。

嫌いが怒鳴ると好きが優しい声で話すんだ。

好きは嫌いに聞いてみた。

「何をそんなに怒ってるの?」

嫌いはそんな事を聞く好きに怒る。

「何でいつも笑ってるんだっ!」

好きは嫌いがそんな事を言うのが不思議だった。

「毎日が楽しいからだよ」

嫌いは楽しい事を知らない。

「楽しいって何だ?いつも笑ってバカにしてるんだろう?」

好きと嫌いのケンカはいつもこうだ。


昨日はレストランの中で。

嫌いがピーマンとニンジンが入ったスパゲティに怒っている。

好きはピーマンとニンジンが入ったピラフをニコニコしながら食べている。

嫌いはピーマンとニンジンをフォークでお皿から取って好きに投げた。

好きはそんな事にはお構い無しにピラフをニコニコして食べ続けた。

嫌いはそんな好きを見て怒った。

「怒らないの?僕が食べたくないピーマンとニンジンを君に投げたんだよ」

好きは悲しくなった。

「ピーマンもニンジンも美味しいよ。美味しく食べると笑顔になるよ」

嫌いは好きが言ってる事が理解出来なかった。

「こんなまずい物をスパゲティに入れるなんて信じらんない。全然楽しくないよ」

好きは食事をしている時も怒っている嫌いの事が気の毒に思えた。

「こんなに美味しいのに勿体無いね」

好きは嫌いが投げたピーマンとニンジンをテーブルから拾って食べた。

嫌いはそれを見て汚いと思って好きを怒った。

「君は何て意地汚いんだ。考えらんない」

好きと嫌いの食事中のケンカはいつもこうだ。


日曜日は海で好きと嫌いがケンカをしていた。

好きは波の音を聞いて、足でパタパタ砂浜を走って波を追いかけるのが楽しい。

嫌いは海がしょっぱい事に怒って、海で濡れるとベタベタするので怒鳴ってる。

好きは貝殻を拾ったり、砂の山を作ってニコニコ。

嫌いは海に浮いている空き缶やゴミ袋にプンプン。

好きは海に潜って沢山のきれいなお魚と一緒に泳いでお腹がペコリ。

砂浜に戻っておにぎりを頬張ったら笑顔になった。

嫌いは海に潜ったら沢山の海藻が足に絡まって気持ちが悪かった。

砂浜に戻ってサンドイッチを食べようと思ったら、海風が吹いて砂だらけになったので海に向かって怒った。

そんな嫌いを見て好きが自分の食べていたおにぎりを半分嫌いにあげた。

「お腹ペコリでしょ。おにぎり美味しいよ」

嫌いは好きが食べかけのおにぎりを自分にくれた事に腹を立てた。

「君の食べかけなんかいらないよ。僕をバカにしてるの?」

好きは大好きな海の前でいつものようにケンカをしたくなかった。

「ごめんね。じゃぁ、麦茶飲もうよ」

嫌いは好きが麦茶を水筒から自分が使っていたコップに注いで渡してきたので怒った。

「なんで君が使ったコップを僕が使わなきゃいけないんだ。肌や髪の毛が海の塩でベタベタするし、好きな物も食べたい時に食べれないなんて!」

嫌いは怒鳴り散らかした。好きは一生懸命になって嫌いが喜びそうな事を言うが、嫌いは怒るばかりで好きの言う事を聞かない。いつもそう。二人の意見は合わないでケンカばかり。


うちは好きを応援したんだけど、いつも嫌いが勝ってしまう。

うちは悲しくなって、嫌いに「だいっきらい」と言った。

そうしたら好きが、「そんな事いっちゃ駄目だよ。嫌いがかわいそうだよ」と言ってたくさん涙を流した。

好きの涙がなかなか止まらなくて、わんわん泣いていたら公園に小さなプールが出来た。

うちは、好きが泣き止んで欲しいと思って、嫌いとそのプールで遊び始めた。

うちは、だんだん楽しくなって、嫌いと夢中になって遊んだ。

嫌いも楽しくなったのか、声をあげて笑顔になった。

いつの間にか、好きも泣き止んで一緒に遊んだ。

夕方になったので好きと嫌いに「また明日」をした。

また明日。

好きと嫌いと一緒に遊ぼう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ