表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読書好きの悪役令嬢は、世界の筋書きを読まない  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/92

シーン7:レイスの自覚 ― 使い分ける存在へ

夜営の火は小さい。

枝を二、三本足しただけの、暖を取るための光。


レイスはその傍らに座り、手を伸ばさない。

魔法陣も描かない。

ただ、意識だけを動かす。


――結界。


かつては無意識に張られていたそれを、今は「操作対象」として捉えている。

存在を確かめるように、薄く展開する。


空気が変わらない。

音も、視線も、因果も、遮断されない。


強度を少し上げる。

範囲を、焚き火の外縁までに限定する。

対象条件を「干渉を成立させようとする意思」に絞る。


結果は即座に現れる。


夜の気配はそのままに、

近づこうとする意図だけが、滑るように外れる。


イオは火の向こうで本を閉じる。

視線は合う。

距離も変わらない。


結界は、彼を弾かない。


レイスは理解する。


解除。

再展開。

今度はさらに弱く、ほとんど膜に近い状態で。


結界は「ある」と分かるが、何も拒まない。

ただ、境界として機能しているだけだ。


(……閉じるためじゃない)


以前の結界は、外を消すためのものだった。

音を。

視線を。

偶然を。


だが今は違う。


(近づける相手を、選ぶため)


世界を遮断するのではない。

世界に委ねるのでもない。


どの関係を成立させ、

どの関係を「成立しないまま」にしておくか。


その判断を、世界にも物語にも渡さない。


自分で決める。


レイスは結界を完全に解く。

夜は変わらず、静かだ。


だがそれは、

押し付けられた静寂ではない。


世界との距離が、初めて「調整可能」なものとして存在している。


防衛ではない。

拒絶でもない。


関係設計。


レイス・フォル・デイオールは、

結界を張る存在から、

結界を使い分ける存在へと、静かに移行していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ