シーン6:世界修正核 ― 管理対象からの除外
――世界修正核/内部記録断章――
観測層が静止する。
優先度テーブルが再計算され、該当項目が削除される。
対象ID:レイス・フォル・デイオール
状態照合、最終確認。
因果生成ログ:なし。
集中係数:基準値以下。
イベント寄与率:測定不能。
主人公性判定:未付与。
代替候補の発生:多数。
物語圧力:検出されず。
過去ログとの照合が行われる。
かつては異常値。
かつては注視対象。
かつては、介入検討域。
だが現在――
対象は、因果を引き寄せない。
拒否もしない。
選別は行うが、集中を生まない。
世界を止めない。
世界を進めない。
世界に意味を要求しない。
判定プロセスが短縮される。
「管理理由、消失」
フラグが落ちる音はない。
通知も発生しない。
管理状態:解除。
介入権限:失効。
観測優先度:最低。
新規ログが一行だけ残る。
「対象は、世界の進行条件に非寄与」
記録処理が試みられる。
だが、保存対象リストに該当しない。
「記録対象外」
それは排除ではない。
拒絶でもない。
問題でなくなった、というだけだ。
世界は、彼女を修正すべき誤差として認識しない。
同時に、守るべき中心とも認識しない。
ただ――
世界の外でも、内でもない位置に置く。
処理系は次の対象へ移行する。
補正アルゴリズムは別の揺らぎを探し始める。
レイス・フォル・デイオール。
彼女は、管理から外れた。
自由になったのではない。
管理する理由が、消えただけだった。




