表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読書好きの悪役令嬢は、世界の筋書きを読まない  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/92

シーン3:落下 ― “一冊だけ”が結界を通過する

音がした。


乾いた音ではない。

軽くもない。


本が落ちた音だ。


レイスは、

すぐに顔を上げなかった。


反射的に身構えることもない。


図書室の床に、

一冊の本が伏せて落ちている。


厚みがある。

装丁は、古い。


結界が張られているこの場所で、

物が突然現れることは、

本来ありえない。


それでも――

弾かれた感触がない。


結界特有の、

「触れた瞬間にずれる」あの抵抗が、

一切なかった。


代わりにあったのは、

ほんの一瞬の揺らぎ。


水面に、

小石が触れた程度の。


レイスは、

ようやく立ち上がり、

本に近づく。


(……落ちた?)


驚きは、ない。


だが、

違和感は、確かにある。


人ではない。

誰かが投げ込んだわけでもない。


魔力の意図も、

感情の痕跡も、

感じられない。


ただ、

そこに来てしまった。


結界は、

何も拒まなかった。


拒む理由が、

存在しなかったからだ。


意図がない。

敵意もない。

干渉しようとする意思もない。


だから――

通過した。


レイスは、

本を拾い上げる。


重みが、

現実を主張する。


結界は、

破れていない。


だが、

何かが――

確かに、

内側に入ってきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ