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読書好きの悪役令嬢は、世界の筋書きを読まない  作者: 南蛇井


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第五章 「結界を一瞬だけ通過した本」  シーン1:断罪の場の余波 ― 取り残されたもの

大広間には、

もう人はいなかった。


正確には――

ほとんどいない。


静かな足音が、

床を行き来する。


清掃係が、

黙々と椅子を片付けている。


並べられていた列は崩され、

重ねられ、

壁際へと運ばれていく。


そこに、

意味は残っていない。


剣は、

丁寧に鞘へ戻された。


抜かれなかった刃は、

光る必要を失い、

布に包まれる。


誰も、

その重さについて語らない。


証言台は、

最後まで動かされなかった。


影だけが、

床に残る。


語られなかった言葉の分だけ、

影は、少し長い。


大広間は、

終わったわけではない。


かといって、

始まったわけでもない。


断罪は、

完遂されなかったのではなく、

発生しなかった。


だから、

片付ける理由も、

本当は存在しない。


それでも、

人は片付ける。


世界は、

後処理を始める。


理由が説明できなくても、

形だけは整える。


椅子が消え、

剣が収まり、

声が失われる。


残ったのは、

使われなかった舞台だけだ。


世界は、

まだ沈黙の中にある。


だが、

その沈黙を

どう扱えばいいのかは――

誰も知らなかった。

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