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読書好きの悪役令嬢は、世界の筋書きを読まない  作者: 南蛇井


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シーン5:攻略対象候補たち視点 ― 名指し不能

――最初の男は、

列の中で一歩、前に出た。


彼は、彼女を知っている。

顔も、立ち居振る舞いも、思い出せる。


(彼女は確かに……)


そこまで考えて、

思考が止まる。


確かに、何だったのか。

何をしたのか。


言葉にしようとすると、

輪郭が崩れる。


彼は、口を閉じた。


――次の男は、

無意識に名を呼ぼうとした。


喉まで、音が上がる。


だが、

最後の一音が出ない。


(……違う)


彼女は、そこにいた。

存在していた。


だが、

罪と結びつかない。


結びつけるための、

感情がない。


彼は、

小さく首を振った。


――別の一人は、

記憶を辿る。


過去の会話。

廊下ですれ違った瞬間。

図書室の背中。


どれも、

思い出せる。


だが、

評価ができない。


(……何を、

断じるんだ?)


問いだけが残る。


――誰かが、

助け舟を出そうとした。


「彼女は確かに――」


そこで、言葉が切れる。


続きが、

存在しない。


群衆の空気が、

わずかに揺れる。


だが、

誰も一歩を踏み出せない。


共通しているのは、

一つだけだ。


レイスの顔は、思い出せる。

名前も、分かる。


それなのに――

罪だけが、結びつかない。


名指しが、成立しない。

言語化が、完了しない。


世界は、

ここで初めて、

言葉を失った。

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