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読書好きの悪役令嬢は、世界の筋書きを読まない  作者: 南蛇井


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シーン11:第三章の締め ― 静かな不穏

図書室は、

いつもと同じだった。


石の床。

高い天井。

規則正しく並ぶ書架。


音はない。

正確には――

届いていない。


レイスは、奥の席で本を開いている。

ページをめくる速度も、

注釈を書く手も、変わらない。


集中は、保たれている。


それでも、

今日は少しだけ、

本の外に意識が向いていた。


学院は、穏やかだ。

誰も争っていない。

誰も傷ついていない。


破滅の兆しも、

混乱の気配も、ない。


(……やりすぎたかもしれない)


内心で、そう呟く。


断定ではない。

後悔でもない。


ただの、仮の結論。


均した。

尖りを削った。


その結果、

世界は安全になった。


同時に――

動かなくなった。


結界を、解くつもりはない。


必要だから張った。

今も、必要だ。


世界を、敵だとも思わない。


合理的で、

一貫した仕組みだ。


理解できる。

尊重もできる。


だからこそ、

この状況が、少しだけ重い。


誰も苦しんでいない。

それなのに――

物語が、死んでいる。


進まない。

育たない。

変わらない。


静寂は、

平穏とよく似ている。


レイスは、しおりを挟んで本を閉じた。


今日の読書は、

ここまで。


第三章は、

問いを残したまま終わる。


結界は、

世界を壊していない。


だが、

世界を生かしてもいない。


次に起きるのは、

衝突ではない。


破壊でも、修正でもない。


――例外だ。


静かな不穏は、

その予感だけを残して、

図書室の奥に沈んでいった。

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