詩 やっと帰郷
「お前、存在しない故郷にどう帰るつもりだ」
「皆そんな国はないと言うけれど」
「私はきっとまだどこかで続いていると信じている」
懐かしさがこみあげてくる
嬉しかった
帰れたから
懐かしさがこみあげてくる
だいぶ時間がたったけど
やっとここに戻ってこれたから
心の中の
一番奥の
古い記憶の
安心できるところ
私は帰った
ついに帰れた
ここでようやく
今ようやく
やっと そうだ
もう そうなんだ
懐かしさに支配される
体が震えて止まらない
懐かしさで満たされる
やっと やっと
「もうこの世界のどこにも存在しないなんて思わなかった」
「誰の記憶の中に残っていなくても」
「どれだけの時間がたっていても」