身も心も、冷たく―――
……暗い。
暗い、どこまでも暗い闇の中に、実は放り投げられていた。
地面の感覚も、自分の体の感覚もない。
五感も消え失せた混沌とした闇の中に、精度を欠いた意識だけが浮かんでいる。
全てを塗り潰す闇に、自分という存在自体も溶かされていきそうだ。
そもそも自分は、本当に存在しているのだろうか…?
そんな風に思考すらも奪われそうになっていた時、遠くに何かが見えた。
青い世界に、人が二人。
一人は学校の制服を着ていて、もう一人は彼の腰くらいの身長の子供だ。
よくよく見て、それが拓也と幼い自分なのだと知る。
ふいに、子供が何かを放った。
その後二人は、数度言葉を交わしている。
何を話しているのかは分からない。
拓也が子供から離れて、青の世界から消えていく。
その直後、急に音が耳に入ってきた。
何かが崩れる音だ。
その音を聞いた子供は、顔を上げると―――
「……死んだか。」
そう呟いた。
「かなり楽に殺してやったんだから、感謝してよね。」
子供は無邪気な高い声で言う。
―――ああ、そうか……
感覚がない中で目を閉じて、落胆したように、そして脱力するように細く息を吐いた。
―――俺は……
事実を頑なに拒んでいた意地が抜け落ちていく。
もう、何もかもがどうでもよかった。
―――俺はもう………殺してしまっていたのか……
体の髄で、まるで氷が溶けるように、ひんやりとした何かが爆発して―――




