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武神さまと一緒 私、最強の力を手に入れてものんびりするのが希望です  作者: かっぱん


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76 準備をしよう





 宿に泊まって、ふかふかベッドでぐっすり眠って、翌朝。


「んー! すっきり! やっぱりお布団って最高だねー!」


 私の目覚めはよかった。

 体も柔らかい。


「おはようございます、ご主人様」


 となりの部屋で寝ていたラズは、すでに室内着からメイド服に着替えていた。

 私も着替えた。

 服は綺麗になっていて、ちゃんと乾いていた。

 さすがはお高い宿だ。


「そういえばカメさまは?」


 私の頭の上にも、部屋の中にもいない様子だけど。


「カメさまはお風呂場で、浴槽にお湯を張って泳いでいます」

「あはは。朝から元気だねー」

「はい。そうですね」


 この部屋には、トイレもお風呂も付いている。

 豪華なのだ。


「あーしかし、ちゃんとお布団にくるまって寝ると、疲れもしっかりと取れるねー。今日も頑張れそうだよー」


 先日のキャンプ泊は楽しかったけど、朝は体が重かった。


「そうですねえ……。私も昨夜は、本当に気持ちよく眠れました……。こんなに安心して寝られたのはいつぶりかわかりません……」

「そっかぁ。ラズは、洞窟に隠れていたんだよね?」

「はい。いつ襲われるかわからなくて、怖くてしょうがなかったです。それに元の世界にいた時は奴隷でしたし……。向こうでも、いつ殴られるかわからなくてビクビクしていました……。ご主人様と出会えて私は幸せですう」

「あー! 朝から泣かないでー! もう平気だからー!」


 泣いちゃったラズをあやしていると、カメさまが部屋に戻ってきた。


「ふー。快適だったのである。むむ。朝からアニスは、何を泣かしているのであるか」

「私じゃないからね!?」

「まあ、良いのである。それより朝食に行くのである」


 ラズに泣き止んでもらって、私達は部屋から出て、レストランに向かった。

 朝食はビュッフェ形式で好きなものを食べることができた。

 ただ残念ながらキノコはなかった。

 カメさまはガックリしていたけど、その他のメニューはパンからソーセージにサラダやフルーツまで豊富に用意されていた。

 私とラズはお腹いっぱいに食べた。

 カメさまも最初は愚痴っていたけど、サラダをムシャムシャした。

 新鮮で不味くはなかったそうだ。

 大いに満足して、私達は部屋に戻った。

 チェックアウトの時間までには、まだかなりの余裕がある。


「ねえ、カメさま。今日はどうするの?」

「修行である」

「それはわかっているけど……。具体的にはどうするのかなぁと思って」


 実はまだ、何も聞いていないのだ。

 楽しい修行をする、という話にはなっていたけど。


「まずは市場に行って、ラズが背負える鞄を買うのである。そして、その鞄に、たくさん食料を詰め込むのである」

「それで、どうするの? 大食い大会とか?」

「どうして大食い大会などをするのであるか」

「え。だって、たくさんの食べ物っていうからさあ……」


 するかなぁ、と。


「するのは修行である。食料を手に入れたら町を出て、空から修行場を探すのである」

「なるほど! ってさ、カメさま……」

「なんであるか?」

「食料ってことは、もしかして、またキャンプ? 私、野外で泊まるのは、楽しいけど疲れが取れないから嫌だなぁ」

「安心するのである。まずは日帰りである。たくさんの食料は、大半が土産である」

「誰への?」

「土の精霊である。今日の訓練を手伝ってもらう予定なのである」

「へー。すごいねー」


 楽しいことになりそうだ。


「ていうか日帰りは、まずはなんだ?」

「で、ある。仕上げでは外泊の予定である」


 まあ、せっかくの旅なんだし、もう一回くらいはキャンプもいいか。

 夜空の下での焚き火は楽しかったし。


「それで、どんな訓練をするの?」

「ふふー。それはお楽しみなのである。とはいえ、安心するのである。ちゃんと訓練は遊び感覚を予定しているのである」

「わーい。ありがとー」


 私は安心して任せることにした。


 私達は宿を出た。


 市場に出て、ラズ用の鞄を探す。

 ラズは体力満点で、自分の背中よりも大きなバックパックでも余裕で背負えるというので旅用の大きなものにした。

 バックパックは、銀貨一枚だった。


 その後は、いくつかのお店を回って食べ物を購入していった。

 パン、干し肉、フルーツ、チーズ。

 そのまま食べられるものを中心に選んだ。

 あとは、キノコ。


「あとは何か必要なものってあるかなぁ?」


 私はいろいろ提案してみたけど……。


 ポーションやキズぐすりは必要ない。

 ラズが治癒の魔法を使える。


 万が一、暗くなるまで帰れなかったとしても……。

 火をつけることはラズの魔法で可能。

 明かりも、ラズは光の玉を魔法で出せる。

 バッチリだ。

 雨が降ったとしても、防御魔法を傘のように展開して防げるらしい。


「ラズってすごいねー」

「何を言うのである! 光ることなら我の右に出る者はいないのである! アニスは我の輝きを忘れたのであるか!」

「町中で光らないでー! カメさまが最強なのはわかってるからー!」


 何故か対抗心を燃やしたカメさまが町中で光って慌てる場面もあったけれど……。

 買い物自体はトラブルなくおわった。

 結局、追加では何も買わなかった。

 カメさまとラズがいれば、竜だろうが魔王だろうがなんとかなってしまう。

 もしも二人とはぐれたら……。

 道具なんて持っていても、私では無理だし。

 その点については、私はいさぎよく始める前から諦めました。






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