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武神さまと一緒 私、最強の力を手に入れてものんびりするのが希望です  作者: かっぱん


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67 荒野のキャンプ






 こんばんは、私、アニスです。

 私は、どこかもわからない荒野の、岩の高台にいます。

 目の前では……。


 パチパチ、パチパチ……。


 と、心地よく焚き火が燃えています。

 星空の下で見る焚き火は、本当に格別です。

 揺らめく火を見つめているだけで、不思議と心が落ち着きます。

 しかも温かいし。


「ほふ! ほふほふ! はぁぁぁぁ! やはり、キノコは焼くに限るのである! ラズよ、其方もなかなかやることを認めてやるのである」


 カメさまは私のとなりで、夢中でキノコを食べていた。


「ありがとうこざいます、先輩! ゴミクズ雑魚の私ですが、見捨てられないように精一杯頑張りますので今後ともよろしくお願いします!」

「うむ。任せるのである」

「ありがとうございます!」


 焚き火を起こしてくれたのは、メイドの姿をした少女ラズだ。

 枯れ木を取ってきて、薪に変えて、セッティングして、魔術で火をつけて……。

 すべてを一人でやってくれた。

 ありがたや。


 私は静かに肉を食べていた。

 もぐもぐ。

 もぐもぐ。

 頬張りすぎてしまって、今はしゃべれないのだ。

 キノコと一緒に塩を持ってきたのは正解だった。

 野性味のある肉も、塩を振りかけるだけで、キューッと味が引き締まって、実に美味しく食べることができた。


 ちなみに肉も、ラズが一人で獲物を捌いて作ってくれた。

 ありがたや。


「うう……。私、強くて優しいお二人に拾われて、本当によかったです」


 なんてラズは泣いているけど……。

 ひたすら自己評価が低いだけで、ラズは強くて万能だ。


 肉を飲み込んで、私が笑いながらそのあたりのことを伝えても、


「ううう……! 優しさが胸に染みますううう! ゴミクズ雑魚な私に生きる場所を与えてくれてありがとうございますううう!」


 さらに泣かれてしまって、納得はしてもらえないけど。

 まあ、うん。

 しつこく言うのも逆効果だろうし、その話はしばらくやめておこう。


 さらには脇には、皮と牙があった。

 町に持っていけば高く売れそうだ。

 ただ、大きすぎてバックパックに入らないし、そもそも重いので、残念ながら持っていくのは無理っぽいけど。

 くくりつけるにしても、ロープなんて持っていないしね……。

 完全に準備不足だ。


 肉を食べて、水筒の水を飲んで、満足。

 もちろん水はラズとカメさまにもあげた。


「ねえ、ラズ。飲める水って探せる?」

「飲める水、ですか……」

「難しい?」

「あ、いえ。私自身は泥水でも平気なので……。どれくらいのものかなぁと……」

「そうだねえ……。湧き水とか」


 川や池の水は、そのまま飲むとお腹を壊す。

 私もそれは知っている。


「わかりました! 夜が明けたら探してみます!」

「あ、ううん。その時間があるなら、飛んで町を探そ。すぐに見つけられるものかなーと思って聞いただけだから」

「そうですかぁ……。お力になれず申し訳ありません……」

「気にしないでー。私、ホント、ラズがいてよかったと思ってるから。カメさまと私だけだったらどうなっていたことか」

「それはもっと楽だったのである」


 カメさまが横から口を挟んだ。


「もー。カメさまー」


 どうしていちいちラズに食ってかかるのか。


「アニス、コップを掲げるのである」

「うん。どうして?」


 聞きつつ、私は言われた通りにした。

 カメさまが浮き上がる。


「我の魔法の力を見るのである。クリエイト・ウォーター、である」


 カメさまが魔法で、水を作ってくれた。

 とぽとぽとぽ……。

 と、勢いこそ弱いものの、空中から現れた水がコップに注がれる。


「おおー。すごいねー」

「綺麗な水なのである。飲んでみるのである」

「うん……。わかった……」


 魔法の水かぁ。

 ちょっと緊張しつつ飲んでみた。

 ごくごく。


「ん。美味しい!」

「で、ある。ふふー。ラズよ、わかったであるか? 我はカイロとなってアニスを温めることができるし、アニスを潤すこともできるのである。我の勝ちなのである」

「負けましたぁぁぁぁぁ!」

「勝負じゃないからね? 二人もすごいからね? 負けたっていうなら私だからね?」


 まあ、いいけど。


 勝ち誇るカメさまと負け誇るラズを見つつ、私は笑った。


 こうして私の――。


 初めてのキャンプは、楽しく過ぎていくのだった。













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