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武神さまと一緒 私、最強の力を手に入れてものんびりするのが希望です  作者: かっぱん


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56 町で昼食!





「ちなみにアニス、先程のジョーとは、おそらく学院で会うのである」

「あー。そっかー。言ってたねー」


 たしカニ。

 私は両手をチョキチョキさせた。


「まあ、でも、私、今、認識阻害のスカーフをしているし? 多分、会っても、向こうからはわからないよね?」

「で、ある。アニスの方が気をつけてさえいれば、同じクラスになって面と向かうほどの偶然がなければバレることはないのである」

「ならいいよねー」


 あははー。


 私は気楽に受け流した。

 なにしろ王都の学院と言えば、とっても大きいと聞いている。

 しかも、私は無印者だ。

 風の魔術刻印持ちのジョーと同じクラスになる可能性はない。


 まあ、うん。


 ジョーのことは、明るくていい子だとは思った。

 だから、お友達になれるのなら、なりたいなぁーとは思うんだけどね……。

 でも、無印者の私が、エリートのジョーと友達なんて……。

 やっぱりどうしても引け目を感じてしまうのだ……。


「はあ」


 私はうなだれて息をついた。


「アニス、いきなりどうしたのである?」

「なんか私、無印者なのに学院に行くのかぁって思ったら、気が重くなったよ」

「ふむ。学院というのは、刻印持ちだけのものなのであるか?」

「そうじゃないとは聞いているけどね。普通科は無印の生徒が中心みたいだし」

「なら問題ないのである」

「だけどさ……。私、貴族の子だし……。きっと浮きまくりだよね……」


 貴族の子は、刻印を持っているのが当然なのだ。

 持っていない貴族の子は、表舞台に出ることなく密やかに生きるのが当然なのだ。

 無印の生徒は平民なのだ。

 私はきっと確実に、貴族の生徒からものすごくバカにされるだろう……。


「今のアニスであれば、並の刻印持ちなど敵ではないのであるが。蹴散らして、実力を示してやれば良いのである」

「思いっきり目立つよね、それ……」


 刻印がないのに強いなんて。

 それは、うん。


「ヤダヤダー」


 なのです。


「我儘なのである」

「いざとなったら助けてね、カメさま」

「当然なのである。いざという時にはすべてを蹂躙してやるのである」

「穏便にお願いね!?」


 ともかく不安だらけだけど、カメさまがいれば安心だ。

 私は少し気が楽になった。

 楽になったところで、お腹がペコペコなことを思い出した。


「ねえ、カメさま。どこかの食堂に入ってみよっか」

「で、ある。もしかしたら、ゴールデンボンバーも売っているかもなのである」

「でも、私みたいな子供が一人で入って、変な目で見られないかなぁ……」


 それが心配だ。


「堂々としていれば平気なのである。ジョーを見習うのである。アニスはいかにも良家の子だから疑われることはないのである」

「……私って、本当に良家の子に見えるの?」


 メイドさんにも言われたけど。


「見えるのである。髪も肌も汚れておらず、服も上質。アニスはもう少し、金持ちと貧乏人の違いを理解するのである」

「そっかぁ。わかったぁ。頑張る」

「さあ、キノコである!」

「うん! だねー!」


 問題ないなら、さあ、美味しいものを食べよー!

 おー!


 で、早速、良さそうなお店を見つけた。

 オープンテラスのお店で、中の様子は外からでも見ることができた。

 テーブルが均等に並べられていて、たくさんのお客さんがいた。

 メニューの書かれた看板も出ていた。

 パスタから肉料理からスープ類まで、いろいろと出してくれるお店のようだ。


 ――アニス、看板の一番上を見るのである! 名物、ゴールデンボンバーの串焼きと書かれているのである!

 ――うん。あるねー。


 私達はこのお店に決めた。

 通り側であれば、まだテーブルは空いていた。


 私はカチコチに緊張しつつ、席に着いてみた。

 ドキドキ……。

 どうだろ……。

 無視されたり追い返されたりしないか心配だったけど……。

 店員のお姉さんが、普通に注文を聞きに来てくれた。

 よかった!

 ただ残念ながら、ゴールデンボンバーの串焼きは注文できなかった。

 やっぱり今は採れないようだ。

 キノコのグラタンなら作れるとのことで、それを注文した。


 ――楽しみなのである。北の地のキノコは、どんな味がするのか。


 ゴールデンボンバーはなかったけど、カメさまは上機嫌だった。


 ――キノコは、さっき道端で食べてなかった?


 私は笑った。


 ――あれは生だったのである。生は生で良いものではあるが、キノコは調理してこそ真価を発揮するのである。

 ――それはそっかー。そうだねー。


 いろいろな味もつくし。

 北の町のキノコのグラタン、私も楽しみだ。


 と思ったら……。

 はい。


「よう、嬢ちゃん、ニコニコして一人で楽しそうだなぁ」

「これから昼食かい?」

「よくないぞお。この町は今、恐い冒険者のお兄さん達がたくさんいるからねえ。女の子なんてさらわれちゃうぞ」


 ああああああああああああ!

 なんか怖そうな人達が来て、囲まれたぁぁぁぁ!


「ああ、そうだ。俺達が臨時のボディガードをしてやろうか?」

「おう。それはいいな」

「報酬は、飯と、そうだなぁ……。ああ、お父さんに紹介してもらおうか?」

「そうだな。俺等が危ないところを助けてやったってな」


 なんか、はい……。

 勝手に座られちゃったんですけど……。


 ――助けてえ! カメさまぁぁぁ!

 ――こんな雑魚共、アニスで十分なのである。

 ――無理ぃぃぃ! こんな大きくて怖そうな人達、相手にできないよおおお!

 ――仕方ないのである。


 カメさまがすうっと私の中に入った。 

 憑依だ。

 私は、すべてお任せする!


 カメさまは、うん、はい。

 静かに席を立つと――。

 怖そうな人達の首根っこを掴んで、問答無用で全員――。

 軽々と外に放り投げた。

 当然、怖そうな人達は怒るけど、さらにカメさまは容赦なかった。

 全員、蹴っ飛ばして……。

 なんか、うん。

 紙クズみたいに、遥か遠くまで転がせてしまった。

 それでみんな、気絶しちゃったようだ。

 少し待つけど、もう静かだった。


「ねえ、カメさま……」

「安心するのである。殺してはいないである」

「そっかぁ。ならいいけど」


 私と私の声でそんな会話をした後、私はお店に戻った。

 カメさまは、席に着いたところで憑依を解除して、テーブルの上に乗った。


「君、強いのね! あのクソ連中をぶっ飛ばして! すっきりしたわ!」


 ウェイトレスさんが興奮した声で近づいてくる。

 テーブルにグラタンを置いてくれた。


「そーそー。あいつらよぉ……。最近は魔物が多いからしゃぁないんだけどさ……。よそから来た冒険者なんてロクなもんじゃねぇよなぁ……」


 お客さんのおじさんがぼやいた。


「それにしてもお嬢さん、やっぱり刻印持ちかい? もしかして、ウェイガー様のお供の誰かのお子さんかい?」


 別のお客さんが私に聞いてくる。


「あ、えーと……。秘密で……」

「わはは! そりゃそうか! 他人に言うこっちゃないわな! すまんすまん!」


 私は、お店の人達に褒め称えられた。

 さっきの人達は、私にちょっかいをかけたのが初めてではないらしい。

 町の人達に絡んでは、護衛料だの指導料だのと理屈をつけて、小銭をせしめているそうだ。


「まあ、でも、あと少しの辛抱だ」

「だな。十剣のウェイガー様が援軍に来てくれたんだ。竜だって退治できるさ」

「早く静かな町に戻ってほしいもんだぜ……」


 町の人達の視線が離れてから、私はグラタンをいただいた。

 キノコのグラタンは絶品だった。

 私は大いに堪能した。

 カメさまも、トロトロでアツアツなクリームに絡んだキノコを気に入ったようだ。







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