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武神さまと一緒 私、最強の力を手に入れてものんびりするのが希望です  作者: かっぱん


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39/80

39 決着





 私、アニスは今、必死に星の渦に向かってマナの力を注いでいた。

 私は、うん……。

 とにかく気絶しないように気張っているだけで、実際に力を行使しているのは憑依しているカメさまなんだけど……。

 使われているのは私の体なので……。

 際限なく昂ぶる動悸の中、背中や肩が酷く痛くて……。

 我慢しているだけでも大変なのだ。


 そんな中、私は見た。


「ねえ、カメさま……。気のせいか、なんかポロポロと出てきていない?」

「隙間から抜けてくるものなど、ただの小物なのである。気にする必要はないのである」

「そっかー。ならいいけど……」


 私達の周囲では、タビアお姉様とファラーテ様が二人の魔人と死闘を繰り広げている。

 視界の隅に、幾筋もの光がきらめいて見えた。

 どちらが優勢なのかはよくわからないけど、お姉様とファラーテ様は力を合わせて強大な敵に立ち向かっているようだ。


 あと、町の方からは……。

 カンカンカンカン!

 という激しい鐘の音と共に、

 魔物だー!

 魔物の襲撃だー!

 そう怒鳴る男の人声が、いくつも聞こえる。


「ねえ、カメさま……。町も大変なことになってそうなんだけど……」

「星の光にあてられて、魔物も活性化したのであるな。ニンゲンの町など、暴食の会場にうってつけなのである」

「大丈夫なの、それ……!?」

「町のことは、町のニンゲンの責任である。知らんのである」

「私も町のニンゲンなんですけどー!」


 まあ、うん。

 とはいえ、私達にどうにもできないのはわかる。

 今この状況で精一杯だし。

 領兵の人達に頑張ってもらうしかない。


「ねえ、カメさまー!」

「今度はなんであるかー!」

「なんか、さ……。私の気のせいならいいんだけど、大きいの出てきてない?」

「ふむ」

「気のせい?」

「いや、気のせいではないのである。あれは竜であるな」

「竜ー!? それって大丈夫なの!?」

「大丈夫である。ちょうど良いのである。あのデカブツが通り抜けた後の空白を狙って、一気に扉を閉じるのである」

「竜は?」

「とにかく今は扉を閉めるのである。運が良ければ竜も一緒に始末もできるのである」

「うん。わかった……!」


 星の渦の中から、翼を広げた巨大な竜が姿を現す。

 竜の咆哮が、世界に響き渡った。


「いくのである!」

「うん!」


 そんな中、私はカメさまと共に渾身の力を振り絞った。


「全力全霊である!」


 カメさまが掲げた両手の先に光を集める。


「カメ・インパクト――!」


 全力の技名もカメだった。

 まあ、うん、私的には、カメカメドーンとか思ったけど……。

 とか、私が思う中――。


 カメさまの放った特大のマナの光が、一気に空へと飛んでいって、爆発する。

 その爆発は、星の光さえかき消して――。

 世界をまるで昼間のように明るく染めた。


「やったであるか!?」


 カメさまが言う。


 残念ながら竜は逃したようだ。

 光の中、飛んで逃げていくシルエットが見えた。


 ただ、うん。


 やがて光が収まる中――。


 渦巻いていた星の光は、綺麗さっぱりと消えているのはわかった。


「ふう。やったのである」


 カメさまが私の額の汗を手で拭った。

 私は全身が汗でびっしょりだ。

 冷たい夜風の中、一気に体が冷えていくのがわかる。


「おっと、である」


 カメさまが神刀ヨミを抜いた。


 シュン――。


 と、一瞬の動きで、湖岸にいた二人の魔人を斬って捨てる。

 魔人は魔石になった。


「お主らも、よく粘ったのである。褒めてやるのである」


 カメさまが、お姉様とファラーテ様に、上から目線で微笑みを向けた。

 カメさまといっても、それは私だ。


 ――ちょー! お姉様とファラーテ様に、そんな偉そうなー!


 私は大いに慌てたけど……。


「「ありがとうございます」」


 二人は揃って、私に頭を下げてきた。

 やめてー!

 私はひたすらに恐縮した。


「しかし、まだおわってはおらぬのである。早く町に行くのである」


 カメさまが言う。


「わかりました」

「ええ――。そうですの」


 二人はうなずくと、顔を見合わせて――。

 魔物の襲撃で大騒ぎとなっている町に、全力で駆けていった。


 私は一人になる。


「ふいー」


 そして、その場にへたりこんだ。









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