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武神さまと一緒 私、最強の力を手に入れてものんびりするのが希望です  作者: かっぱん


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17 封印石の広場にて





 歩道から外れて、森の奥へと向かう。


「アニスさんは、本当によく森に入っているのね。獣道すらない森の中を、迷わず歩けるなんて」

「あはは。私、キノコ採りだけが趣味なので」


 本当はカメさまが教えてくれているからだけど。

 普段は奥までは来ません。


「あのお、ファラーテ様……。もしも、なんですけど……。もしも封印石が倒れて割れたりしたら、どうなるんですか?」

「大変なことになりますの」

「というと……。やっぱり魔王が出たりとか?」

「幸いにも、魔王復活の事例はありません。過去に封印石が倒れてしまった時には、大型の魔物が現れて周囲の町に大きな被害が出ましたね」

「……被害ってやっぱり、火を放たれて、とかですか?」

「随分と具体的に聞きますのね?」

「あ、いえー。あははー。実際に見たとか襲われたとか、そういうわけではないんですけどねー。そういう本があった気がしてー」


 私は笑って誤魔化した。


「それは、どんな物語ですの? タイトルは? 興味がありますの」


 う。


 真面目な顔で聞き返された。


「すみません……。どんな本なのかまでは覚えていなくて……。小さな頃だったと思いますので……」

「あら。そうですの。それは残念ですわ」


 よかった!

 あきらめてくれた!


 ――アニスは迂闊者なのである。

 ――こめんよー!


 現場に到着した。


 森の中の土くれの広場は、私が立ち去った時から変わっていなかった。

 大きな岩がバッタリと倒れて割れていて……。

 魔石が脇に転がっていた。


「これは――! なんということ――」


 倒れて割れた岩に、ファラーテ様がふらついた足取りで近づく。


「お嬢様、こっちこっちー!」


 メイドの女の子は、真っ先に魔石に気づいていた。

 駆け寄って、ファラーテ様を呼び寄せる。


「これは……。魔石……、ですのよね……」

「まさに魔石だねっ!」

「何という大きな……。これほどの魔石は見たこともありませんが――」


 ファラーテ様が驚愕の声を上げる。


 私は、カメさまを頭に乗せたまま、広場の隅で様子を見守る。

 周囲は静かだった。

 小川の流れる音が、さらさらと聞こえていた。


 近くには騎士の二人が待機していたけど……。

 声はかけない。

 訓練された騎士ってそういうものなのかも知れないけど、この人達、終始無言で無表情でなんだか不気味だし。


「……悔しいですの。千載一遇の機会を逃してしまったのね」


 ファラーテ様が舌打ち混じりにつぶやく。

 どういうことだろう。

 すごく気になるけど、もちろん私は余計なことは言いません。


「シアン、これはどういうことだと思いますか? 何故、これほどまでの魔石がただ落ちているのか……」


 ファラーテ様がメイドの女の子にたずねる。

 シアンという名前みたいだ。


「んー。推測としては、こうかなー。封印が破れて、強大な魔物が現れて、その場で討伐されちゃった? でもそれだと、魔石が残されたままの理由にはならないけど」

「普通は持ち帰りますわよね。そもそも誰が討伐したのか。それこそ王国十剣の誰かとしか思えませんが……」

「十剣の連中は、みんな、任務中だねー」

「わかっていますの。他に考えられないから言ってみただけですの。現れたものの実体を維持できずに自壊した、という線は?」

「どうだろねえ……。その可能性が一番高いのかなぁ……」


 私は話を聞きつつ、ちょっとホッとしていた。

 なんか、うん。

 上手いこと話がまとまりそうだ。


 と思ったら――。


「アニスさん」


 振り向いたファラーテ様に、呼びかけられた。


「ひゃ、ひゃいいい!」


 思わず私は直立してしまった!


 ――挙動不審である。

 ――ごめんよー!


 ホッとしたところの不意打ちだったんだよー!


「どうしたのですの?」

「あ、いえ……。驚いてしまって……」

「ああ、当然ですわね。それでアニスさん、質問をいいかしら?」

「はい……。何でしょうか……」

「この数日で、町に魔獣が出た等の事件はありましたか?」

「昨日、悪魔なら出ましたけど……」

「その話は聞きました。王都から逃げてきた詐欺師による犯行ですね。あの女は威張り散らしていましたが、たかが三下の魔術師が呼び出した低級以下の悪魔など脅威にも入りませんの」

「でも、悪魔を呼び出す指輪って、すごいですよね……」

「最近の王都では、そうでもありませんの。呪具の流通が妙に増えて――。誰が何を企んでいるやら――」


「お嬢様。王都の話は、今は関係ないよねー」


 シアンさんが笑いながら言った。


「失礼。そうですわね」


 コホンと息をついて、ファラーテ様は話を戻した。


「アニスさんが前にここに来たのは? 何日前までは普通でしたの?」

「えっと。いつだったかなぁ。あははは。すみません、そんなに滅多に来る場所ではないですねぇ。あははは」


 ――地震のことくらいは言っても良いと思うのである。

 ――あ、うん。そうだね。


 私はカメさまに言われるまま、昨日、小さな地震があったことを話した。

 倒れたのは、そのせいじゃないかなーと。

 私的には、うん……。

 きっと全部、偶然だったのねー! あははー!

 で、おわりたかったのだけど……。


 メイドのシアンさんに、にこやかに言われた。


「アニス様。隠していることがあるなら、全部、ちゃんと話そうねー? お嬢様は、畏れ多くも国王陛下より任命された調査員なんだよー?」


 ひいいいいいいいいいいいい!

 ダメだバレてるぅぅぅぅぅぅ!


 ――それだけ挙動不審なら、勘ぐられるのである。

 ――そんなこと言われてもおお!


 なんとかしてよー!

 カメさまー!





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