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【アーカイブ21】 初コラボ!!




 クオンとの打ち合わせも終わり、もうそろそろ解散しようかと言うタイミングで、マオが切り出した。



「クオンさん、コラボするにあたって先に伝えておきたい事があるの……」


「どうしたんですか? そんなに改まって」


「いやまぁ……これからコラボしてもらおうという相手に言うのもなんなんだけど、アタシね、アンチがいるんだよ」


「あぁ、アンチですか……」



 何かを思い出したように、苦い顔を浮かべるクオン。

 キュートな狐耳もペタンと前に倒れ、相当嫌だった事が見て取れる。



「もしかして、クオンさんも悩まされていたり?」


「あ、今は大丈夫だよ!?

 私がマギチューバーを始めた頃にね、しつこく辞めろ辞めろって言ってくる人達がいたんですよ……

 私の場合はなんて言うか、殺害予告レベルまでエスカレートしたので、衛兵さんに捕まえて貰えましたけど」


「それは……怖かったでしょうね。

 すみません、嫌な事を思い出させてしまって……」



 ギーシュは申し訳なさそうに謝るが、当の本人は過去の事だと気にしていない様子。

 そしてマオが、更に切り出す。



「アタシとしては、クオンさ……クオンちゃんとはもっと仲良くなりたくて、だから……

 だからこそ正直に言うね?

 クオンさんはね、アタシについたアンチの黒幕候補だったんだ……

 も、勿論今はそんな事全く思ってないけど!」


「そうだったんだ。

 黒幕かぁ……いや、疑いが晴れたならいい事だよね?

 候補って事は、他にも何人かいるのかな?

 私で良かったら相談に乗るよ、()()()()()!」



 嫌われる事覚悟だったが、クオンの反応からして、そうはならなかったと見て取れるだろう。

 その様子に、マオは胸をなで下ろした。

 そして早速、クオンに自らの状況を説明した。



「ガブ・リエーラかぁ……

 大手所属だから、こちら側から手を出したくないってのが本音かなぁ……

 何せ私やマオちゃんは、か弱い個人勢な訳だし。

 やり合うなら確固たる証拠なり、何なりが必須だね……」


「そこは僕も承知しています。

 まぁ、マオ本人が単身で乗り込んで、強引に解決しないようにだけ、スタッフが目を光らせておきます」


「……しないよ? いや、本当に本当だって!」



 マオはギーシュに疑いの目を向けられる。

 それもそうだろう。アンチの対応として初手で魔力を逆探知した後に、相手をとっちめようとしていた者の言葉とは思えない。


 そんなこんなで、クオンにコラボ配信にもアンチが来るかもしれない旨を伝える事はでき、無事解散する事になった。



「それじゃ、帰ったら約束の時間に宣伝するね!!」


「ありがとう! アタシも宣伝するから!」


「クオンさん、今日はありがとうございました。

 コラボ配信、絶対に成功させましょうね!」


「はい! 私も頑張ります!

 スタッフさん達も、支援よろしくお願いします!」



 こうして別れ、お互い帰路についた。



 ◇



 お互いの帰宅後、規定の時間になった所でマオとクオンの両者は、それぞれが使っているSNSでコラボの情報を発信した。


 ファンの反応は概ね好印象。

 初めてのコラボ配信に対する期待を込めたメッセージが大量に届いた。

 そのどれもが肯定的な物で、中にはクオンのファンと見られる人物のメッセージも見受けられる。

 クオンを推すファン達の民度は、どうやらとても良いらしい。



「さて、今回は我らが向こうにお邪魔する訳だが、機材は最小限にしておいた方がいいかい?」


「そうですね。録画媒体の水晶球と、マイクをいくつか持っていくに留めましょうか。

 クオンさん側の機材もあるでしょうからね。

 荷物については僕がまとめておきますので、魔王様は配信の流れを頭に叩き込んでおいてください」


「うむ、そういうのは我の領分だな」



 悲しくも魔王という職業柄、幾百もの資料を会議の度に頭に叩き込んでいるだけはあるのだ。



 ◇



 待ちに待ったコラボ当日。

 マオ、マイヤ、ギーシュの3人はクオンの配信部屋、と言うよりは配信の為の工房のような場所に居た。

 あちらこちらに工具や機会が置いてあり、その一角に配信の為のスペースが確保されている。



「こんにちは! ようこそ私の工房へ!

 荷物はどうぞこちらに、ブルーシートを敷いたので!」



 と、案内されるままにギーシュは、荷物を部屋の端に敷かれたブルーシートの上に置いた。



「配信までまだ時間があるし、機材の準備をしますか?

 良かったら私も手伝うので」


「ありがとうございます!

 では、水晶球やマイクの設置とかはどうしましょう?」


「生配信自体は私のチャンネルで、切り抜きみたいな動画を作るんですよね?

 それなら、後で生配信の動画データを送るので、水晶の方は手で持って撮影して『裏ではこんな事になってました』みたいなのがあると良いかもです!」


「分かりました。

 では、水晶球は僕が手で持って撮影しますね。

 念の為、映っては困る場所だけ教えて貰えると──」



 こうして、生配信の準備が着々と進んでいく。

 マイクに関しては、広い工房内を行ったり来たりする関係上、クオンが使用している360度全方向から音を拾うマイクを共有してもらう事になった。


 準備も完了し、現在はクオンの配信待機画面を流し始め、いよいよその時が来る……



「お2人とも用意は良いですね?

 では、マイク入ります!


 3、2、1──」



 とカウントし、マイクに魔力を流した。


 動画が始まり、最初に挨拶するのは生配信主のクオン。



「さぁさぁ、こーんにちは!

 こんこんクオンの生配信、始まったよ〜!!

 今日はね〜、サムネに書いてある通り、特別なゲストに来てもらってます!

 そうそう! コラボだよ、コラボ!

 それではマオちゃん、挨拶お願いしまーす!」



 ここで、カメラに映らない位置から、ぴょこんとマオが画面内にフェードイン。



「配信を観てるみんな、まおっす〜!!

 魔王都市の良い所をいっぱい紹介してる、ご当地魔王のマオちゃんだよ!

 ここだけの話、お互い初コラボでかなり緊張してるんだよね……

 だから、みんなもコメントで盛り上げてね!」


「マオちゃんありがと〜!

 みんな分かってるよね? 今日はコラボなんだから、ちゃんとお行儀よくするんだよ!?

 マオちゃんのファンとも仲良くね!」



 ────────コメント────────


【コラボ!】話題沸騰の()()()と!?

 同時視聴者数:2207


 :待ってました!!

 :まおっす〜!!

 :こーん!!

 :マオファンさんよろしくです!

 :こーん!!

 :クオンちゃん推しの人達もよろしく!

 :マオちゃんだ!!!

 :既にてぇてぇ……

 :あのクオンちゃんに友達が……!!

 :まおこーん!


 ────────────────────



 配信開始早々、同時視聴者数は既に2000人を大きく超え、盛大な盛り上がりを見せた。

 ファン同士もコメント欄で挨拶し合い、雰囲気も良好。

 最高のスタートダッシュと言っていいだろう。



「私の視聴者さんの中には、マオちゃんをまだ知らない人もいるよね?

 だ・か・ら……まずはマオちゃんがどんな子なのか、私の魔道具を使って色々暴いちゃいましょう! うぇへへ……」


「え!? アタシ何か色々暴かれちゃうの!?

 でも、魔道具は色々見たいから、今日は特別だよ?」


「言質取った!! みんな聞いたね!?

 うぇへじゅるり……ん"っんん。気を取り直して、先ずは私の視聴者はお馴染みの……テッテレー!!」



 クオンは画面外から魔道具を取り出す。

 それはパッと見はスマボにも似た、水晶体で作られた大きな板だった。



 ────────コメント────────


【コラボ!】話題沸騰の()()()と!?

 同時視聴者数:2335


 :出た、失敗作か成功作か分からないアイテム!

 :なにこれ? スマボ……ではないよね?

 :これね、魔力や魔法操作を測るアイテムなんだが……

 :↑すっげぇ! 俺も使いたい!

 :気持ちは分かる。ただ、多分動かん

 :宮廷の魔導師なら動くんじゃね? なレベル

 :安全な部類の魔道具の代表だ……

 :魔道具は男の子のロマン

 :↑分かる奴がいんじゃねぇか。クオン沼にようこそ

 :凄い道具ではある。動くかどうかだな……


 ────────────────────



「ふっふっふ……これは何を隠そう!

 私が開発した、個人が内包する魔力量を可視化する魔道具となってます!

 なってる、んだけど……ね?」


「何か問題があるの?」


「まぁね……それも致命的なね……

 これ、ある程度の魔力がないとそもそも起動すら出来ない訳で、少なくとも私の知り合いは全滅……」



 魔道具を披露した時のテンションとは打って変わり、ジェットコースターのような落ち込み様を見せる。

 しかし、相手は無限に等しい魔力を持つ魔王だ。

 そんな条件はあって無いような物。


「魔力ならアタシに任せて!

 伊達に炎上した訳じゃないって所見せるから!

 スタッフさんにはこってり絞られたからね……」



 マオもクオンに負けず劣らずの情緒の緩急。

 ギーシュ(スタッフさん)のお説教を思い出すと、身震いするまである。

 


「そうだよね、物は試し!

 それじゃあ早速やってみよう!

 この板の真ん中に両手を置いて、ゆっくり魔力を循環させてみて?

 どっちからでもいいけど、左手から魔力を流して、右から吸い出すようなイメージで!」


「両手を乗せて……と。

 これで良いのかな……?

 よし、じゃあ魔力を回すよ!」



 マオは魔道具に魔力を徐々に流していく。

 すると、魔道具が優しく光り出すではないか。

 それを見て、クオンは大興奮。

 魔道具が正常に起動したのだ。



「わ"ーっ!! 光ってる! 動いてる!

 みんな見てる!? もう失敗作とは言わせないよ!?」


「ねぇねぇ、これどうしたら終わりなの?

 ずっと流し続けるの?」


「そうそう。計測が終われば魔力が流れなくなるはずだから、それまで流しっぱなしで!」


「わ、分かった……」



 ────────コメント────────


【コラボ!】話題沸騰の()()()と!?

 同時視聴者数:2397


 :マジか!!!?

 :失敗作じゃないのかよ……

 :これは正常に動いてるの?

 :↑正確に言うと、何が正常か私達も分からない

 :何が起こるんだろう?

 :ワクワクが止まらん!

 :クオンちゃん、素が出てるよ!!?

 :うちのマオちゃんが何かやらかしたらすまん。

 :↑むしろ何かやらかして欲しいまである

 :↑いつもは何も起こらないからな……


 ────────────────────



 コメント欄も驚きのコメントで溢れる中、マオは更に魔力を循環させる。

 しかし、一向に計測が終わる気配は見えない。



「クオンちゃん……これ、大丈夫?」


「おっかしいなぁ。

 もうそろそろ終わってもいい頃なんだけど……ん?」



 ピシピシッ……


 魔道具に細かいヒビが入る。

 しかし、クオンはあえて止めない。

 この魔道具の製作者として、ただただ結末がどうなるかを見届けたい一心であった。


 そして──


 パァーーーーン!!!


 魔道具が爆散した。

 咄嗟にマオが防御魔法を展開した為、幸い怪我人は誰も出ていない。

 そしてマオは、自分がコラボ相手の魔道具を壊してしまったのではないかと、顔面蒼白である。



「く、クオンちゃん……これ……ごめん?」


「す……」


「す?」


「すっっっごいよ、マオちゃん!!?

 これがぶっ壊れた理由なんだけど……

 マオちゃんの魔力が化け物級って事だよ!!

 言うなれば、()()()()かな?」



 ────────コメント────────


【コラボ!】話題沸騰の()()()と!?

 同時視聴者数:2408


 :いや、測定不能て……

 :まぁ、マオちゃんだからな

 :マオちゃんだし、しょうがないか……

 :え、これしょうがないで済まされるの?

 :マオちゃんの辞書に自重って無いからね

 :マオちゃんって本気で何者なの?

 :職業がS級冒険者って言われても納得するわ

 :これなんだよなぁ……

 :起動したのも凄いけど、壊すだと!?

 :こんなんマジモンの魔王じゃん……


 ────────────────────



 コメント欄はマオの無尽蔵の魔力に戦慄する。

 マオはオロオロしていたが、興奮気味のクオンを見て冷静さを取り戻す。



「その、魔道具を壊しちゃってごめんね?」


「そんなのいいよ!!

 また改良して作り直せばいいだけなんだから!

 こんなに魔力があるなら、もしかしたら本当に……」


「クオンちゃん? 何か悪い顔してるよ?」


「えっ!? いやいやそんなこと無いよ!?

 でも、この魔力量があればどんな魔道具でも、うぇへへへ……

 あっ、ともかく、気にしないで?

 起動しただけで奇跡なんだから!」



 クオンはマオをフォローして、いよいよこの生配信の真の目的へ移る。

 そう、打ち合わせで言っていた魔導具『魔力変形型合成防具エルゼリオン』だ。



「これだけの魔力量があれば……

 よし……マオちゃん、挑戦してみよう!

 私史上、()()()()()()()()に!!」




読んでいただきありがとうございます!


いつも応援嬉しいです!

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