【アーカイブ18】 3000人耐久配信!
「みんな〜! まおっす〜!!
今日は皆が待ちに待ってくれたであろう、課金メッセージが今日から解禁だよ!!
そして、今日はチャンネル登録者が3000人を突破するまでノンストップで行くから、ちゃんと着いて来てよね!?」
────────コメント────────
【祝収益化!】3000人耐久配信!!
同時視聴者数:906
:やっとなのか!!
:待ってました!
:収益化おめでとー!
:うぉぉぉおお!!
¥:おめでとうございます!!
:あの炎上で人が増えたから3000人耐久なのか……
¥:これからも応援してくぜい!
:ナイスメッセ!
:まおっす〜!
:今宵は宴じゃぁ!
────────────────────
配信開始直後、否、配信待機中の段階から既に祝いの言葉でコメント欄は溢れていた。
心温まる言葉の数々にマオのボルテージも上がる。
そして気になるのは『¥』のマーク。
このマークが付いたコメントこそが、課金メッセージなのである。
「みんなありがと〜!
おお!? あははは!
早速課金メッセージ送ってくれてる人達がいるね!
嬉しいけど、ペース配分はしっかりとだよ!
じゃないと破産しちゃうからね?」
課金メッセージにお礼をしつつも、配信ではっちゃけて財布の紐が緩み過ぎる人が出ないよう、念の為に配慮をする。
ただ、そういう注意は得てして課金を嗜む視聴者の心に火を灯す。
案の定、コメント欄に色とりどりの課金メッセージが怒涛の勢いで流れ込んで来た。
課金コメントがあまりに多い為、ギーシュが全てを確認し、マオにカンペを書いて見せる。
『赤コメは1万ルン以上!
優先して拾って!』
──と。
それを読んだマオは軽く頷き、赤色の課金メッセージを優先的に読み上げる。
課金額による文字の色と、コメント欄に固定される時間はそれぞれ、
1〜5万ルン→赤色/1〜3時間
8000ルン→桃色/ 30分
3000ルン→橙色/ 10分
1500ルン→黄色/ 5分
800ルン→緑色/ 2分
300ルン→水色/ 0分
100ルン→紺色/ 0分
──と言った具合だ。
有名な配信者ともなれば、配信中に放った何気ない一言、例えば「最近赤色にハマってて〜」などと言ったが最後、コメント欄が真っ赤に染まる事が多々ある。
マオはコメント欄に何件か来た赤色コメントにお礼を言い、本題の説明に入った。
「さてさて、それでは!
今回のチャンネル登録者3000人耐久配信の内容を、簡単に説明していくね?
まず、現在の登録者がお陰様で2762人います!
な・の・で……チャンネル登録者が50人増える毎に、皆が驚くような魔法や魔道具を披露しちゃいま〜す!
キリが良くなるように2800人に達成したら最初の魔法を見せちゃうよ!」
────────コメント────────
【祝収益化!】3000人耐久配信!!
同時視聴者数:1057
¥:うぉぉおお!!
:失敗から学んでねぇ! 良いぞもっとやれ!
¥:いつも動画みてます!
:チャンネル登録しました!!
:↑ナイスゥ!
¥:魔法代
:また炎上案件か?
¥:魔道具が見た過ぎる!!
:今回はスタッフさん大丈夫?
:コメ欄めっちゃ鮮やかだなぁ……
────────────────────
その宣言の直後、興味を持った何人もの視聴者がチャンネル登録を伸ばして行く。
その結果、最初の目標である2800人はいとも容易く突破してしまう。
「いやいや早いよ!!?
このペースじゃ耐久配信なのに、1時間も経たずに終わっちゃうからね!?
でもまぁ、最初の目標には到達したし、早速見せちゃおうかな!
2800人到達でアタシが紹介する魔法は──
──『生活魔法』です!!」
生活魔法、それは威力が極端に弱く、焚き火での火種や洗濯での流水など、どのご家庭でも魔導省や冒険者ギルドの許可無く使用できる魔法だ。
もちろんそれを聞いた視聴者は『生活魔法かぁ……』と、イマイチな反応を示す。
それに対してマオは、悪戯な笑みを浮かべた。
「フッフッフ……見せてあげよう、生活魔法の極地を!
皆は家事をしててさ、面倒臭いなぁ……って感じた事、1回くらいはあるよね?
今宵、それらを全て解決して見せよう!」
視聴者が期待と困惑を見せる中、魔王城のキッチンへと移動する。
そこは普段の整理整頓され、清潔を具現化させたようなキッチンとは打って変わり、何者かによって酷く汚されていた。
もちろん、やったのは魔王配下のセバスニャンと、メイド2人である。
「さてさて、こちらの荒れ果てたキッチン!
これを生活魔法1つで綺麗にして見せよう!
さぁ、目覚めなさい『覚醒』!」
唱えた途端、汚れた食器や束子が宙にに浮き、独りでに綺麗になり始めたではないか。
────────コメント────────
【祝収益化!】3000人耐久配信!!
同時視聴者数:1059
:どゆこと?
:物に命を与えたって事?
¥:これってどういう原理ですか?
:俺も使いたいこれ……
:皿洗い苦手だからこれしたい!
¥:本当に生活魔法なの?
:スゲェ!!!
:これを生活魔法って言い張るの無理がある。
:一家に1台マオちゃんが欲しい……
:なんかメルヘンチックだ!
────────────────────
「アタシを一家に1台かぁ。
分身は10人くらいが限界だから無理だなぁ……
それと、コメント欄にいい線行ってるコメもあったね!
この魔法は物に命を与えたのではなく、正確には物に意志を芽生えさせたが正解。
ただ、やっぱり欠点があってね、稀に食器同士が喧嘩しちゃって壊れる時があるんだ。
そんな訳で、これが登録者2800人突破の魔法!
次はそうだなぁ、少し希少な魔法にしようかな?
さぁさぁ、今からでも人を誘って見においで!
じゃないと後から後悔するかもよ〜?」
視聴者を程よく煽り、視聴者数を更に伸ばす。
すると、チャンネル登録者がまたもや増える。
配信開始からまだ1時間も経たない内に、既に次の目標に到達しそうな勢いだった。
ものの数分、登録者は2850人を超えた。
「相変わらず早いなぁ……
到達するまでに考えようと思ってたんだけど、どうするかな……スタッフさんに怒られない魔法で希少な……」
マオは少し考え込んだ後、ハッと何かを思い出したような表情に。
「そうだ、時間に干渉する魔法にしようかな?
これなら大規模のやつを使わなければ良いし、何よりうちの厳しいスタッフさんにも怒られないし!」
────────コメント────────
【祝収益化!】3000人耐久配信!!
同時視聴者数:1456
:時間に干渉……?
:魔法ってなんでもありなの?
¥:素人質問で失礼します。
時に関する魔法は消失されたと聞いたのですが、
私の思い違いでしたでしょうか?
:↑おうおうヤな聞き方だなぁ……
:↑なんか大学にいた魔術課の教授思い出した……
:スタッフさんに怒られないっていい基準だな。
:そんな漫画みたいな魔法あるのか。
:明らかに素人じゃない人が混じってんなぁ!
¥:これ、スタッフさんの胃薬代にして……
:誰だガチなの連れてきた奴は?
────────────────────
「せっかくの質問だし応えちゃおう!
時に関する魔法の消失についてだよね?
明確に言うと、廃れて行ったが正しいんだと思う。
何せコスパが滅茶苦茶に悪いんだよねこれ。
試しにそうだな……」
マオは空中に水の塊を浮かせ、弾けさせた。
弾けた水滴が地面に落ちる直前──。
「『止まれ』」
到底魔法の名称とは言えない一言と共に、水滴の時が止まった。
数多の水滴は床に落ちる事無く、宙に留まっている。
「今アタシの『止まれ』って詠唱聞いたよね?
これね、本当はもっと長くて『止まれ』ってのはその内のほんの一部なんだ。
全部詠唱すると多分10分はかかるし、コレを維持している間もかなり魔力を消費してるんだよね……
この魔法の完全詠唱を1分間持続させられる人物は、アタシ含めて4人しか知らないんだ!
そんな感じの魔法でした! どうだった!?」
────────コメント────────
【祝収益化!】3000人耐久配信!!
同時視聴者数:1452
:フル詠唱に10分ww
:4人も居んのかよ……
:そりゃまぁ、廃れるわな。
:マジでマオちゃん何者なの?
¥:時魔法凄かったです! チャンネル登録しました!
:↑よくやった!
:↑ナイスメッセェ!
:全部詠唱したらどうなるんだ?
:今チャンネル登録者数2940人じゃん!
:↑マジだ! あと少しじゃん!
────────────────────
コメント欄の通り、2900人を優に超えて次の目標である2950人に迫っていた。
「うわっ!? ホントだ!
どうしよう? 2900人と2950人のやつ同時にしようか?
ちなみに2900人突破は、アタシのコレクションの1つの『魔剣』を紹介して、その次は皆のリクエストに応えるつもりだったんだけど……」
魔剣という言葉に並々ならぬ興味を示すは、童心を抱き続ける大きなお友達。
許可さえ取れば管理は誰でもできるが、なんせ本数自体が多くはないのだ。
危険な物や美しい物は、博物館などで警備付きで飾られていたりもする。
「魔剣はともかく、そろそろ登録者が2950人だし、皆のリクエストも聞いちゃうね!
どんな魔法とか見てみたい? 何でもいいよ!」
────────コメント────────
【祝収益化!】3000人耐久配信!!
同時視聴者数:1477
:このチャンネル知らないの損な気さえする……
:ん? 今何でもって……
¥:触手魔法
¥:催淫魔法
:↑BANされたらどうすんだ。
:↑頭ピンク共がよォ!(俺も見たい……!)
¥:防御魔法の極地が見たいです!
:防御系ならスタッフさんもニッコリだろ
:スタッフさんにも優しい視聴者の鑑
:次は何が見られるんだ!!?
────────────────────
「このチャンネルは18歳未満の子も見てると思うから、そっち系はごめんね?
ただ、ある事にはある。それだけ覚えておけば夢があるでしょ?
それと、防御魔法だね。
それなら、1番危なそうな魔剣を防御魔法で防げば、どっちも見せられてお得かな!
それじゃ、移動しよっか?
法律上、保管場所は見せられないから、少しの間は声だけでお届けします」
マオは宣言で、ギーシュは水晶球を布で包み、大急ぎでマオの趣味部屋の1つである魔剣の保管室へと赴いた。
それ以外何も無い、簡素な部屋のど真ん中。
鞘の先端が床に埋められた上に、鞘から刃が抜けないよう、地面から伸びた鎖であらゆる方向から縛られた深紅の細剣。
その保管部屋に到着すると、ギーシュは急いで水晶球を設置し、再び配信を再開する。
「じゃーん!
これがアタシが管理している魔剣の中でも、最強の暴れん坊さんだよ!
この子は鞘を抜いた瞬間、魔力を持った者に問答無用で襲いかかって来るんだよね……
そこで、アタシができる最大限の防御魔法で、この子を分からせてあげます」
マオは中央に鎮座する剣の柄に手を掛け、『解除』と唱えた途端、鎖が粉々に砕け散り、魔剣がひとりでに鞘から抜ける。
「さぁて、随分久しぶりだね、君の刀身を見るのは。
アタシも全力で抗おうか。
ギ……スタッフさんは下がっててね?
防御魔法の最高峰を見せてあげようじゃないか」
早速、マオに目掛けて襲い掛かる魔剣。
それを1度は軽く避け、2度目に魔法を展開した。
「全てを無に帰せ『完護防壁』」
襲い掛かる全ての剣戟が、マオの身体に当たる直前で見えない何かに弾かれる。
それは正面だけに留まらず縦横無尽、いかなる攻撃からもマオを守っている。
通常、防御魔法は全面にしか展開できない都合上、1度の詠唱で360度を何度でも守ることが出来るのは破格の性能と言える。
数分も魔剣の猛攻を無傷で受け続け、コメント欄も一通り盛り上がりを見せた所で、マオは動きに出る。
荒ぶる魔剣の動きを見極め、正確に柄を握って動きを止めてしまう。
しかし、未だなお手の内で暴れようとする魔剣に、ありったけの魔力をぶつけて沈静化させて見せた。
そのまま地面に刺さった鞘に刀身を納め、再び魔力で作られた鎖で魔剣を拘束し、封印する。
「いやぁ、相変わらず元気で可愛かったね!
特に銘がある魔剣ではないけど、危なさに関しては他の群を抜いてるはずだよ。
これが2900人兼、2950人突破記念だ!!
セバスの結界には敵わないかもだけど、防御魔法もここまで極めると、ほとんどの戦闘を無傷で乗り切れるよ!」
────────コメント────────
【祝収益化!】3000人耐久配信!!
同時視聴者数:1628
:俺の知ってる防御魔法じゃねぇ!
:あれが、可愛い……?
:マジで危ない系の魔剣じゃん……
:俺A級冒険者だけどさ、見えなかった……動きが。
¥:いいもの見せて貰いました!
:マオちゃん、宮廷魔導士とかなれるんじゃ?
:↑案外そうなのかもよ?
:魔剣の刀身、めっちゃ綺麗だったな。
:あのレベルなのに名無しの魔剣なのか……
:3000人記念の魔法が楽しみ過ぎる!
────────────────────
マオが魔剣と戯れている間、チャンネル登録者は2997人にまで増加していた。
残りは2名。
マオも、視聴者一同もチャンネル登録者が増えるのを待ち焦がれていた。
何気ない会話でその場を持たせながら、遂にその瞬間は訪れる。
2998……2999……
そして──
──3000人。
チャンネル登録者を示す数字が、目標の3000人に到達したのだ。
「や……ヤッター!!!
みんなありがとう!!!
見て見て! 3000人突破したよ!
アタシやったよ!!!」
────────コメント────────
【祝収益化!】3000人耐久配信!!
同時視聴者数:1690
:おめでとー!!
:登録者達成に乾杯!
¥:マオちゃんはまだまだ伸びるね!
:おめでとうございます!!
¥:3000人到達おめでとうございます!
:これはめでてぇ!
:ちょっと赤飯炊いてくるわ。
¥:人生初スパチャをマオさんにあげます!
¥:豚のスパチャを受け取ってくれ
¥:キッシーより愛と感謝を込めて!!
────────────────────
溢れんばかりの賞賛、お祝いのコメントの嵐。
それと同時に、真っ赤に染まるコメント欄。
1万ルンを超える課金を、種族問わず色んな人物がマオの為に捧げてくれている。
「まさかこんなに早く達成出来るなんて、思ってもみなかったよ……
これも、今日登録してくれた人や、前からアタシを応援してくれたキッシー達のおかげだよ〜!!
それじゃ、いよいよ最後の魔法だね?
これはもう決めてるんだ!
離魂体のアタシの種族が最も得意とする魔法。
そう、とっておきの幻想魔法をね!」
魔王らしからぬ無邪気の笑みで応え、最後の魔法を披露する。
「これがアタシの幻想魔法。
咲き乱れて『思い出の花畑』」
瞬間、殺風景な魔剣だけの部屋から一変、誰の目から見ても一面の花畑へと変わる。
元の部屋の広さなど忘れ去る、地平線の先までの花畑。
それも、水晶球からの画面越しで全ての人に共有する規模の花畑。
それは視聴者の誰をも魅了した。
────────コメント────────
【祝収益化!】3000人耐久配信!!
同時視聴者数:1704
:綺麗過ぎる……
:こんな幸せな魔法あったんだ。
¥:いいもの見せてもらった!
:優しい魔法だね。
:浄化されそう……
¥:改めて3000人おめでとう!
¥:これ、全員が同じ幻を見ているのか……?
:↑そうか、本来は対人用の魔法じゃん!
:↑集団幻想魔法ってコト?
:可能性の塊かよ……
────────────────────
「まぁ、アタシはご当地魔王だからね!
これくらいできないと名前負けしちゃうでしょ?
最後に、そうだなぁ……今後の方針なんかも話しちゃおうかな?
スタッフさんとも話したんだけど、アタシは今後ね、もっと有名になって、今後は他の配信者さんとコラボなんかもしていこうと思うんだ!
その時は皆、ルールを守って応援してくれるよね?」
コメント欄は案の定『当たり前だ!!!』のようなコメントで埋まる。
非常によく調教、もとい教育された視聴者たち。
ワイワイキャッキャと盛り上がるコメント欄を他所に、マオは爆弾的な事実を初めて視聴者に打ち明けた。
「バ美肉なるものを初めて、最初はこんなにファンが増えるなんて思ってもみなかったよ……
みんな、これからも応援よろしくね?」
────────コメント────────
【祝収益化!】3000人耐久配信!!
同時視聴者数:1736
:!!!!?
:こんなに可愛いのに……?
¥:むしろ興奮した!
:え、男の子って事!? そそるねぇ……
:女の子じゃないのかぁ……
:↑可愛い上に付いてんだぞ、冷静になれ!
:↑むしろお得な事になぜ気付けない……
:ダメだ! 邪な煩悩よ消えろぉぉお!!
:ンッハァァァァアアアン!!!
¥:性癖が壊れる音が聞こえる。
────────────────────
思いの外好意的な反応。
普通であれば女の子と思っていた人物が男性だったと知れば、多少なり落胆するものであるが、マオの視聴者は違った。
幸か不幸か、鍛え抜かれた精鋭の集まりだったのだ。
そんな優しい盛り上がりを見せるコメント欄で、1つのコメントが流れて行く。
『こんな奴の何が面白いんだよ。
見る価値も無いわww』
特に誰も触れずに流れて行ったが、ただ1人、ギーシュだけはそのコメントを見逃してはいなかった……
ここまで読んでいただきありがとうございます!
これにて第2章『収益化編』完結です!
これからは第3章『VSアンチ編』が始まります!
『面白い!』『続きが気になる!』と思った方は、いいねやブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を押してくれると嬉しいです!
これからも応援よろしくお願いします!




