召喚勇者のハンバーグ屋さん
長期連休の暇つぶしになれば幸いです。
「だが断る!」
召喚勇者がそう言うと使者は驚いていた
いやあんな無茶振りを承諾すると考えていたことの方が驚きだよ、と言いたい
やあ召喚勇者だよ
名前?
前作を見てね(笑)
現在は異世界でハンバーグ屋さんをやっているよ
異世界召喚された
勇者になった
お城のご飯が不味かった
ハンバーグを作ってみた
大好評だった
晩さん会で出したら隣国の大使とか大好評
これ金儲けのネタでね?
定食屋を初めてみた
大行列ができるほどの人気になった
近所の食べ物屋にマネされた
その上、地元のコネで安く提供された
勇者の店は閑古鳥が鳴くようになった
王様の使者が今度のお城の晩餐会で何か珍しい物を作れと言ってきた
「だが断る!」と断った ←今ココ
「だってさこの世界の人間って薄汚いコソ泥じゃん?」
ハンバーグの作り方を盗んで勝手に作り売ったんだ
どうせ新しいメニューも盗むんでしょ?
ニッコリ笑ってやった
使者の顔色は真っ青だったね
仕事が上手くいくのもいかないのもボク次第
そしてどうやらボクは機嫌が悪いらしい
そりゃ自分の将来に暗雲が立ち込めてきそうだから真っ青にもなるってものだ
でも許さないよ
この世界の人間ってひとまとめの括りで泥棒扱いしてやったぜ!
フラフラになって帰っていく使者
「勝ったな」
思わずそう思ったね
使者は王様にそのまま伝えたらしい
そして激怒したらしい
なんでそんなことが判るのか?
だって近所の料理屋が頭下げているもの
国の体面を傷つけたと王様激怒
それを伝え聞いたパクリ料理屋一同は真っ青
そして謝罪に押しかけてきた
そんな訳で今目の前に頭を下げた料理人達がいる
「頭をあげて」
そう言うと許されたと思ったのか上げた頭はちょっと嬉しそうだった
「料理人ならば食べれば作り方が判る、だから作っても非難される謂れはないというものだ」
そう言うとほっとした顔になった
「客というのは安かったり美味かったり量が多かったりする方に流れる、それは自然の摂理だ」
そう言うと一安心した顔になった
甘いね
そう簡単に許す訳ないじゃん
「でも一生懸命考えたレシピを盗まれたなら怒るのも当然だ」
そう言うとポカンとした顔になった
どうやら話についてこれないようだった
でも容赦はしない
「でもレシピを盗まれ、行列も盗られた怒りというおんは当然ある」
だから一生許さんという意味で言ったのだが誰もついてきていなかった
・・・外したね
「・・・こほん、つまりはレシピを盗んでも罪にならない
でも盗まれた恨みは忘れないし、絶対に許さないってことだよ」
バカでも判るように丁寧に解説してやった
「「「「「「!!!!!!!」」」」」」」
阿鼻叫喚していた
そりゃそうだ
顔に泥を塗ったと王様から恨まれ
隣国との関係が悪くなり輸入が悪化し生活が悪くなったと貴族から市民に至るままで怒られるのが確定したのだ
よく言うだろ
撃ってもいいのは撃たれる覚悟があるやつだけだ、と
レシピを盗んだら「倍返しだ!」をやられるくらいの覚悟を見せて貰いたいものだ
リスクもなくリターンを求めるのは間違っていると言いたい
まあそんな覚悟がなくても『100倍返し』してやるんだけどな(笑)
しかしあれだな
ざまあはいいね
リリンの生んだ文化の極みだよ
本当にそう思う
とりあえずは第一幕の終了だな
第二幕はハンバーグをマネっ子して利益を得た他の店から慰謝料を分捕る、かね?
第三幕?
もちろん慰謝料を貰っておいて王様のリクエストに答えないってやつだ
まだまだ楽しめそうだ
これが『俺たちの戦いはこれからだ!』エンドだな