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ヴァルデット  作者: 魚とポテト
3/8

能力

一旦部屋に戻った私は、頭を抱え込んだ。

……どうしよう?

一旦今の所分ってる情報をまとめてみよう。

えっと確かここは前世で私が読んでた小説の世界。

その小説の主人公つまりこの体の本当の持ち主であるオリヴィアに転生してしまったと……

で、メアリーが言ってた情報では……

オリヴィアの実のお母さんは亡くなっていて、今はあの継母が伯爵夫人。

いや、分かるか!

そんなの漫画の世界だけだと思ってたのだが?

それに小説でもでてこなかった情報しか無いのだが?

オリヴィアの家系ってあんなに複雑だったの?

それに……これだけの情報でどうしろと?

とりあえずお兄様(仮)がメアリー聞けと言っていたしメアリーに話を聞くとするか〜

「メアr「お嬢様!大丈夫なんですか?!朝の話では記憶喪失など言っていなかったのに……とりあえず医者をお呼びしましたので話は診察が終わってからです!旦那様にも今手紙を送っております!」

面倒なことになってしまった……

「ア……ウン、アリガトウ……」






「では、失礼します……」

そう言ってつい先程まで私の診察をしてくれていた先生は私の部屋を出ていく。誰も喋らないしーんとした気まずい時間が流れる。

いやほんとに気まずすぎるんだけど。

「あの!メアリー!私、少し記憶が混乱していているようで、その……」

私はこの世界について詳しく話してほしいと言おうとした……だが、すぐには言えるはずがなかった。

「お嬢様……とにかく、異常がなくて良かったです……大丈夫きっとすぐに記憶は戻ります。それよりお嬢様がご無事で良かった……」

メアリー……泣いてる……

あぁ、この世界にはこんなにもオリヴィアのことを思ってくれる人がいるんだ。






”いいな”






私にはそんな存在はいなかった。













私は昔からとにかく誰にも愛されなかった。

親にも親戚にも友達にも先生にも近所の人もとにかく誰も











婚約者にさえ結婚前に浮気されて逃げられた。








私はいつおかしくなってしまったんだろうか。

親が離婚したとき?

母の方についていくと決めたときの父からの暴行に耐えていたとき?

母についていっても愛されないと悟ったとき?

母に愛人ができたとき?

母の愛人に暴行を受けたとき?

とにかく愛されたくてたくさんたくさん”努力”してただただ頑張ってそれでも認めてもらえなくて、

母には新しく大切な家族ができて私は家を追い出されて、

なんとか自分でお金をためて奨学金で大学に行って、

そこで初めて好きな人を作って、

婚約して、

けれど浮気されて大勢に人に見られながらまるで小説の悪役にする断罪シーンのように振られて、

何もする気力が起きなくて、

とりあえずで入った会社がめちゃくちゃで、

耐えられないほどの重労働に同期はみんなやめたけど私だけは残らなきゃという責任感を感じて私は”丈夫”だから大丈夫なんて証拠もないのに考えて会社を続けて、、、










そういえばこの世界の小説に出会ったのはブラック企業に入ってから1、2年経った頃だったな……

その頃の私はただただ誰も信じられなくて会社でもただの雑用係で、生きがいもなくて死にたいとすら思っていてそんなときに初めて魅力を感じた小説だった。

この小説に惹かれたのは本当は王子様の顔が好きなのではなくただなにかこの小説のキャラクターに共感したりこの世界に入ってみたいという憧れだったのかもしれない……










「あの……?お嬢様大丈夫ですか??」

あ、長いこと考えてしまってた。心配されたかな。

「あっ、ごめんね、心配してくれてありがとう。記憶を取り戻したいの、メアリーあなたの力を貸してくれる?」

「もちろんです!!お嬢様!!!」

よしっ、これで質問できる!

まずは何がいいかな……?

「じゃあ……今の家の状況や私についてを詳しく教えてくれる?」

「はい!!もちろんです!!」

「ありがとう」

「では、始めますね!まず、お嬢様はどこまで覚えていらっしゃるのでしょうか?」

「えっとねお父様の爵位とか、自分の名前とか、メアリーのこともわかるわ!!今の年齢とか、新しいお母様やお兄様とあの小さい子についてはさっぱり……」

「なるほど!つまりお嬢様は5、6年ほど前の記憶までしか覚えていないということですね!!」

「そうなの?」

お兄様?って絶対に5、6歳じゃないわよね?

「はい!!ではまずお嬢様についてお伝えしますね!お嬢様もご存知の通りお名前はオリヴィア様です!名前にはオリーブの木、優しいもの、平和という意味が込められているそうです!お嬢様そのものですね!」

「そういうお世辞はいいから……」

恥ずかしすぎる///

「すみません!」

えへへっと笑う彼女に思わず笑みが溢れる。私は反省してないじゃんと思いつつ続きを促した。

「では、続きを……お嬢様は現在15歳!!お誕生日は8月31日で、能力はヒーリングです!流石はお嬢様ですね!!ヒーリングはほとんど誰も手に入れることができないものすごくレアな能力なんですよ?!」

え……能力って何?そんなもの私が見た小説の世界ではなかった……

あの小説結構詳しく設定とか書いてくれていたのに……私がこの世界に来てしまったから世界が変わったの?てか、ヒーリングって主人公っぽい能力だな……

「その、能力について詳しく教えてよ!」

「もちろんです!まず私の能力から!私の能力はウィンドクロイツ、つまり風を操る能力です!とはいえ、私は貴族ではありませんしお嬢様のように能力は強くありませんが……」

すご〜風を操るとかかっこよすぎる

「すごいね!!見してよ!」

「もちろんです!」

その瞬間ふわっと優しい風が吹いた。

「うわ〜もしかしてこの風メアリーが?」

「はい!!今はお嬢様にお見せするために少し弱くしましたが、私はふだん髪を乾かしたりするのに使ってます」

照れながら返事をするメアリー……かわいい

「ふふっそれは便利ね。」

「はい!それから、これは追記なんですが、能力は育ちや血筋によって大分左右されるんです!そのため風属性の中でも能力は3つに分かれています。他の能力であればもっと分かれていることもありますが、風属性の能力は比較的平民の能力として知られることが多いためあまり分かれていません」

「なるほどね!すごくわかりやすかったわ!」

「そう言っていただけると嬉しいです!」

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