5.姫として~アステリアの気持ち~
夢を見た。
「アステリア? これからはしっかり国の為に勉強をして、この国を守らなくてはならないの。もう1つの大事な話。18になるまでに相応しい相手を見つけて結婚するのよ。お父様がお見合いを考えてるわ。国中から婚約者を募っていますからね?」
「お母様、待って! 私、結婚は……!」
というところで目が覚めた。
「はぁ……何だか憂鬱な夢……」
コンコン、という音と共にカイの声がした。
「アステリア、起きてるか?」
「ふぁ~」
眠い目を擦りながらドアに近づき答える。
「カイ? 今、起きた~」
「朝ごはん食べに行くぞ。」
「ちょっと待ってて、着替える~っ」
急いで掛けてあった服を取り、着替える。ガチャっと、扉を開けたらカイが驚いた顔でこっちを見ている。
「ん? カイ、どうしたの?」
「アステリア、もう少しちゃんとした格好をしろよ。女の子なんだし……仮にも姫なんだから……」
カイは呆れた様に言う。
「違うの~!! まだ、準備出来てなくて。今から準備するから、部屋の中に入って待ってて~!」
慌てながら答える。カイが待ってるからって、とりあえず着るだけ着て出たけど、髪もボサボサだし、ビックリするよね……?
「それにしても、誰が見てるか分からないからな。とにかく気を付けろよ。」
ったく……と、ため息。
私は急いで身支度を整える。
「準備出来たよ~。」
「本当に……ちゃんとすれば、綺麗に見えるんだからな。」
言いながら、何故か照れている。
(どうしたのかしら? そんな顔で見られるとこっちまで……)
「恥ずかしくなるじゃないっ!」
突然の私の発言に、カイは驚いて固まってる。
「何が恥ずかしいんだ?」
「何って、カイが照れてるから」
頭をかいて、カイが恥ずかしそうに
「ずっと、アステリアを見てきたけど、成長する度に綺麗になって…側に居られるのが俺は嬉しいよ。」
「………!」
急にそんな事言われると、何て言って良いか分からず、声にならない。恥ずかしい……けど、嬉しい。
「アステリアも赤くなってるぞ?」
そうカイに言われたので、もぅ。と、後ろを向き、
「ごはん食べに行くよ!!」
カイを置いてスタスタ歩く。
「アステリア、怒った?ごめんって。」
言いながら、ニコニコしてるカイ。こんな他愛のない会話が、嬉しくて
(……いつまでもこんな時間が続けば良いのにって思う。朝も、変な夢を見た所だし……結婚なんて……まだ、考えられない)
そう思いながら、残された時間を楽しむ。
朝ごはんを食べたら、いよいよガラク・ロードへ。カイの話では、ガラク・ロードは安易な道ではなく、魔物も居るらしい。
(ちゃんと、魔法使えるかしら……? カイが守ってくれるんだろうけれど)
そんな不安を少し抱えながら、ガラク・ロードへと入って行くのだった……