5.追放者のギルド長たち
最近、あいつらを追放したギルドの成績が良くないらしい。
だよなー。あいつら有能すぎるだろ。
俺だったら、早く連れ戻したいもんな。
というわけで、A級ギルドのギルド長に訪問と詰問をされているわけです。
グレン達が、クエストに出かけてるときに来るってタイミング良すぎだろう。
「レオンさん、分かってますよね。こっちもね。戦士グレンを追い出すつもりじゃなかったんですよ。
パーティの隊長が勝手に追い出したんですよ。」
「はぁ。」
「こっちの教会としても、治癒士のミナを追い出すつもりは無かったんだ。司祭さんがね勝手に追い出したんだ。被害者なんですよ。分かってくれますよね。レオンさん。」
「まあ。」
「魔法使いギルドも、副ギルド長がね・・・」
以下同文
とまあ、色々なギルドの面々が、グレンたちを取り返しに来たというわけだ。
幸いにも、事務職のレナを取り返しには来ていない。
レナは癒しだ。俺は手放したくない。
そしてたまに触りたい。
まあギルド長たちの気持ちも分からないでもない。
追放は悲しすぎる。
それにギルド長の知らないところで勝手に追放されていたのは、管理責任と言われれば、そうなのかもしれないが。
でも俺は管理すらしていないしな。
だが、こちらとしても有能すぎるギルドメンバーは、俺の障害にしかならないか。
前回考えていた、2つ目の案で行くか。
さくっと、再追放というか元のギルドに帰ってもらおう。
「ギルド長の方々、私としても吹けば飛ぶようなF級ギルドのギルド長です。グレン達を返せと言われて、はいそうですかとは言いいたいのですが、立場という物があるので言いづらいのですよ。」
「「「なに?何が要求だ。」」」
「レナ君、今の彼らの月収は?」
俺は、レナに触れながら聞いてみる。
レナが全力で殴ってきた。
危ない。
<覆水盆>
「「「なに?何が要求だ。」」」
あっ、触ったことなかったことにされたな。
「レナ君、今の彼らの月収は?」
今度は触らずに聞いてみた。
「彼らは、前の所属時の給与のおおよそ20倍稼いでいます。」
「そ、そんな馬鹿な。」
「なんであんな無能な、やつにそこまで出している。」
「ありえない。」
「無駄金だ。」
驚愕して不満を言いまくる各ギルド長達。あらら、本音がダダもれですよ。
だが、ここでグレン達を追い出すために、そして恩を売るためにも交渉を続けないと。
「では、今の給与の1.5倍彼らに払うなら、連れて帰ってもらっても、大丈夫ですよ。」
「前の給与の30倍だと。」
「「「ふざけているのか。」」」
「いえ、ふざけてませんよ。彼らは優秀なうちの稼ぎ頭です。それをそのまま返したら、あなた方、彼らを使いつぶすでしょ?彼らにはそれだけの価値があると言ってるんですよ・・・
悪い話ではないと思うのですがね。」
俺は満面の笑みで、ギルド長たちにお話しした。
「足元を見よって。」
「仕方がない。」
「その話」
「乗らせていただこう。」
こんなひどい条件を飲むなんて、ギルド長達に一体何があったのやら。
それはともかく、契約成立ですね。
これで、グレンたちの立場も向上する。
俺は彼らに恩を売りながら追放できる。
ギルド長たちは優秀な人材を取り戻せる。
win win winだ。三方誰も損していない。
俺は、この状況を甘く見積もりながら、自然と笑っていた。