3.追放された人なら無能だから扱いやすいはず。
3年後。
まあ、そんな運営体制で急場を凌いでいたんだが、じいさんたちも、もう年だよな。
平均年齢が、62才から65才になるわけだ。
新たなパーティや新人を入れないと、ギルドの存続がまずいと、ここ数年思っている。
まあ直接的な原因は、じいさんの一人が、ギックリ腰になってしまったことだ。
ただタイミングの良いことなのか、悪い事なのか。
最近、風の噂に王都の各ギルドで、追放が流行っているらしい。
俺みたいな、使えないスキルの冒険者がギルドを追放されている。
使えない奴らなので追放されているんだよな。
あわよくば、簡単にギルドに入ってくれるかもしれないな。
アンナお嬢様(10才)に聞いてみるか、
「アンナお嬢様、新しい冒険者って誘っていいですか?」
「いいよぉ。」
即答である。アンナお嬢様はここ3年で、すっかり受付嬢役が染みつき、簡単な書類を本棚に入れたり、
運んだりできるようになった。
広場に出かけてみると、落ち込んでいる、訳ありそうな冒険者が少ないがいるね。
まあF級ギルドに、追放ギルドから圧力は一切来ていない。
何故かって、むしろF級ギルドとして認識されていないからだよ。
「丁度よかった、戦士の格好した君。所属しているギルドはあるかい?」
「・・・ありません。」
「ウチくる?」
「行きます。」
必死だね、まあ食べられないから、藁をもすがるとは、このことだね。
「F級ギルド、覆水なんだが構わないか?」
「・・・元A級の足手まといが、F級か。ふん。構わない。」
「じゃあ、ギルドに行って、じいさんたちに仕事貰ってきてくれ。」
「ああ。ところであんたは?」
「ギルド長のレオンだ。家名のない、ただのレオンだ。」
「・・・レオンか、よろしく頼む。俺はグレンだ。」
「ああ、名ばかりのギルド長だがな。よろしくな。」
そのあと、気弱そうな魔法使いのミミと
可愛い系の治癒士のミナと
格闘家のマリリンと
荷物持ちのサリアと
事務職のレナを誘ってみた。
これでバランスは良さげなパーティが出来上がったな。
まあ、どの子も追放されただけあって、スキルには期待できそうにない顔をしている。
まあロートルのじいさんたちよりは、なんとかクエストできるだろう。
ギルドの体裁が徐々に整いつつある。
そんな昼下がり、ひと段落したし、このままユニ馬券買っておくか。
冴えない冒険者たちが、まさかすごいスキルを持っているなんて、俺はこの後もずっと知らなかった。