1.F級ギルド長になったわけ。
王国には色々な等級のギルドがある。
S、A B Cと続いて最後がFだ。
俺は、そんなギルドのギルド長をコネでやっている。
コネと言っても、実家の権力に寄るものが大きい。
侯爵家の長男といえば、普通は家を継いで王家に仕えるのだが、家は弟が継いでいる。
まあ、勘当すれば世間の風当たりが強いのだろう。
スキル判定の儀が終わった後、就職先として、捨扶持あつかいの飼殺し扱いの、このF級ギルドを紹介されたのだ。
F級って言っても、元はA級ギルドだったのだ。
先々代のギルド長までは。
まるで俺が没落させたみたいだって?
よくお分かりで。
というのは冗談で、先代のギルド長は、先々代の息子なのだが、まあ普通のギルド長だったよ。
ただ、この付近のギルドが急成長して、盛者必衰ということだっただけなんだ。
良いクエストの受注は急成長のギルドに回され、普通のA級ギルドのこちらは徐々に傾いていった。
B級の頃は、まだよかった。
C級になったときには、稼ぎ頭のパーティが他に移籍した。
そこからの転落は早かった。
あっという間に、F級になってしまった。
まあ、E級ギルドになる頃には、優秀なパーティは全員居なくなっていて、
いつの間にか先代のギルド長も逃げ出していた。
幸い借金は無かったようで、ギルドの破産だけは避けられた。
しかし、ギルド長が不在は体裁が悪いので、白羽の矢が立てられたのが俺だ。
E級ギルドのギルド長を何も実績のない俺がやったらどうなるかは、分かりきったことだ。
F級ギルドになるのも時間の問題だったが、すぐにF級になってしまった。
現在在籍している冒険者は、1パーティのみだ。
しかも平均年齢が62才だ。
受付嬢は先代のギルド長の娘7才なのだが、
ギルド長は娘アンナを置いて逃げたのだった。
まあ受付嬢って言っても、ごっこ遊びなのだが。
そもそも、俺はコネで入ったんだ。
ギルドの運営方法も分からないし、ここ数年は、アンナの子守しかしていなかった。
ギルド長の家政婦のように子守をする。
コネでギルドに入った俺が、ギルド長?
本当に冗談であってほしい。
なお、パーティのじいさんたちは、先々代のギルド長の恩義とかなんとかで、アンナお嬢様のために、ギリギリ在籍しているにすぎない。
俺の目標は最低限、このギルドをつぶさないことだ。
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ひょんなことから、ギルド長になってしまった。
俺は、このまま平穏な生活を続けることができるのか?
次回 スキル<覆水盆に返らす>
俺のスキルでギルドを立て直せるのか?
あと数話上げる予定です。
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京安藤しーぷです。