パンケーキ食べたい。
うーん無理でした……陰キャモデルの方。
昨日あんな事言っといて申し訳ない。
カフェ巡り。
それは神田瀬兄妹が持つ趣味の一つである!
流行りなどもうそれはコロッコロ変わるので、次々に流行りの良いお店がオープンするのだ。それを追いかけるのが俺達の役目、いや義務。そしてそれをSNSで投稿するという一連の流れだ。
そして今、現在流行っているという店へと向かっている最中なのだ!因みにソースはネットと柊さん。
「でも良かったのか?」
俺が兎奈にそう聞く。
「何が?」
「ほら、兎奈の歓迎会するっていってたじゃん」
昨日言六組で開かれようとしていた歓迎会。多分今日も誘われているはずなのに、兎奈は迷う事なくこちらを選んでいる。主役がいないのでは六組のメンツも会を開くことができない。というか多分この先ずっとできない。
「中学の時にさぁ」
「うん」
「親睦会ってやったじゃん?」
「うん。なんか色んな組のやつが混ざってたあれね?」
「で、あれの影の目的知ってる?」
「ううん?」
「あわよくば私か結に近づいて仲良くなれたらその片割れにも近づけて仲良くなれるじゃん、という一石二鳥で紹介してもらっちゃおう作戦」
「……うん?」
ダメだ。何言ってるのかよく分からなかった。まぁ、なんか仲良くしようとしてたのは分かった。
「だーから私か結と仲良くなれれば相方が付いてきて一石二鳥なの」
「ん?俺達どっちとも仲良くなりたかったって事でしょ?」
「で!その影に隠れた野望が、まずは同性の方から近づいて、その後異性の方にもお近づきになっちゃうぞっ☆てことなのよ」
「今のもう一回やって」
「なっちゃうぞっ☆…て違うっ!!あと写真を撮るな!!!!」
兎奈のウインク姿激写。
しばらくホームはこれにしよう。
「コホン。つまりね?人はやっぱり邪な生き物なのよ。打算ありきで生きてるのがほとんどなの」
「それ言うなら俺だって打算で行動してるよ?」
「例えば?」
「え〜?ホールケーキはワザと大きさがバラバラになっちゃう父さんに切らせておっきいの取ったり?」
「何よそのわたあめぐらい甘々な打算。結の思考には打算のだの字もないわよ」
俺は結構打算的だと思っていたのだが……。もう打算的な人間がどんなのか分からなくなってきた。
「そう言う兎奈はどうなのよ」
是非とも参考に聞かせてもらおう。
「私?私は逆にその打算を踏みにじるためにこうやって基本結と行動してるのよ。だからこうやってクラスの集いを断ってこっち来てるの」
「つまり打算ありきな俺との行動だと……?」
「それ半分。楽なの半分」
「あ、良かった〜」
「半分打算で行動されて良いと思うのあんたぐらいじゃないの?」
ん〜難しい話はよく分からないな。早くカフェ着かないかな。カフェカフェ〜。
「な、な、な……何だこの女子率……」
「よくある事じゃない。わ〜ここ店内可愛いわね〜」
兎奈は店内に入るといきなり写真を撮りだしている。
まぁ……俺も写真は撮りたいから撮るんだけどね。
俺も兎奈に倣ってスマホを取り出して写真を撮った。
ひとしきり撮り終えると、兎奈と一緒に奥の二人席に座った。
「何食べる?私パンケーキ」
「じゃあ俺も」
「味は?」
「チョコバナナ」
「私抹茶小豆。半分ずつ分けよ?」
「おけ」
「すいませーん」
着席から注文まで約十秒。事前に調べておいた情報でめぼしいものは決めていたのだ。選んで時間を取られるなど愚かな事はしないっ……!!
「は〜いお伺いしますっ!」
元気のいい店員さんが注文を受けにやってきた。
「チョコバナナと抹茶小豆のパンケーキ一つずつください」
「はい!チョコバナナと抹茶小豆が一つずつですね!」
すると、その店員さんが俺達を交互に見ている。きたっ…あの確認だなっ……!。
そう思っていると、店員さんが口を開いた。
「因みにお二人はカップルさんでしょうか?」
「「そうでーす(棒読み)」」
「では、カップル割と、サービスでパンケーキ型の方をハート型にしておきますねっ」
「「おなしゃーす」」
「では失礼します!」
……計画通り。くっくっく……。
実はこの店、ありがたいことにカップル割なるものがあるのだ。会計から五パーセント割り引いてくれる。
だが店内のキュートさや、メニュー的に男が到底来れるような所ではない。だからこの事は他にあまり知られていない情報なのだ……。
そしてカップル割を使った時、さらに裏サービスとしてパンケーキ型をハートにしてくれる。これはいわゆる「映え〜」だっ!!!!
「うまくいったわね」
「いったいった」
「「……くっくっく……」」
そう、俺達は一切の無駄を犯す事は無いのだ!!その為なら双子は時に、恋人になる事も惜しまないっ!!
それからしばらくしてパンケーキが到着。
「「かわい〜」」
ちゃんと食べてしまう前に俺達は写真を撮り終えて、パンケーキをナイフで切っていく。
「半分ずつね」
「分かってるー」
さぁ、いざ実食!!
俺と兎奈は切った一欠片のパンケーキを口に運んでいく。
「「うま〜……」」
うまい。フワッフワだ。最早雲。
そして半分のところまで食べて兎奈と交換する。
「あ〜こっちもうま〜」
「バナナうま〜」
パンケーキをひとしきり堪能してから、それぞれのSNSに投稿する。
なんと兎奈様はフォロワー十万越えと、中々な影響力の持ち主だ。
因みに俺は兎奈のおこぼれを授かって一万ちょいぐらい。そんぐらいが俺相応だ。
「久しぶりのカフェはどうでした?」
「何よ。別にまだ終わってないわよ?これからここでダラダラ時間を潰すのが最高なのよ」
そう言って兎奈はスマホと漫画を準備。
そうだろうと思っていたので俺もスマホをいじりだす。
といっても、明日柊さんに貸すための漫画の候補を記憶の奥底から絞り出して考えているだけだが。さて、どうしようかしら?
カシャァッ
……ん?
「何か撮った?」
「やば、音出てた」
「君、今僕の事撮りませんでしたー?」
「撮ってませーん」
「それどうするつもりですかー?」
「…………」
だんまりさんだ。
兎奈が俺の事を撮ったのは間違いない。だけど俺みたいに俺のコレクションを作っているとも考えづらい……。
と、その時兎奈が口を開いた。
「…………頼まれたのよ」
「何を?」
「写真ちょうだいって」
「誰に?」
「………………ひーちゃん」
「は?誰?」
「棚田」
「……………何のために?」
「……それな」
柊さん。俺の写真をどうするつもりだ……。
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