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レッツ部活見学

予告


明日二話更新。


予告終わり

 キーンコーンカーン……。


 さぁ、鳴ったぞチャイムだ。


「じゃあ今日はここまでな〜」

「きり〜つ」


 日直が合図し、皆ガタガタと椅子を鳴らしながら立ち上がる。


「れーい」

「「「「ありがとうございましたー」」」」


 六限目終了。

 五限目と六限目の間は、柊さんのお友達がずっと話しかけてくれていたので、検索させる隙はなかった。ナイス。


「ひーらぎちゃ〜ん。帰ろ〜」

「う〜ん。あ、でもちょっと待って〜」


 さて、俺は今日いち早くここを退散して六組に向かえば、現場に居合わせなくて済む。

 バッグを持って退散準備。そして六組へと向かう第一歩を踏み出した所で後ろから魔の手が肩に……。


「ひっ……!!」

「何?その幽霊と遭遇したみたいな反応」


 肩の後ろから柊さんの声がする。

 まずい、早く逃げなくては!


「ごめん。俺、今日兎奈と部活見学あるから急いでて〜」


 俺がそう言った途端に男子達がざわめき出す。


「おい聞いたか!?」

「今日兎奈さん部活見学するんだって!?」

「最近サボりがちだったけど行こっかな〜」


 兎奈に良いところを見せたい男子達が色めき立っているようだ。

 だが残念ながら、兎奈が気になっている所は合唱、オーケストラ、女子テニスとかそんな所だろう。オーケストラは珍しい部活だしな。


 まぁそういう訳で、男子の出る幕はほぼないといっても良さそうだ。


「あ、そうなの?じゃあ私も一緒に回ろっかな〜」


 柊さんが突然そんな事を言ってきた。柊さんも部活入ってなかったのか?ちょっと意外……。


「ちょっとひーらぎちゃん。帰るんじゃなかったの〜?」

「んーごめん!今日は先帰ってて〜」

「え、ちょ、ちょっと、勝手に決めないでくれます?」

「ダメ?」


 お、これが俗に言う美女の上目遣いか……。


 まぁだからと言って揺れるような俺じゃない。


「ダメだよ」

「えーーーーっ!?」

「ほらひーらぎちゃん断られてるじゃん。さっさと帰ろー」

「ぐぅ……」

「では、お先に失礼柊さん」

「えぇーーーーー!?」


 俺は柊さんに敬礼すると、そそくさと教室から退却した。


 この後、神田瀬結はあの棚田柊のお願いを断ったとして男子に処されてしまう事は、今の俺には知る由もない……。




 六組はやはりというか中々の賑わいっぷりだった。中心にいるのはもちろん兎奈だ。

 男子とも和解できたらしい。まぁまぁの距離感で接されている。


 そして現在進行形で困っているのは俺だ。


 入口で誰かに頼んで連れてきてもらおうと思っていたのだが、これはどうやら無理そうだ。


 廊下から声を掛けてもいいが、邪魔をするのは少し忍びない。


 ならばと俺は教室内へ一歩踏み出す。


 俺が直で行ってやろうではないか。


「兎奈ちゃんありがと〜」

「じゃあ私も交換してくれな〜い?」

「う〜んごめんね?ちょっとこれ以上連絡先増やすとまずいかな〜」

「え〜?そっかぁ……」

「メールのアドレスならいいわ。また明日渡すから」

「やった!」


 盛り上がってるな〜。俺の存在に気づいてる人は数人か……。


「ねぇ兎奈ちゃん!今日兎奈ちゃん歓迎会しようと思うんだけど、どうかな?」

「ちょ、お前、それ言い出したの俺なんだからさ〜俺に誘わせろよ」

「もう言っちゃったもーん。で、どうかな?」

「あーそれは……」

「ごめんね〜なんかこの子部活見学行きたいみたいで〜」


 丁度入れるタイミングだったので、俺が割って入る。

 皆がバッとこちらを振り返る。


 あ、ちょっと怖いかも。


「結!いと遅し!!!!」

「ん、ごめん。ちょっとだけ捕まってた」


 何故か俺の前に開けた兎奈への道を通り、兎奈の席まで移動する。


「声掛けてくれたらよかったのに」

「いや〜なんか悪いかと思って」

「そんな事ないわよ」

「でも楽しそうだったじゃん。お友達は出来ましたか?」

「それはこっちのセリフだから」


 俺は兎奈の鞄を取る。


「てことで、今日は無理だからごめんね?六組の皆様方。何卒、妹をよろしくお願いします」

「「「「は、はい!」」」」

「ほんのちょっと早く生まれただけなのに偉そーに……」

「ほら、行くぞ兎奈」

「はいはい」


 俺達は揃って歩いて、教室を出た。


 後ろからボソッと「あんなヤツこの学年にいたっけ……?」と聞こえたのは知らないふりをしよう。




 一番目、合唱部。

 兎奈の歌声に勧誘の声多数。早々に切り上げ次の部活へ。


 二番目、オーケストラ部。

 兎奈のピアノの腕に勧誘の声多数。そして巻き添えを食らって俺も何かする羽目になっている現状。


「俺結構どれも中途半端なんだけど……」

「まぁ、結ってかじっては辞め、かじっては辞めの繰り返しだったからね」


 まぁ、その通りで、俺は今まで色んな習い事をしてきたのだが…中々どれも続かず、一、二年で大概辞めてしまったのだ。悪い時は数ヶ月で辞めた。色んなことをさせてくれた母さんには感謝だ。


 そして、その中でもずっと続いていたのが剣道なのだが……。


「はぁ…そうなんだよなぁ〜だからこんな器用貧乏に……」

「いや、器用貧乏の域は超えてると思うんだけど……」

「?なんか言ったか?」

「……何も?」


 何もではないだろう何もでは。完璧に何かは喋ってたじゃない。こーゆーのいるよねぇ〜。


「さぁさぁ〜どの楽器でもいいですよ〜!かじったぐらいでも大丈夫です!!楽しんで弾いて頂ければ!!」


 そう言ったのはこのオーケストラ部の部長さん。中々に熱弁してくれる。


「ヴァイオリンにしたら?」

「え〜?一番自信ないんだけど……チェロは?」

「はぁ……もう何でもいいじゃない。だいたいできんだから」

「えっ!?因みに君、詳しくはどれやった事あるの?」


 部長さんがそう聞いてきた。

 いや、どれ、と言われてもな……。


「えっと…俺の記憶が正しければ、弦楽器全般と、フルート、ピアノ、マリンバ、ドラム……辺りでしょうか。同時進行で色々やってたんであんましっかり覚えてないんですけど……」

「へぇっ!?弦楽器全般って……ヴァイオリンもビオラも!?」

「?はい。チェロとかギターとか、あとコントラバスとか」

「ま、益々手放せなくなったぞこの双子……」


 なんだとそれは困った。まだ部活を回らなければいけないのに……。

 長居はできない。早くしなければ。


「そ、それじゃあさ!できれば、ヴァイオリン弾いてくれないかな!?」

「ヴァイオリンですか?いいですけど……」


 部長直々のリクエストとあらばそれでいこう、自信はないが。


「やばい。触るのいつぶりだろ……」

「家にあんのピアノとギターだけだもんねぇ」

「そりゃそうだよ。ヴァイオリンなんて練習用のでも十万円の奴は欲しい。そんなん無理だろ」

「実際辞めてるしね」

「それな!!」


 さて、無駄話も程々に、早く済ませて解放してもらいますか。


「♪〜〜〜〜〜〜」

「!?……」


 適当に三十秒ぐらい弾いてから、演奏を辞める。


「まぁ、こんなもんなので早く解放して下さい先輩」

「〜〜〜〜っさいっこうだよ君達ツインズ!!」

「「え?」」


 あ、待てこれやったやつか……?


「なにがかじっただけよ!それなりに弾けてるじゃない!!」

「え、いやヴァイオリンは確か五ヶ月ぐらいで辞めたんですけど……」

「ごかげつぅっ!!??……嘘でしょ?」

「いやほんとですって」


 こう……ヴァイオリンみたいなのよりチェロぐらいの低音系がしたくなっちゃって……ついでにビオラも辞めたのだ。


「全部こんぐらいだとすると……怖いわね。ピアノの天才にオールマイティボーイ……欲しいっ!!是非入ってちょうだい……ってもういない!!」

「んじゃ失礼しました〜」

「した〜」

「え、ちょっとまっ……」


 三番目、女子テニス。


「えと……すみません。男子禁制なんでけど……」


 なんか変態が来たと思われる。


「大丈夫です!ただの付き添いです!!」

「悲しいね、結くん」

「うんっ!」




 そして今日はここで時間切れになった。


「どう?決まった?」

「ん〜どれも良かったから選べない。I can't choose!!」

「今って世の中英語ブームなの?」

「始めたの君だけどね。なんか良いね」

「英語ってカッコいいよな」


 さて、改めて俺も初めてしっかり部活を見たわけだが……意外と楽しそうだった。兎奈が選べないと言うのも頷ける。


 と言っても、運動部の方はほとんど見てないんだけどな。


「ところで結くん」

「はい?」

「剣道部に入る気は?」

「……考えたけど、今日で色々やりたくなってきちゃって……」

「そうですか。ですが結くん朗報です」

「はい?」

「もうちょっとで剣道の授業が始まるそうです」

「……はい?」


 それは……初耳だ。

面白い!続きが気になる!恋したい!!くっそぉおおおおおおおという方はブクマと評価の方お願いします。



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