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注目は一つにしか集まらない

 本日初めて、柊さんの存在を自覚して、お話もした俺だが……授業中にまで柊さんの視線が感じられた。


 もちろんジーッと見られる事はないのだが、頻繁に感じるチラッという視線が気になって仕方がなかった。授業中なのによそ見するんじゃありません!すごいブーメランだけど!


 そして授業の合間の休み時間。

 誰かは分からないが、「長い間休んでた子が来ていてその子が超絶美少女らしいっ!」ぽい事を言ってドタドタとクラスメイトが六組へと流れて行った。


 男子がほぼ綺麗サッパリいなくなり、興味本位で向かった少数の女子。そのせいで現在クラスの人数は半数以下になっている。


 もちろん、興味本位で向かった女子の中には柊さんも入っている。

 その為、現在俺は再びボッチ体制に陥り、何を眺めるでもなく窓の外を覗いている。


 一体どれくらいのクラスメイトが、俺が髪を切った事に気付いているのだろうか……。兎奈に注目が行くのも最もだが、一応俺だって変化があったんだぞ……。まぁ、兎奈の事を美少女と言ってくれた者もれなく全員には俺からよくやったで賞を送りたい。


 うんうん、そうしようと一人決心していると、教室の外が騒がしくなって来た。どうやらクラスメイトが帰ってきたらしい。


 廊下でベラベラと喋りながら帰ってくる男子共。興奮覚め切らないという様子だ。

 こりゃあうるさくなるぞ……。


「やっべぇ!マジ可愛かった!!名前聞きたかったなぁ〜」

「それな〜。これからは棚田ちゃんとあの子の二大巨頭だよな!!」

「うんうん。小柄で華奢でもうすごーく天使だったなぁ〜ギュってしたい、ていうかペロペロしたい……」

「そうだな〜…ってたた、棚田ちゃんっ!?」


 いや、何あの子。

 どさくさに紛れて男子の輪に混ざっちゃってるんですけど……。コミュ力で体のほとんどしめてんじゃないの?ていうか今の発言もろ変態だよ。肯定した方も殺すわよ?キラーン。


 それから、柊ら女子と男子達がぞろぞろとクラスに入ってくる。


 そして案の定、クラスに戻っても話題は兎奈の事で持ちきりだ。どうやらクラスの前には既に人だかりがすごかったとか……。


 それより男子達よ。女子の顔を見てみろ。もうちょっとボリューム下げようぜ……。

 馬鹿騒ぎするのが男子だし、それが良さでもあるんだけどね。周りに気をつけようね。


「やぁやぁ結くん!」

「はーい。結ですが」

「あの女の子のお名前は何だい!?」

「……え何で俺?」


 まさか……外から覗いただけで双子だと思ったのか……!俺達やっぱ似て……


「え?いや結くんって情報通な感じするし」

「あぁそっち?」


 やはり、俺達は双子ではない。いや双子だけど。それだけの格差が兎奈と俺の間にはある。中学の時も兎奈はモッテモテだった。それは俺にとっても誇りなのだが。


 さて、さっき少し変態臭がした柊さんだが、まぁ同性だし名前ぐらいはいいだろう。


「兎奈だよ」

「ん?うら?」

「うーな!兎に奈良の奈で兎奈」

「ほうほう。可愛い名前だね〜」


 俺も兎奈の名前の響きはお気に入りだ。何度も呼びたくなる。最早病気。


「うなうな〜♪」

「なんかご機嫌……?」

「みんなーー!!あの子の名前兎奈ちゃんだってーー!!!!」

「……は?」


 この子、元気で明るくて愛想がいいのが売りだけど、こういう所はいけすかん!!基本いい子だけどね!!


 そして男子達は雄叫びを上げだす。


 これで兎奈の名前がクラスの全男子に行き渡ってしまったわけだ。次の瞬間には兎奈コールが始まっている。なんて事だ……。


 ごめんよ、兎奈。


 俺は心の中でそっと、兎奈に謝るしかできなかった……。南無……。



 ***



 そしてお昼。当たり前のように柊さん以外には話しかけられる事もなかった。ひどい。男子だって話掛けてくれてもいいじゃない。


 そう思って柊さんに何で話掛けてくれたのか聞いてみたのだが、返答は「なんか意外と面白そうな人だな〜って思ったからだよ。意外な部分多かったし」だった。とにかく意外だったと。

 それと「ほら、なんか結くんって話しかけるなオーラが凄かったし……」とも。


 俺、そんな思い詰めた感じだったのか?


 すると、何故か複数の走るような足音が聞こえてきた。


 あれ、今お昼か。あーもしや……。


「ゆぅーーーーいぃーーーーー!!!!!!!」


 うん。紛れもなく兎奈だ。


「あれ?何か結くん呼ばれてますやん」


 隣から柊さんがそう言ってくる。


「スーーーー…………」

「ほ?何?精神統一?」


 さて、行きますか。戦場へ。


「あれ、どっか行くの?」

「うん」


 俺はその場を立ち上がり、弁当を持って教室の外を出た。


 そこで目にしたのは……廊下の真ん中を走り抜ける兎奈と、その後を追ってくる……女子の大群……?いや、ちょっと男子も混じっているが、主に女子だ。

 何したのこの子?


「結!!ヘルプ!!もう疲れた!!体力ない!!」

「兎奈!お姫様かおんぶか!!」

「んぉ、お、んーひめ、いや、おんぶで!!」

「ラジャーッ」


 俺のクラスメイトも騒ぎに気付いたのか、窓や戸から顔を覗かせている。そしてもちろん、その中には柊さんの姿が。

 そんな事は気にせずに、俺は兎奈をおぶって人気のないマル秘昼食スポットまでダッシュでご案内。


「「「えぇえええええええっ!!?」」」


 後ろから追いかけていた女子やクラス中から悲鳴が聞こえてくる。

 チラッと見えた柊さんも目を丸くて、次の瞬間には羨ましそうにしていた。兎奈は絶対に渡さんぞ!!


「うぅ……ごめん結……」

「事情は後で聞きます!!ので!!舌噛まないでね!!」

「はーい」




 それから謎の女子群を巻き、マル秘昼食スポットこと、校舎と校舎の間にある、渡り廊下ならぬ渡り階段に到着した。

 ここは四階と高い階からじゃないと行けないのと、正式なランチスペースが屋上にあり上、屋外にもベンチがいくつかあるため、人気がないのだ。


「ふぅーっ……」

「結も体力落ちたんじゃない?」

「筋トレは毎日欠かさずしてるんですけどね……」

「走ってないでしょ」

「最近は……」

「ていうかまだ筋トレ頑張ってる所とか未練タラタラじゃない」

「ですね……」


 実際、家で竹刀を振っていて母さんに怒られた事があるのだ。習いに行っていた剣道場には戸籍は残っているため、表面上はお休み中、となっている。つまり、またいつでも始められるという事だ。


「それはそうと、何であんな事になってんの」

「それはー……」


 そうして兎奈が語ったのはこういう事だった。

「ちょっと男子がウザかったからピシャリと言ってやったら女子が付いてくるようになった」……と。


 うん。面倒だ!


 兎奈にウザ絡みは厳禁だ。


 中学時代、仲良くしていた男子は趣味が合うか、大人しいか、そこら辺サッパリした奴だったはず。

 それを六組男子はいきなり地雷を踏んだ、と……。


 それは俺の知ったこっちゃないね。


「そんな事より、もしかして結、このまま教室戻って大丈夫なの?」

「?何が?」

「多分、私の事誤解されてるけど。ちゃんと兄弟だって言った?」

「…………」


 これは……また一波乱ありそうな予感だな……。と、思いながらもちゃんと箸は止めない。


 唐揚げうめ〜。


「ていうか兎奈の方こそ言った?双子の兄妹がいるって」

「……あ〜この唐揚げうめ〜」

「それな〜」


 これは……後二波乱はあるかな?

面白い!続きが気になってマジ夜も寝られる〜という方はブクマと評価おなしゃす!!


髪切っても注目されない系主人公。



追記です:

作者的に意外にも陰キャモデルの方を楽しみに読んでくれている方が多くて本当に嬉しい限りです。厳しい意見もいただいてきたので、表面上でしか読者さんを感じられないんですよね……。へへ。


改めて新作を始め、陰キャモデルの方を掛け持ちするのは難しいので……やはりしばらくは休載です。


ですが甘夏氏、皆様がなるべく多く見てくださると思うここに宣言いたします。


陰キャモデルも、こっちが落ち着いたらちゃんと掛け持ちして頑張ります!


それまで待ってはくれないでしょうか?


アホトーンからマジトーンになって何や、情緒不安定かて感じですが、まぁ半分合ってますw


今陰キャモデルの方でとあるお話をいただいております。なので、まずエタる事はないと思います。


どうか僕に、陰キャモデルの方で心を整理する時間と内容考える時間を下さい。流石に僕も人間なので始めズッコケちゃって陰キャの話後悔する事もあるんです。


やはりこの新作は陰キャモデルのクールタイムを取るためですね。


ちゃんと、どっちも面白い作品に仕上げられるよう、精進致しますm(_ _)m

色んな本読んで勉強します!!


〜以上、更新僅か数十分後の甘夏からお届けいたしました!〜

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― 新着の感想 ―
[一言] 双子の兄弟→双子の兄妹 のほうがいいのではないでしょうか?
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