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Pieris  作者: 妄想族ゆうきち
7/11

Episode6 〜革命〜

遅くなりました!pieris IIのメインエピソードに時間をかけ過ぎてしまい…(言い訳

ともかく、二巻の本編を更新出来たのでそのご報告と!

エピソード投稿をさせて頂きます!

楽しんでいただけたら幸いです。

作戦の開始を明日に控え、最後の訓練が終わった。

アカネやアレクと明日の作戦確認を終えて寮のベットに横たわる。

王城の正門と裏門からの挟撃、王族の首を討つ。

言葉にするのは簡単だが、実際は難しい。

敵は上位能力者を従えていて、何千の兵士を王城に置いている。

施設強襲後警戒が強まり、一層制圧を難しいものにしているのだ。

実際にこの国で暮らしてみて、いくつか分かってきた。

帝王は技術を独占し、能力者と共に軍事利用している事。

能力者施設や王城に比べて町は文明が遅れている。

家は木と藁だし、武器など刀剣のレベルであった。

施設には鉄筋コンクリートに武器はライフル、火炎放射器が有ったことからしても

文明レベルに差が出来すぎていた。

どういうコネかは分からないが革命戦線でも火器とナイフが配られた。

エレンは動きやすさを重視したためナイフとセミオートのピストル一丁、

防弾、耐刃の制服を着用している。

戦闘の工夫を考え、訓練したエレン達はもはや、

ランクなど関係ないほどに成長していた。

実際、街で兵士に見つかった際にもランク上位に

引けを取らない働きで制圧している。

しかし、決戦の前は眠れないものである。寮の屋上へと上がる。

施設で見たガラス越しの偽物ではない本当の星空が広がっている。

「あんたも寝付けなかったのね。」

同じことを考える奴はいるらしい。屋上には数人の能力者がいた。

アカネもそのうちの1人だった。

「ああ。覚悟はできてるはずなんだけどな。」

まだ15の少年だ。無理はなかった。

「実はね、私、人を斬れないの。覚悟を決めたつもりでもやっぱり斬れない。ホントは弱いのよ。手が震えて、刀を握れないの。」

アカネの能力、“技使い”を使いこなすため、アカネは刀の訓練を積んでいた。

様々な流派や型があるため拳より使い勝手がいいのだ。

刀で能力を使えば衝撃波で遠距離を斬れる、巨大岩を一刀両断出来るなど

戦闘に特化した強力な攻撃手段になる。

だがその反面、明確に人を殺す道具でもあった。

「殺せ、とか俺が守るとか、無責任な事は言えない。けど、危なくなったら必ず使って欲しい。我儘だけどさ、生きていて欲しいから。」

偽りのない本当の気持ちだった。生きていて欲しい。

本当ならこの手で守りたい。

けれど、レイカを奪還すると決めた以上責任を持って行かなければならない。

「だから、そういうのは好きな人に言ってあげなさい。だけど、ありがと。使うよ。大事なものを守りたいから。仲間をさ。」

言葉は最後まで紡がれなかった。過酷な訓練だ、疲れが溜まっていたのだろう。

「俺も、腹を括ったよ。死んでも助ける。」

眠りに落ちた2人を星空は優しく包んだ。


当初の計画通り、作戦は開始された。裏門からの攻撃を担当するエレン隊は

表門を担当するアカネ隊の合図を待っていた。

ちなみに、起きた2人が顔を真っ赤にしたのはいうまでもないだろう。

ついでに、気まずくて話せていないことも。

他の部隊もアカネ隊の合図を待って準備をしている。

合図があがる。表門の部隊と交戦しているらしい。

「いくぞ、エレン隊!姑息な洗脳主を討って、同胞を救うぞ!」

鬨の声が上がる。士気は十分だ。

「突撃!」


最初のうちは奇襲が功を奏し前線を押し上げたが、徐々に乱戦になっていった。

そこに能力者部隊が横から突撃する。

防御系の能力者を前にして防ぎ、遠距離の攻撃で数を減らしていく。

非能力者の敵戦力ではなす術がない。ライフルの銃声に絶叫が重なる。

側面からの攻撃に弱いのは前面に気を取られすぎていたからだ。

ジュンの能力、“映像”で恐竜を生み出し、

前面の注意を引く作戦は成功したと言っていいだろう。

“索敵”の能力者が上位能力者の存在を知らせる。

アカネはエレン達に向けて合図の旗を掲げた。


表門の戦闘に敵戦力は大半を割いていた。

そのため、裏門のエレン隊以外の全隊を囮にした隠密作戦は成功した。

浸透したエレン隊の目的は単純だ。

敵の上位能力を止めて革命戦線のリーダーの直属能力者部隊を突撃させ、

洗脳主を討ち取るまで維持する事。

純粋な時間稼ぎだ。エレンの実力はすでにランク7にも勝る。

さらに、エレン隊は新たに再編成された精鋭のみで構成されている。

十分すぎる戦力に、

攻撃を受け続けることさえ出来れば無理をしなくてもいい状況。

「ヘマすんなよ!いくぞ!」

エレン隊30人と上位能力者が、正面からぶつかった。

エレンの目指す目標は当然レイカだ。訓練の成果を見せる時。

付け焼き刃だが、通じるはず。“未来体”、<座標転移>。

ピストルの有効範囲。容赦なく引き金を絞る。

ダン!と銃声が響き、訓練で何度も経験した反動が手に残る。

口径25mmゴム弾。気絶を目的にした制圧用の弾だ。

“間違っても殺してしまわないように”と研究所の女性に渡された。

当然、氷の華は砕けない。だが、そんな事は想定済みだ。

時間を稼ぐ目的なら、注意をこちらに向けるだけでいい。

ニヤ、と笑みが浮かぶ。

「待たせたな。今日こそお前を連れ帰る!」

トン、と足を地面につける。<氷華の床>か。強力な範囲攻撃。だが、

「わかってて対策しない訳ねえよな?」

地面が凍り付く。軽く跳んだエレンはその氷に足をつき。

<熱底靴>。鉄板に低温に反応する液体を入れてある特注品。

花弁の凹凸に足をかけて走る。ピストルの引き金を数度絞り牽制を重ねていく。

空気中に青い光の軌道が見える。

無数の華を空気中に生み出し、雨のように降らす気か。

一発でも当たればたちまち凍り付き、身動きが出来なくなる。

<座標転移>。落ちてくる位置さえ限定されれば避けるのは容易い。

転移先でまた銃撃。やはり華の壁に阻まれる。

銃撃での気絶、無力化が出来ればベストだ。

危険度も少なく、こちらのダメージも軽減出来る。

どうかにして華の壁に穴を開けなくては。

ならば。複数の未来をほぼ同時に引き寄せる!

“未来体”応用、<蜃気楼>。0.1秒の未来の引き寄せを繰り返し、

高速で攻撃する技だ。現時点で0.1秒後に起こり得る“銃撃している自分”を

全て引き寄せながら接近する。全て別の可能性の未来であるため銃弾を使わず、

なおかつ0.1秒は人間の反応速度の限界である。

レイカの目には分身に撃たれているような感じに写るだろう。

1秒に十発の弾丸の雨に流石の氷の壁が砕ける。

両者の距離が詰まり、エレンの弾丸は止まるところを知らない。

距離は実に、3m前後。

砕けた壁の修復に全能力を使っているレイカは反撃の手がない。

まさに肉薄に感じる距離で、エレンは勝利を確信した。

そして、届かなかった一ヶ月まえのその手を。

砕けた華の合間を縫って。その銃弾はレイカの腹部に命中し、彼女の意識を奪う。

倒れそうな肩に、ようやく。

「やっと、捕まえられた。」


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