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黒猫虎 恋愛

【お姉さんと男子高校生】女にとって男は優しいだけじゃダメという話。

作者: 黒猫虎

ある男子高校生「んー、このなろう作品が気になってねむれないよーー! どうして、男が優し過ぎるとだめなんだよー!」


男子高校生は寝る前に読んだ、あるなろう作品が気になって寝付けません。


~朝~


「それじゃあ、学校行ってきまーす(ね、眠たい……)」

「あ、お姉さんだ、お姉さんに聞いてみよう!」


※この小説は、ほぼ会話形式です。

「お姉さん、お姉さん!」


 朝、お姉さんが家の前を(ほうき)で掃いていると、向かいの家に住んでいる幼馴染みの高校生の男の子が学校に行こうと玄関から飛び出してきた。

 ――と思ったらお姉さんを見つけたとたん、朝から何やら深刻な様子で話しかけてきた。


 ちなみに、現在お姉さんは家事手伝いという素晴らしいご身分である。


 それから、この男の子の名前を作者はまだ決めていない。


「お早う。なぁに、正太(しょうた)君。朝からそんなに大きな声出しちゃって」


 お姉さん、さっそく作者の代わりに名前を付けてくれたのですね。

 ナイスです。


「お、お早う。――し、正太ってぼくの名前、謎の昭和感!? ぼくの名前、正太に決定しちゃうの?? そ、そんなことより、このなろうの小説を読んでみてよ!」


「もう、何? 学校遅れちゃうよ? 何よなろうって……」


 お姉さんが正太君の差し出したスマホを見てみると、ある有名な小説投稿サイトが表示されていた。


「うん、何々……『ある日バーで出会ったA夫とB美が意気投合して付き合いはじめて、結婚直前にA夫がB美から別れを切り出されて、A夫は2年が経ってもその別れを引きずっている』という話ね」


 お姉さんは小説を読み始めた。

 短編小説なのですぐに読み終わる。



 肝心の話はだいたいこうだった。


 ある日、B美がA夫に別れを切り出す。

 A夫は「そもそも自分のどこが好きになったのか」と質問する。

 B美は「優しいところ」と答える。

 A夫が次に別れの理由を質問する。

 するとB美は「A夫が優し過ぎるから」と答える。


 A夫はそれまで甘えたがりのB美の求めに応じて、恥ずかしがりなのにも関わらず、人前での激しいスキンシップやキスの求めにも応じてあげていた。

 その他にも別れの1ヶ月前に、A夫はB美の希望で沖縄旅行にも行ってあげていた。

 それも、A夫の仕事が忙しい時期に無理やり有給を取ってだ。

 A夫は有給を取るために馬車馬のように働いたのでクタクタだ。


 そんな疲れているのにも関わらず、旅行中にB美が()()を求めてくる。

 A夫はB美に恥をかかせないように、疲れた体に鞭を打ちB美の求めに応じてみせた。

 本当に涙ぐましいA夫の努力に正太は涙を潤ました。

 それなのに――である。


 正太が見る限り、A夫は出来ることは全てやっているように思えた。

 それなのに別れを切り出された。

 正太にとっては理解不能の恐怖の物語である。


 物語は最後に、「A夫は、別れた後もB美の『優し過ぎるから』の別れの言葉を引きずっていて新しい出会いに踏み出せない。結婚相談所のドアを開けたが、『間違えました』と言って去っていった」と締め括られていた。

 正太にとって全く救いの無いまま物語は終わっていた。



「なになに、どれどれ……あははっ。分かるー」


「ええっ、お姉さんこの話、分かっちゃうの!? ぼくには意味がサッパリ分かんないよ! 納得がいかないし、救いもないし!」


「ふーん、そっか。正太君は、この話のどんなところが納得いかないのかな?」


 ◆ ◇ ◇ ◇


「えっ、どんなところ? それは元カノのB美さんの『A夫が優し過ぎるから』っていうセリフだよ!」


「このセリフを言うB美さんは、A夫と付き合い始める理由も『優しいから』だったんだ!」


「B美さんは別れる理由か、付き合い始めの理由のどっちかをウソをついているに違いないと思うんだ!」


「でも、この小説はそこの説明がなく、A夫も不幸のまま終わっちゃうんだよ……」


「なるほど。……正太君はこの彼氏のA夫さんと同じ『優しい系』だものね? 自分に当てはめて見ちゃったのかな。それで将来が不安になっちゃったとか」


「――あっ!? そんな風に言われると、……そうかも知れないんですけど……」


「あはは。当たっちゃった? 図星かな。そういえば目の下にクマできてるね。昨日はその所為(せい)でよく寝れなかったんじゃ?」


「うっ、図星です。昨日は全然眠れなかったです。……で、でもお姉さん、さっき『分かる』って言ってたけどどういうこと? ぼく、全然わからないんだ。大人の話っていうのは分かるんだけど。行間を読めってこと? それとも縦読みか何か?」


「うーうん、このお話はそのままを受け取ったらいいんだよ。B美さんがA夫さんと付き合った理由は『優しいから』だし、別れた理由は『優しすぎたから』で合っているのよ」


「ぼくには全然理解出来ないよ。お姉さんには何が分かったの? お姉さんは女の人だからわかって、ぼくは男だからわからないのかな」


「ふふっ、そうね。この話はね、『女は男が優しいだけじゃダメな生き物』って事だよ」


「え、女はって、B美さんだけじゃなくて、お姉さんも、その(ほか)の女の人達全員にこの話は当てはまるの!?」


「そうね、多分あてはまると思うわ」


 ◇ ◆ ◇ ◇


「A夫さんのダメだと思うところ、正太君はいくつ見つけた?」


「ぼくが読んだかぎりではひとつも無いよ。100点満点」


「そうなんだ。お姉さんは3つは見つけたわよ」


「み、3つも!? え、どれ!?」


「まず、1.仕事を休んで旅行に行った事。2.疲れているのに旅行中にB美さんを抱いた事」


「だ! ……いたなんて///(声、小さくなる)」


「3.今の時代に『優しすぎてダメな理由』をインターネットでいくらでも調べられるのに調べようともしないでずっと引きずっているところよ」


「うっ……最後の3はこの話の存在意義が失くなっちゃうし止めようよ(それに、ぼくも調べてないから!)」



「1と2のどこが悪いのさ! それ以外の事も全部、B美さんが望んだ事でしょう? A夫は頑張ったんじゃないか、あんまりだよ!」


「あはは。じゃあ、正太君がA夫さんだったら、同じ様に何でもB美さんにしてあげたい?」


「やってあげたいけど、ぼくにはきっと出来ないよ! だから、A夫はすごく頑張ってたと思うんじゃないか――」


「お姉さんが思うに、A夫さんは優しくする事しか出来なかった、その結果だと思うわ」


「というと?」


「A夫さんはB美さんに優しく()()んじゃない。優しく()()できなかったのよ」


「!!」


「それから1についてね。いくらB美さんの希望だからって仕事を簡単に休みにすると決めちゃうのはお姉さん良くないと思うな」


「これは『お姉さん個人』の意見だけど、お姉さんは仕事を頑張る人が好き」


「その心は?」


「正太君、これも聞いちゃうの? 将来、無職でお姉さんを養えるのかしら?」


「はわわ、ごめんなさい! あ、2は? 2はどうなんでしょう?(ヤバい、話題を変えよう!)」


「んっもう。……2は、最後の確認ね。『こんなに疲れているのに私を抱いた……きっとこの先も優しいだけのままなのね』って言うことなんじゃないかな」


「じ、じゃあ罠だったんですか!? コワーっ」


「そうかも知れないし、A夫さんに最後のチャンスをあげたのかもしれないわね」


「お、女の人ってホントに怖い!?」


 ◇ ◇ ◆ ◇


「正太君どうしたの? そんなに落ち込んじゃって」


「ぼくは優しいだけが取り柄の男だと思ってるんです。高校生だからお金もないし、勉強もスポーツもそこそこだし。それに、今回の話も結局『女心は難しい』っていう話ですよね!? この先ぼくは女の人は諦めて、ひとりで生きていきます……」


「んー、しょうがないなあ。正太君にご近所のよしみで特別に女の秘密を教えてあげる。正太君に受け止める器はあるかな?」


「!? う、受け止めてみせますよ」


「この話の最後にA夫さんが『優し過ぎる事がなぜいけないのだろう』っていうシーンがあるでしょう」


「あそこは『優しいだけの男はダメ』って読み替えることが出来るわ」


「『優しい』って長所の裏には『弱い』という短所が隠れてるってお姉さん思うの」


「!?」


「だから、男は優しさが弱さから来ているものじゃない事を示すために、時には『強い』ところも見せてくれなきゃ」


「男が弱いと、女は『いざという時に守ってもらえない』と感じるの。女はそうなると、その男に魅力を感じなくなる()()()なの」


「……」


「女が求めているのは弱さから来る優しさじゃなく、包容力=強さから来る優しさなのよ」


「(ぼくには腕っぷしも無いし、ケンカとか絶対弱いし、強さ0男(ゼロお)だよ……)」


 正太が自分の腕の筋肉を触って落ち込んでいるのをみて、お姉さんは正太が腕っぷしに自信が無い事を察してフォローする。


「あっ、強さって、単に身体的に強いとかじゃなくって、一番大事なのは心の強さね」


「たとえばどんなにケンカが強くてもイザという時に女を置いて逃げちゃうような男はダメね。女は『普段の男の言動や行動から、イザという時にこの男がどういう行動をとるか』を見ている()()()なの」


「どんなにケンカが弱くってもいいの。『イザという時は俺がこの女を守る』という姿勢を見せてくれるだけでいいの。もちろん、イザという時は勇気と知恵を持って女の子を助けてね」


「!(それならぼくにもできるかも)」


「あとお姉さん的にはユーモアも大事ね。()()()()()退屈そうにしてたら、何か面白い事をして笑わせて欲しいな」


「……!! はいっ!」


「元気になったら学校に行きなさい、若者よ!」


「はいっ、お姉さんありがとう! 行ってきます!」


 ◇ ◇ ◇ ◆


 お姉さんは正太が学校に行くのを見ながら呟いた。


「あと、一番大事なのは稼いでくる力ね」



 ~fin~


 

ちなみに作中作には元ネタがありまして、その元ネタは、猫屋敷たまるさんの作品になります。

・元カノの放った最後の一言〜独身男を縛る鎖〜

https://ncode.syosetu.com/n4897fz/


(猫屋敷たまるさん、快く元ネタにする許可くださりありがとうございます!)


この元ネタのお話を読んで、私は正に正太くん状態でしたw


ちなみにちなみに、お姉さんによる作中作の解釈はあくまで作品のイチ解釈に過ぎず、必ずしも正解というわけではありません。


お姉さんは自信をもって断言していますが、これはあくまでお姉さんの「キャラ」です。


もし、元ネタのお話も気になりましたら元ネタの方もご覧ください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白かったです。 [気になる点] 猫じゃないのに書いてすみません (;'∀') [一言] >一番大事なのは稼いでくる力 ( ˘ω˘) 皆様、相当重視なさっていますよね。ケコーン相談所の書…
[一言] 深夜に失礼します。 ふと思った事があって、どーーーーしても書きたくなって再度お邪魔しました。 もし、正太クンが『見せる画面』を間違えてしまっていたとしたら……。 「お姉さん、僕、この小…
2020/02/18 01:12 退会済み
管理
[良い点] 初めまして、猫屋敷さんの活動報告を見て、速攻で飛んできました!! に、人間だけど許して下さいねっ……。 お姉さんの回答も分かるし、正太君の意見も分かりますね。やっぱり「優しすぎる」は、女…
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