今後の話
3
夕飯はパンみたいな塊と草を食べている
その様子を見ていたが、とても美味しそうには見えなかった
ふいにアルが声をかけてきた
「このあと、ここを出て行こうと思うんです
あ!今すぐって訳ではなく、次に定期便が来たらですけど」
(急にどうしたんだ?)
「・・・
実は、もともと本を売る予定だったんです」
(!)
「気づいたと思いますが、売ろうと思っていた本が急に話始めたんです
そう、グリモアのことです」
そうか本を売ろうとしていたのか。
「だけど、もう今は売るつもりはないです
いきなり話を始める本なんて、一生出会おうとしても、出会えるわけないですから」
(珍獣扱い…)
「すみません」
(ところで、何の本を売ろうとしていたんだ?)
「聞いてください
魔法についての本を書いてました」
アルはそういうとキラキラした眼差しで魔法について話し始めた。
この時余計なことを、聞いてしまったと思った。
アルの話は夕飯が終わっても止まることをしらず、
終わった時に外に出てみたら朝日が昇っていた。
洞窟の隙間から朝日が差し込んでくる。
(本になっても睡眠は必要なんだな
すごく眠い)
(へ〜それは新発見ですね)
(一晩でもうまく[念話]が使えるようになったな)
(それにしても[念話]って便利ですね
相手の脳に直接言葉を伝えるため種族が異なっても話ができるとは
さらに指向性を持たせることで伝える相手を限定できるなんて)
(そうでもないぞ
相手が意識があるのが前提だし
言葉だけでは気持ちまで伝わらないこともある
それより、その師匠って呼ぶのやめないか?)
(なんで?
師匠は師匠じゃないですか)
(グリモアはどこにいったんだよ)
魔法の話をしている時に、おかしい所を訂正していたら、さらに[念話]を教えていたら夜中のテンションでいつのまにか師匠と呼ぶようになっていた。
そういいながら訂正することを諦めた。
(それに口調も変わってるし)
(あぁ、これはですね
ほとんど会話をしてないので口調が分からなかったんです
ですが、もう見つけたので大丈夫です)
[念話]だから会話じゃないけどな
何が大丈夫なんだか。
(そういえばアルはここを出るのはいつなんだ?)
(そうですね、次の定期便が来たらなので、分からないです)
(定期便なのに、いつ来るのか分からないのか?)
(そろそろ来て欲しいなぁーって時に来ますね)
(そんなもんなのか)
(そんなもんです)
そういいながらアルは朝食の準備をし始めた
(師匠は朝食は食べますか?)
(眠気はあるんだけど、食欲はないんだよな〜)
(師匠は変わってますね)
(本だからな)
それからしばらくの間
定期便を待つことになった