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勇者だけど聖剣が持てない。 作者:鹿
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2 目からビームはやっぱ強い。

前回のあらすじ
五賢者がクビになった。
「可哀想だな」
「貴方のせいですよ⁈」
「あの……」
「うん、何?」
 アルド城へ繋がる大通り。
「さっきはありがとうございます」
「ああ、あの先輩魔道士さんの件ね。上手くまとめられたかは分からんけど一件落着って感じだな。あの時怒ってくれて本当に助かったわ」
「でも、『貴方には分かるわけない』なんて言っちゃって……。本当にすいません」
「いや、良いって。実際本当の事だし。言われた瞬間‘確かに分かるわけないな’と思っちゃったくらいだから」
 それは逆に良くないのでは、と言う言葉をリリアは呑み込む。
 とりあえず、勇者様と仲良くならなきゃ。一応私達は……仲間だから。
 リリアは勇者の仲間になったという状況を未だ実感出来ないでいた。
 まさか学校を出たばかりの私が勇者様の仲間なんて……。
「おい」
 優介に声を掛けられてリリアははっと顔を上げる。
「ごめんなさい。……えっと、勇者様、何でしょう?」
「何かその‘勇者様’って呼び方やだな。もう仲間なんだし‘優介’って呼べよ」
 優介の『仲間』という言葉にリリアは実感が湧いて来る。
 そっか、私、勇者様の仲間になったんだ……。
「じゃあ……優介」
「おい!」
「え⁈」
 優介が突然怒る。
「年上には‘さん’付けろ!敬語使え敬語!」
「優介さんが一番使ってませんよね⁈ というか優介って呼べって言ったの貴方ですよ⁈」
「冗談だよ冗談。落ち着けって」
 この人面倒臭いなぁ……。
「ていうかそろそろ目的地に着くな」
 リリアは目の前を見る。
 一年前、各地に突如現れた八人の魔族。『八魔将』の魔法によって元々あった建物は跡形も無く消え、彼らは跡地に巨大なダンジョンを作った。
「『八魔将』が作った巨大なダンジョンは『魔宮』と言われ、数々の冒険者が挑戦したけど、誰一人帰らなかったっていうから、俺達が最初のクリア者だな」
「クリアする前提何ですか……」
「まあ、俺は強いからな」
 優介の圧倒的な自信にリリアは呆れつつも頼もしく感じる。
「ところでリリア、『魔宮』の攻略が難しい理由ってのがいくつかあるんだけど、知ってるか?」
「そうですね……。普通に敵のレベルが高いという事以外なら、ダンジョンの破壊が出来ない事とか、『八魔将』自体の心臓が五個ある事とかですか?」
「おお、合ってる合ってる。あとは、敵が作ったダンジョンだから回復の泉がない事とかかな」
「でも、対策はありますよね」
「うん。『八魔将』自体は全体魔法で心臓まとめてやっちゃったりするのが定石だし」
 優介はうんうんと頷く。
「いいねリリア。結構ちゃんと分かってる。じゃあ面白いモン見せてやるよ」
 と言って、優介は腕を振り始め、怪しい動きをする。
「え?いきなり何を―」
「ちょっと静かに。今精神統一中だから」
「むしろ逆効果な気がしますけど……」
「そういう事は気にすんな。よし行くぞ、必殺!『眼力(めじから)ビーム!』」
 名前がダサすぎ―
 優介の両目に付いた人差し指の輪から光が溢れ出し、轟音と共に光が放射状に『魔宮』を覆う。そして、
「嘘でしょ……跡形も無く消えてる……」
「凄いだろコレ。やっぱ目からビームはシンプルかつ派手でいいなぁ」
「でも、今さっき破壊できないって言いましたよね?」
「確かに『普通の人間だったら』を付け忘れてたわ。『八魔将』程度の防護魔法くらい火力で押せば楽勝楽勝」
俺は規格外だから、とドヤ顔で話す優介にリリアが尋ねる。
「でも、ダンジョンごと魔法で消し去ると、モンスターの持つアイテムとかは回収出来ないですよね?」
「ついでに言うと中に『八魔将』自身がいるかも分からない上魔王城の結界を解く為の魔石が壊れたかも分からない。全ては神のみぞ知るってとこだ」
「いやそれアウトですよね⁈」
「楽しいからギリギリセーフって事に―」
「なりませんよ?」
次からはやめて下さい、とリリアに注意された優介は残念そうに、
「これ作るのに三時間かけたのに……」
「三時間も使ったんですか?」
「実は『目ビ』は三つの魔法を使ってるんだよ。魔法式組み立てるのが意外とめんどいんだよ」
「さっきのを作るのに魔法を三つも使っていたんだ……」
魔法を同時に使うには相当の訓練が必要になる。二つですら熟練魔道士がやっと使えるレベルの難しさなのだ。
それを平然と『三つ使った』なんて……。
リリアは優介の強さに改めて驚く。
「リリア。一匹目倒したし、とりあえず王宮に戻るか」
「あ、はい」
優介は歩き出すが一度足を止めてリリアの方に振り向く。
「そう言えば、言い忘れてたんだけどさ」
「何ですか?」
「あれ、何を言おうとしてたんだっけ?」
「忘れるの早ッ⁈」



『聖剣授与式』を終え、王宮にはいつもの静寂が戻っている。聖剣の化身は優介について考えていた。
間宮優介……。圧倒的な力を持ちながらも―
「うっす」
「来るの早すぎ!まだ回想シーン始まってすらないよ!」
「回想?何のことだよ。ロリ」
「今わざと付け足したよね⁈」
「それはともかく、一匹目の『八魔将』ボコしてきたぞ。で、次の奴ボコしに行くから」
「まだ一時間も経ってないのに。流石の速さだね……」
「ああ、次の奴は多分普通に歩いて行くからちょっと遅いかもな」
「あれ、さっき‘三時間くらいで全員倒す’って言ってましたよね?普通に歩いて行くんですか?」
今まで二人の会話を聞いていたリリアが口を挟む。
「いや、別に急ぐ必要もないし、せっかくリリアもいるんだからもうちょっと色々観光しながらでも良いかなって思ったんだよね」
「それは嬉しいんですけど、急ぐ必要はあると思いますよ……」
「そっか、魔王倒すんだった。……まあ、聖剣取ったら一瞬で消せるし良いんじゃねぇの?」
「本当にキミはマイペースだね……」
「耳が痛いな。じゃあ、もう行くか。あとはよろしくロリ」
「ロリって言うな!」
「もっと言ってやろう―」
「優介さん!行きますよ!」
「え、ちょま―」
優介はリリアに引っ張っられて王宮から出る。
「あれ、行っちゃった……」
静寂が戻った王宮に聖剣は一人取り残された。聖剣は優介達が行ったことに安心しつつも、少し寂しさを覚える。



「あいつ、何でロリって言われたくないんだろな。化身っつったら神様みたいなもんだから嫌いなもんなんてなさそうだけど」
「確かに不思議ですね」
まぁ良いか、と優介は気持ちを切り替える。
「よし。次の目的地は……『次元の魔宮』だな。ちなみに最初のやつは『未完の魔宮』だったらしい」
「今さら⁈ 『次元の魔宮』は……ありました。結構遠いですね」
「もうちょっと近いやつでも良いんだけど、名前的にこっちの方が格好いいなって思ったから」
「……ダンジョンごと破壊はやめて下さいよ?」
「……うい」
どちらとも言えない返事をしつつ優介は地図を閉じて隣のリリアを見る。
「よし。とりあえずお前の装備を整えたり、旅の準備したりするか。リリアのレベルも上げなきゃいけないし」
リリアは優介の配慮に少し驚く。
「優介さん、ちゃんと私のこと考えていたんですか。この旅の間私のレベル上がらないと思ってました」
「今凄い失礼な発言したな。でも可愛いから許す。じゃあまずは鍛冶屋行くか」
「はい」
歩き出す優介を追いかけようとして、リリアは一瞬立ち止まる。
ここから、始まるんだ。私と優介さんの旅が。
リリアは空を見上げ、少し微笑む。そして、不安と期待を胸に走り出した。
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