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桃太郎 ―鬼ヶ島奪還作戦―

作者: 福島 まゆ

当作品を読むにあたり、注意点

・従来の『桃太郎』の世界観を、崩壊させる危険があります。

・題などにも在るとおり、そもそも結末も異なります。

・以上、引き返すなら今のうちです。

誤字の指摘や感想などがあれば、遠慮なくお寄せ下さい。


 むかしむかし・・・

あるところに爺さんと婆さんが慎ましく暮らしていました。

川へ洗濯に行った婆さんは、流れてきたクソでかい桃を拾うと、それを家へ持ち帰りました。

よくもまァ、そんな得体の知れない代物を喰おうと思ったなとかは、考えてはいけない。 

 話を続ける。


 その桃は切る前に、まるでトレントの亜種のように動いた。

ガタガタと。

程なくして、桃は二つにパカーンと自動で割れたそうだ。

切られる寸前で、俺は九死に一生を得たわけ。

 そこから生まれたので、男は『桃太郎』と名付けられたのだと言う。

この話を聞かされたときは、ゲンナリしたね。

付けられる方の身にも、なって欲しいと言うもの。

 たぶん桃から生まれたと言うのも、作り話に違いない。

実際は川で上流から流れてきた捨て子(俺)を拾ったのだろう。 

そう考えると、名前は『川太郎』であるべきはずだが、そこも突っ込んではいけない。


「桃太郎や、べろべろばァ~~!」


「・・・。」


「桃太郎は、ちっとも口を利かんのぅ。」

「ほんに・・・困ったモンじゃ。」


 そんな風に物思いにふけっている時間すら、彼らは与えてはくれない。

 赤子ならイザ知らず。

まもなく15になるのに、この老夫婦は俺をいくつだと思っているのだろうか。

毎日のように憂鬱ゆううつになるが、それでも俺は2人が好きだ。

まるで我が子のように可愛がり、そして育て上げてくれたのだ。

 おかげで俺は、もう少しで武士であれば、元服を迎える年齢までに。

つまり、一人前の大人として認めてもらえるのだ!


 今は乱世、もし手柄など立てれば『武士』に取り立ててもらえる。

そのためにこれまで、密かに山で訓練をしてきたのである!

うぬぼれるつもりは無いが、1対1なら、熊にも勝てる自信がある。


 さてさて、前置きはこの位にしよう。

ウチは山の上にあり、そこからは大きな海が広がっている。

幾つか浮かぶ島のうち、ひときわ小さな岩塊の様な島が見えるのだが・・・

 最近、そこにはオーガが住み着いたらしい。

もう既に何人もの人が行って、ヤラてたと言うウワサも立っている。

これを人は、『鬼ヶ島』と呼び、恐れた。

城主が何度か討伐隊を出したが、それもダメだったらしい。


「桃太郎は、いつも何を考えておるんかいのぅ。」

「存じません。」


 武士が束になって掛かっても、適わぬ相手にポッと出の農民が叩きのめしたらどうなるか。

以下、妄想である。


殿『ホウ、お前が鬼を見事に退治したとか言う者か。』

俺『はいっ、大した相手ではありませんでした。』

殿『あっぱれな腕前じゃ、我が家来にして使わそう。』

俺『ありがたき、幸せ。』


 こんな所だろう。

これ、好機なり。

出世の好機、逃す手は無い!

倒そう、漁村に暗い影を落とす、悪いオーガを。


「やるぞ~!!」


「ひゃあ、桃太郎が口を利いたァ!?」


 誤解なきように言っておくが、俺はちゃんと爺さん達と口は利いている。

朝と夜の挨拶に、食事前後の「いただきます」「ごちそうさま」は欠かしたことが無い。

話題が無いので、普段は雑談をしないだけだ。


「爺さん婆さん、俺はオーガ退治に行く! 支度をしてくれ!!」


「なにー!?」


 そこからが大変だった。

やれ危ないからやめろだの、船から落ちたらどうするだの・・・

しかしそれしきで、俺の固い決意が揺らぐことは無い。

とぅとぅ諦めたのか、2人は支度の準備を始めてくれた。


「桃太郎や、晴れ着をこさえてやるでな。 待っててけろや。」


「爺さん待って、晴れ着はイカン!」


「えっ!?」


 俺はこれから、得体の知れぬ鬼を退治に行く。

相手の規模、戦力、諸々に関する情報はあまりにもとぼしい。

 よくよく考えて欲しい、そんな状況下のおいて、目立つ格好で上陸したらどうなるか。

あっという間に見つかって、正面から戦うことになるだろう。

そうなれば大の武士が束でかかって全滅したのだ、勝つどころか、生きて帰ってくることすら怪しい。

 俺は無謀な戦いを挑みに行くのではなく、念入りに作戦を練った上で、オーガ退治を目指しているのだ。


 と、言う訳で服装は夜闇にまぎれるよう、なるべく黒くて地味な服装にした。

パッと見は忍者。

 本当は認識阻害などの呪術が織られている、特別な効果を持つ服が良かったが、それは城主クラスが手に入れられる、高価な代物。

まあ、息を殺していけば、なんとかなるだろう。

作戦の成否は、俺の努力如何どりょくいかんに掛かっている!


「桃太郎や、キビ団子を作ってやるでな。 待っててけろや。」


「ありがとう、婆ちゃん!」


キビ団子は、蒸した白玉粉に白砂糖とさらした水飴みずあめを加え、練り固めた団子である。

通常は菓子として食されるが、戦闘非常食としては携帯も容易で、重宝できる。

しかも糖分なども高いので、パッと食うには良い。

 目的地はそう遠くも無いので、日持ち等による心配も少なかった。

 

 家には護身のための刀が数本あり、そのうちの二本を腰にさす。

島の奪還時に『桃太郎』の名を示すため、小さいながら布も持っていく。

これを現地調達(予定)の木材などにくくりつけ、旗とするのである。

怪我に備えた包帯と薬草、長期戦に備えたサバイバルキット。

準備不足は、死に直結するので、何度も確認を惜しまない。


 出発は明日の朝。

今日はゆっくり寝て体力を温存し、明日には船を調達。

夜になるのを見計らって、鬼ヶ島上陸作戦を敢行かんこうするのだ。

その後に敵情偵察を行いたいのだが・・・

まあ、それは上陸してから、方法を模索しよう。


 その夜、爺さんと婆さんは俺を送り出すため、ささやかながら宴を開いてくれた。



◇◇◇



 時間は瞬く間に過ぎていき、あっという間に夜が明けた。

俺こと桃太郎は鬼ヶ島奪還作戦、便宜上『ももたろう作戦』を実行する。


「たっしゃでな、桃太郎・・・。」

「無事に帰ってきてくりゃれ・・・。」


 どんどん家は遠くなり、見送る2人の姿も小さくなっていく。

旅情などを感じつつ、俺は坂を下って一路、港へと向かった。



 その道中の事。

茂みが不自然に、ガサガサと揺れる。

野伏のぶしかもしれない、刀に手を掛け、襲撃に備える。


「グルルッルルル・・・・!」


大狼フェンリルか・・!」


 なんて運の悪い、こんなところで会うとは。

こいつは、我が東弥国に数少ないながら生息する魔物の亜種だ。

単体では断トツで強く、規模の分からないオーガを除けば、最強巣準の魔物。

会ったら逃げるか、先手必勝で切りかかるしかないが・・・。

今まで、成功例を聞いた事は一度も無い。


 だが、ここで大狼のエサになる訳には行かない!

音を立てぬよう、なるべく刺激しないようにゆっくりとした動作で刀を抜く。

ヤツが動いた瞬間、横へ避けて腹を見せたところで切りつけるのだ。

こういった駆け引きでは、最初に動いた方が負けなのだ。

 しかし相手も警戒しているのか、なかなか襲っては来ない。

ジリジリと、まるで俺の動きを封じるようにけん制しながら、近づいて来る。


「ハラ、減った・・・。」


「・・・・え?」


よくよく見ると、大狼の視線は俺ではなく、俺の腰に下げられた非常食をロックオンしていた。

もしやコイツの狙いは、これなのだろうか?

牽制をかね、中のキビ団子を地面に幾つか置き、俺は後ずさりして距離をとる。

すると・・・


「ハグハグハグ!」


「おぉ・・・。」


 まるで俺の事は眼中に無い様に、大狼はキビ団子をむさぼり食う。

好機、今なられる!

距離をジリジリ詰め、刀を振りかざす。


「グルル・・・」


「!」


 しかし遅かった、キビ団子を平らげた大狼フェンリルは首を上げ、こちらを見る。

やはり、分が悪かったか・・・

半ば諦め調になったとき、大狼フェンリルが口を開く。


「助かったぞ人間よ、じつに美味であった。」


「・・・そうですか?」


 そんな格好で何処へ行くと聞かれたので、俺は鬼退治に向かう道中である事を、伝えた。

するとキビ団子の礼だと、それを手伝うことを申し出てくる大狼フェンリル

1人では厳しいかもと感じていたところ、これは願っても無い好機だ。


「よろしくお願いします!」


 こうして大狼フェンリルが、仲間に加わった。

キビ団子、偉大なり。

 家から海は見えていたが、目指す港は歩いて数刻はかかる距離にある。

俺と大狼フェンリルは遅れた時間を取り戻すべく、足早に道中を進んだ。

すると道沿いに、見慣れぬ岩塊が立ちはだかった。


「なんだ、コレ?」


 数日前には、こんなものは無かったはず。

いや、そんな事を気にしている場合ではない。

迂回しようと横をすり抜ける途中で、しかし岩は生き物のように動き始める。


岩魔ゴーレムだと!?」


 今日はトコトンついていない。

大狼フェンリルの後に、野良岩魔ノラゴーレムとか、どこの大道芸だっつーの!

 だが、今度も敵対されるようなことは無く、むしろ俺に・・・いや正確に言うと腰に、注意が惹き付けられているようだった。

この感じ・・・さっきと同じだ!

と、言うことは。

 試しに先ほどの例に倣い、キビ団子を岩魔ゴーレムに向けて差し出してみると、まるで腹をすかせた犬のように、ソレをバクバクと食い始めた。


「ヴオオオオオオ!!!」


「!!!」


 一瞬だけ怒った、と思ったがそうでは無かったらしい。

むしろ・・感動している?

食ったキビ団子に対し、狂喜乱舞する岩魔ゴーレム

 なんかシュール。

でも、おかげで逃げる隙が出来た。

キビ団子サマ様である。


「おい桃太郎、あいつ付いて来るぞ。」


「・・・うそ?」


 食って満足かと思えば、あの魔物は俺たちの後を付いてくる。

今度は何かと思って話しかけても、何も喋らず。

ただただ、後を付いてくる。

危害を加えてくる様子はないようだし・・・まァ、良いか。


 と、思っていたら今度は急に周りが影に・・・・

もう、俺は驚かない。

よくよく今日の運の悪さが、恨めしい。

今日の所は、家に帰った方が良いのかもしれない。


「もぅ、いい加減にしろ! いつまで経っても港に下りられないじゃないか!!」


「人間ごときが我に盾突くとは、実に面白いぞ。」


 へ?と上空へ視線を向けると、そこには赤くて巨大なトカゲらしき生物が・・・

いや、アレは竜だ!!

運うんぬんの前に・・・オーガ退治どころじゃなくなった。


「先ほどから見させてもらった、中々に面白い方法で魔物を従えているようだな?」


「いえ、俺はただ鬼ヶ島にオーガ退治に・・・。」


 それは益々(ますます)おもしろいと、竜はこちらを覗き込んでくる。

そしてコイツも同様に、俺の荷物(特に腰の袋)に注視した。

竜よ、お前もか!


「えっと・・、食べてみます、キビ団子?」


 こうして竜までもが、『ももたろう作戦』に従軍することと決まった。

俺は恐れを知らない桃太郎、3匹の供を従え、いざ鬼ヶ島へ。

きっとオーガを倒して、なにがなんでもやり遂げろ。

それが男の生きる道!


「なぜ飛ばぬのだ桃太郎、その方が早かったであろう。」


「そうはいかない。」


 気を取り直そう。

供には魔物が3匹、オーガ退治には満足こそあれ、不足は無い。

夜闇に紛れて舟を何時間も、広い海を漕ぎ進んだ甲斐はあった。

あれほど遠くに見えていた岩山の島が、今は間近に迫っている。


 このまま上陸を敢行しても良いが、俺たちは敵地のふところに飛び込むのだ。

情報はあって、困ることは無い。

舟を漕ぐのを止め、まずは敵情偵察に送った竜を待つ。

 大狼フェンリルは血がたぎるのか、先ほどか船の上で吠えている。

鬼に見つかる危険があるので、その都度、ソレを諌める。

気分は調教師。


 そんな事をしている内に、斥候に出した竜が闇の中から戻ってきた。

もたらされた情報によると、オーガは岩山の一つの洞穴に身を潜めているよう。


 しかも、その数しめて5人で、洞穴に固まって潜伏しているらしい。

一塊になっているなら好都合。

おおかた酒盛りか食事でもしているのだろうが、そのスキが仇となるのだ。


「よし漕ぎ出すぞ、これより鬼ヶ島の奪還を開始する!」


 3匹の魔物と桃太郎は一路、闇の中に浮かぶ鬼ヶ島への上陸作戦を開始した。

その前に、まずは作戦の概要を説明しよう。


 想定していた抵抗はなさそうなので、上陸は円滑に、そして迅速に行う。

船は沈められては帰れないので、岩魔ゴーレムは残していく。

コマは俺を含めて3になるが、問題は無い。

 洞穴近くまで進んだところで、大狼フェンリルが遠吠えする。

彼らは敵の存在に気付き、洞穴から飛び出すだろう。

そこを横から、竜と共に突く。

 たとえ用心のため洞穴に仲間が残ったとしても、せいぜい1人しか居まい。

降伏勧告をして、作戦は終了である。

(逆上して襲ってきたら、倒すが)

あと可能であれば、奪われたらしい宝物などの奪還もしよう。

最後に『桃太郎』印の旗を立てて、奪還をゆるぎ無いものとするのだ。

なお作戦遂行は迅速かつ、慌てず急いで正確に行うものとする。


「ウオオオオオオーーーーーーーーーンンン!!!」


 かくして大狼により、作戦開始の咆哮ゴングを打ち鳴らした。

竜は体が大きいので心配だったが、呪術によって今は人間のような姿になっている。

なんと羨ましい特徴スペックか。

 などと考えている間に、洞穴に反応があった。

真っ暗だった洞穴の奥が光り、その光はとてつもない速さで大狼へ・・・


「逃げろ大狼フェンリル・・・!」


「ふぅ、危ない。」


 俺がキケンを伝える刹那、既に大狼フェンリルは洞穴から離れた場所に立っていた。

と、同時に先ほどまで立っていた場所を、炎の道が海向こうまで走る。

まさかオーガがこんな攻撃法をしてくるとは・・・及びも付かなかった。

アレをまともに食らえば、無事では済まないだろう。

 作戦を今一度、練り直さなければなるまい。

だがそんな俺の意思を汲み取ったのか、竜が言葉を掛けてきた。


「アレは幻覚だ、『桃太郎』の御仁よ。 狼狽ろうばいすることは無いぞ。」


「なに・・・!」


 竜の言うとおり、炎の通り道となった岩は焼け爛れてはおらず、他と同様の波に打たれて冷たいままの岩だった。

まだ危険が去ったとは言いがたいが、少しは警戒は緩めても良いだろう。


「問題ないぞ桃太郎、あれしきの魔法は我が力で封じてやった。 もう二度と行使不能だ。」


「ありがとうございます。」


 言うが早いか、桃太郎は刀を両手に洞穴へ単身で突入した。

陽動が見込めなくなった今、正面からの制圧しか手立てが残されていなかった為だ。

かくして洞穴の奥には、5人の人の姿を見つけることが出来た。


「ん・・・人?」


 洞穴の中にいたのは、オーガではなく、5人の『人』であった。

しかも、なかには女性まで居る。


「jcshcfmhxerradaklh!」

「hjhdlkmchlmlkh。」


 ダメだ、言葉が通じない。

敵対心むき出しの男女5人組は、何処とも知れぬ言語を話し、こちらへ手や杖、刀のような武器などを向ける。

そこへ竜も、洞穴へと俺に続くように入ってきた。


「ホーウ、オア大陸の人間か。」


「え、お足大陸?」


 聞いたことがある。

東弥国の海向こうには、ここの何倍もの大きさの大きな陸地が存在し、多くの国や種族が存在していると・・・。

 そこには多くの文化や、様々な人間が想像も付かない暮らしを送っているとも聞いた。

遠い異国の話と、まともに考えたことも無かったが、見れば見るほど鬼と言うより、人間にしか見えない。


「fjehfdkljhefhi!!!」

「kjfdkhfkijaeijio!」


「???」


 ともあれ、弱った。

言葉が通じないのでは、意志の疎通も出来ない。

困惑していると、竜が話しかけてくる。


「そうか桃太郎、貴様には呪力が無いのだな。 ならば授けよう、仮初かりそめの力を!」


「え!?」


 竜の言った言葉の半分も理解できないまま、俺の体は光に包まれる。

すると先ほどまで分からなかった彼らの言葉が、急に理解できるようになった。


「こしゃくな小僧め、俺が相手になってやる!」

「魔力を封じられたって、気力までは封じられていないんだからね!!!」


 アレ・・・おかしいな。

俺は正義の味方、桃太郎。

そのはずなのに、彼らを見ていると、俺のほうが悪の手先に思えてくる。

状況が分からないし、釈然としない!


「おれは正義の味方、桃太郎! えーっと、言葉は通じますか?」


「え・・・?」


良かった、言葉が通じる!

 ともかく話を聞いてみると、どうやら彼らは遠く、『らりふせんし国』なる国から来たのだと言う。

しかし船が嵐で難破し、ここへ漂着したのだとか。

それが本当なら、彼らは哀れな漂流民である。


「ならばどうして、武士を襲って宝物を奪ったりしたんです!?」


「そんな事はしていない、俺たちは自衛のためにさっきみたいに、脅しを掛けていただけだ!」

「そうよあの蛮族ども、私達を見るなり話も聞こうとせずに切りかかってきたのよ! 死にたくないもの、仕方ないじゃないの!!」


 (オーガに奪われたと言う宝物は、どうやら驚いた武士や漁民なんかが、放り出した物品らしかった。

彼らは逃げるための船を造ろうとしていたが、武士達がやって来るたびに壊され、途方に暮れていたとの事。

つまり・・、居たのはオーガではなく、不憫な漂流民でした。


 見えぬ偶像を、どこぞの誰かが悪鬼オーガなどとデタラメを吹聴したのだろう。

 俺は一体・・・ここへ何をしに来たのだったろうか?

戦意なんか、どこかへ吹き飛んで行ってしまった。


「私が送り届けてやろうか、ラリフ戦士国なら知っているぞ。 これもまた、面白き事よ。」


「「「ほ、本当ですか!?」」」


 瞬間に俺ほか、5人の声が重なる。

程なくして漂流民達は、竜のてのひらの上に乗せられ、海の向こうへ飛んで行ってしまった。

 後に残されたももたろう大狼フェンリル岩魔ゴーレムは船に宝を積み込み、出航の支度を始めた。

 既に空は白み始め、遠くには東弥国の陸地の影が、浮かび始めている。



 帰ろう、我が故郷ふるさとへ。


 しかし予定通り、島は奪還したものの、鬼退治は果たせず。(果たすわけにゆかず)

さてさて、どうして話して聞かせたものやら。


 桃太郎の本当の苦悩は、ここから始まる。

今回の投稿は、全5作品です。

「マッチを売りたくない少女」   (マッチ売りの少女)

「桃太郎 ―鬼ヶ島奪還作戦―」(桃太郎) 

「人魚姫が恋焦がれた王子が、思ってたのと違う件」 (人魚姫)

「鶴は恩返ししたい」     (鶴の恩返し)

「はだかの軍隊」       (はだかの王様) 


よろしければ、どうぞ。


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