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前言撤回


私の言葉が大変不服だったらしいぬりかべは私の数歩先を歩く。
その背中を見ながら謝るタイミングを伺っていた。
もちろん、自分から謝ろうと思ったわけではなく、先ほどの男子に後から謝った方がいいよとアドバイスされたからだ。

周りの風景から駅が近いと悟る。
方向が反対のため、駅に着いたらそこで別れることになる。
散々タイミングを見計らっていたが、時間がないため先ほどから変わらないぬりかべの背中に声をかけた。

「ねえ、さっきはごめん。」

その言葉に、ぬりかべは歩みを止め、こちらに疑心の目を向けた。

「・・・思ってる?」

「・・・ノーコメント。」

うおい!と一旦突っ込み、こちらに詰め寄る。

「思ってないんかい!
しかも、思ってなくても本人には言わないもんでしょ!」

もー、なんでこうなのかなーと両手で顔を覆う一紀に今更だなと冷静に評価していると自然と無表情になってしまう。
そんな私の顔を一紀がなんとも言えない表情で見つめ、私の両肩に手を置いた。

「ねえ、清美。
本当に私に興味ない?」

待てよと記憶を探る。
いつかの公園で興味ないと伝えたはず。
一紀もそれがいいと言っていたはずだ。
記憶に・・・ある。

「・・・興味がないって言ったときに一紀もそれがいいって言ったよ。」

検索結果をそのまま伝える。
一紀も記憶にあるようで、うんそうだったと素直に認め溜息をついた。

確かあの時、求められないことがいいと言った一紀を内心で批判した気がする。
求められないということは見てもらえないということでそれを分かっていないと。
もしかしたら、一紀は今頃それを痛感しているのかもしれない。
きっとそうだ、だから今ばつが悪そうな顔をして何かを言おうとしてるんだ。

「清美。」

「もう少し構って欲しい・・・かも。」

案の定、数ヶ月越しの前言撤回をされた。

「・・・出来る限りで。
どうでしょうか。」

何も言わない私に譲歩し言葉を催促してくる。

「・・・可能な限りは。」

代わりに私も譲歩した。
ありがとうございますと丁寧に言う一紀になんの契約成立だと心の中で突っ込みながら帰ろうと提案した。
が、数歩歩いてすぐに疑問がわき上がり歩みを止める。

「一紀は、なんでバンドしないの?」

さっそく私から問いかけがあったことに驚いたのか、一瞬たじろき目を泳がせる。

「え?あ、いや・・・。
バンドはもういいかなって・・・。」

「好きなのに?」

「へ?」

「ギター、好きでしょ?」

今度は私が心底驚いた。

「・・・言いたくない。」

いつもへらへらしている一紀の顔が今にも泣き出しそうなくらい歪んでいた。
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