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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

不思議な筆とローファンタジーが終わった日

作者: 紅葉ももな

『陛下、前方より飛来物あり、殲滅してよろしいでしょうか?』


 自分の下から低くくぐもった声が聞こえてくる、バサリバサリと大きな皮膜の張られた翼をはためかせる巨大なドラゴンは、自らの背にまだ成長途中としか言いようがない小柄な少年を乗せていた。


 彼の後ろには、沢山の飛べない生き物達を乗せた大きな籠を吊り下げた、地球に存在するはずがない巨大な生き物が、青い空をまるで渡り鳥のように飛んでいる。

 

 少年の遥か前方からスクランブル発信されたであろう戦闘爆撃機が数機迫ってきていた。


 日本の本島から飛び立ちまだ数刻しか立っていない。


「いや、こちらから先に攻撃を加えてはだめだよ」


 硬い皮膚に覆われゴツゴツとしたドラゴンの背中をなだめる様に撫でる。


 少年たちの目的地である大地は、太平洋にある。


 突如海上に姿を現したアフリカ大陸と同等の広さを有する未踏の地に、アメリカやロシア、中国など様々な国が新たな国土を自国のものとする為にぞくぞくと集結し始めている。


 世界の勢力圏を一変しかねない新大陸の発見に、世界は理性を失った。


『なにやら撃ってきたようですぞ』


 戦闘機からミサイルがこちらへ向かって数発放たれた。


「仕方ない、やれ!」


 迫るミサイルを睨みつけて、迎撃の許可を出せば、ドラゴンの口から発せられた咆哮を合図に、飛竜やユニコーン、ロック鳥などの獣達がミサイルと戦闘機を次々と鉄屑へ変えていく。


「そのまま一気に新大陸へとなだれ込む、あれは……俺達の住処だ!」


 少年の決意に追従するように獣の咆哮が響き渡った。 


 ***


 時は遡り少し前、いつもと変わらない日常に苛立ちを募らせながら、五十嵐蒼真いがらしそうまは自分の通う高校へ続く通学路を歩いていた。 


「学校……行きたくないなぁ」

 

 斜めがけに掛けたリュックサックの革紐を握りしめ、トボトボと重い足を動かした。


「お〜い、五十嵐く〜ん」


 背後からかけられた声に身体が強張る。


 恐る恐る振り向くとニヤニヤと下卑た笑みを浮かべてこちらへやってくる男達がいた。


 蒼真と同じブレザーの制服を着崩して校則違反であるのに金色に脱色した髪と武骨なピアスが耳に飾られている。


 スラックスには太い鎖の飾りがギラギラと光っている。


 咄嗟に逃げようとしたが、またたく間に囲みこまれて逃げられない。


「なんだよー、俺達友達だろ? 逃げるなんて傷つくなぁ」


「そうだぜ? なぁ、俺達金に困っててさぁ、五十嵐クン金貸してくんね?」


「エッ……この前貸したお金返してもらってな」


「頼むよー?」


 明らかに人に何かを頼むような態度ではないし、蒼真が前回貸したお金でもう自分が自由に使える貯金など底をついている。


「むっ、無理だよ!」


「無理じゃねぇよ、親の財布からチョロチョロっと二、三枚抜いてくりゃいいだけだろうが」


 不良の少年たちは断った蒼真の胸ぐらを掴み上げ高圧的に告げる。

 

「グッ……」


「なーんだ、千円かよ湿気てんなぁ」


 勝手に蒼真の財布をリュックサックから取り出して中身を引き抜くと後ろ手に投げ捨てる。


 それは父が亡くなってから女で一つで夜遅くまで仕事を掛け持ちしながら蒼真を育ててくれている母が、蒼真の昼食と夕食にと用意してくれていたお金だ。


「かっ、返して!」


「うるせー!」


 必死に伸した手はみぞおちに走った重い殴打に阻まれ、蒼真は地面に崩れ落ちる。


「カハッ、グゥ……」


 美術部員で運動部のように鍛えていない蒼真は、腹を押さえて蹲ると食べたばかりの朝食を僅かに吐き戻した。


「うわっ、きったねー」


「また俺達に金を恵んでくれよな、五十嵐く〜ん」


 大笑いをしながら歩き去る不良たちの背中を蒼真は睨みつける。


 自分の吐瀉物で汚れた制服で登校するわけにもいかず、蒼真は自分の口元を制服の袖口で乱暴に拭い去る。


 地面に打ち捨てられた財布を手に取り、財布に付着した土汚れを払いのける。


 まだ幼い頃に亡くなった父に買ってもらった使い古した財布を胸に握りしめる。

 

 ふと見上げた視線の先、竹が生い茂る林に、元は朱塗りだったろうボロボロの鳥居と今にも崩れそうな小さな祠が目についた。


「あれ? こんなところに祠なんて有ったか?」


 通い慣れた通学路に突如現れた祠にフラフラと引き寄せられるようにようにして蒼真は境内に足を踏み込んだ。


 ほとんど無意識に草が生い茂る参道を抜け、導かれるように僅かに光る祠の中に手を伸ばす。

 

 手に触れたのは漆塗りの美しい朱塗りの箱だった。


 蒼真は朱塗りの箱を抱えると、境内を抜け、気が付けばいつもの通学路へと戻ってきていた。


「はっ!? 戻さないと」


 これでは泥棒になってしまうと鳥居があった筈の竹林を振り仰ぐも、あった筈の鳥居が見当たらない。


 グルグルと周囲を捜索したが、鳥居を見つけることは出来なかった。

 

「はぁ……とりあえず家に帰ろう……」


 箱を抱えたまま、仕方なく家に持って帰り、誰もいない真っ暗な自宅に電気をつける。


 今日も母は仕事で遅くなるらしい。


 母親と寝起きを共にしている部屋にある自分のベッドに箱を置いて泥だらけで異臭を放つ制服を脱ぎ、もみ洗いした後に洗濯機にかけて、自分はシャワーをあびる。


 風呂場に設えられた鏡に映る自分の腹は殴られた場所が見事に紫色に変色してしまっていた。


 シャワーだけで風呂を上がり、救急箱から湿布薬を取り出して貼り付ける。


「ッ、冷てぇ」


 身体に貼り付けるたびに湿布の冷たさに身悶えながら、二枚ほど貼り付けた。


 ドサリとシングルサイズのすのこベッドに重い身体を投げ出して嘆息すると、蒼真は朱塗りの箱を手に取った。


 箱の中には習字に使うような立派な絵筆と四つに折り畳まれた和紙が入っている。


 和紙にはまるでミミズでも這ったような達筆すぎて判別不可能な文字が書いてあるようだ。


「読めねぇ……」


 和紙を箱へ戻しリュックサックへ放り込むと、蒼真は筆を手に取った。


「変った筆だなぁ……」


 空中に筆を走らせると、キラキラとした光を放ち空中に一本の光の線を描き出した。


「キレイ……」 


 気が付けば蒼真は夢中で空中に筆を走らせていた。


 美術部……ほぼ極彩色のカードゲームに出てくるような美少女の妖精やかっこいいドラゴンからスライムなどの各種幻獣や魔獣などのファンタジー生物を初め、美しく気高いエルフや力強いドワーフ、獣のような耳や尻尾が生えた獣人など夢中で描き続けた。


 描いた絵はまるで生きているように動き出し、次第に透明な身体はゆっくりと色を付け実体を伴い、最後は触れ合えるほどまで成長した。


 サイズは絵のままの大きさなのがデフォルメされているようで愛らしく、傷付いた蒼真の心を癒やしていく。


 どうやら殴られたみぞおちが熱を持ったようで蒼真は寝込んだ。


「ただいまぁ……蒼真?」


 どうやら仕事から帰宅したらしい母がベッドで横たわる俺の顔を覗き込んだ。


「おかえり」


「あれ、もしかして具合い悪いんじゃないの? 大丈夫?」


 熱を測ろうと蒼真の額に伸びてきた手を反射的に払い除けた。


「チッ、大丈夫だから触んないでくれる? ウザいんだけど」


 高校生にもなって母親に心配される自分が恥ずかしくて舌打ちしてしまう。


「そっ……そう? ごめんね……もし具合が悪いようなら病院一緒に行こうか?」


「子供じゃないんだ、病院くらい一人で行ける」


「そうね、じゃぁ明日は学校を休んでもし治らないようなら、病院行くのよ? 病院代は置いて行くから」


「……あぁ」


 母に背を向けるように寝返りし、被っていた毛布を頭まですっぽり隠れるように引き上げて素っ気なく答える。


 何度か母が振り返った気配を感じていたが、無視すると部屋を出ていったのか静かに部屋の扉が閉まった。


 痛む腹を抱えて身体を丸めると、母の帰宅に姿を隠していた妖精が毛布を持ち上げて蒼真の額に小さな唇を寄せると、痛みが引いた。


「主様、痛くない?」


 ベッドに立ち心配げに蒼真の顔を見上げながら首を傾げる妖精の小さな頭を人差し指で優しく撫でる。


「あぁ、君のお陰で痛くなくなったよ。 ありがとう……」


 体力を消耗していた蒼真は、そのまま睡魔に身を任せた。


 翌朝目が覚めると、太陽は既に高い位置まで上っている。


 時計に目を向ければ既に十時を回っている。


 母はもう仕事へ出たのか、居間のテーブルの上には母が用意してくれていたらしいラップの掛けられた蒼真の朝御飯と、病院代らしい一万円が置いてあった。


 今は腹が空いていないので、朝食はあとで食べようと放置する。


 一万円を手に取るとその下に置かれていた二つ折りにされた紙がヒラリと蒼真の足元に落ちた。 


 蒼真が拾う前に、昨日描いた小さなドラゴンが口で咥え、蒼真の顔の前まで飛び上がり差し出してくる。


「ありがとう」


「キュイ」


 紙を受け取り礼を述べるとドラゴンは小さく嬉しそうに鳴いて蒼真の周りを飛び回った。


「ちょっとコンビニまで行ってくるからみんな良い子で待っててくれよな」


 母から預かった一万円と紙をリュックサックの中の財布に入れる。


「よっと!」


 勢い良くリュックサックを背負うと玄関に座り込み靴を履く。


 リュックサックのチャックの隙間から妖精やドラゴン等が数匹忍び込んだのにも気が付かず、玄関の鍵をかけて家を出た。


 コンビニで炭酸ジュースを買い、店を出る。


「五十嵐く〜ん」


 背後から聞こえた声に身体が本能的に強張った。


 走って逃げようとしたが、直ぐに周りを取り囲まれた。


「五十嵐く〜ん、ジュースなんて買っちゃってお金持ち! 俺達が使うの手伝ってやるよ」


「嫌だ!」


 奪われそうになったリュックサックを抱き込み守る。


「はぁ? ナマイキなんだよ」


 脇腹に不良の蹴り上げた足がメキメキと嫌な音を立ててめり込んだ。

 

 呻き地面にのたうつ蒼真の胸ぐらを掴んで無理やり立たせると男はニヤニヤと顔を愉悦に歪ませる。


 何も抵抗できない自分が嫌いだとおもった。


ーーこんなつまらない平凡な日常も、自分より弱いものをいたぶる人間も全て消えてしまえば良い……ーー


口の中が切れて血が滲む。


「もう沢山だ! こんな世界壊れてしまえばいいんだ!」


 蒼真がそう叫ぶと自分を掴んでいた少年の頭部が消え失せた。


 生暖かな鮮血が蒼真の全身に吹き出し、辺りを鉄臭い匂いと真っ赤に染めていく。


 糸が切れたあやつり人形のように崩れ去った不良の身体が蒼真の重みを支えられずに地面へ倒れ込む。


 何か起きたのか理解するよりも先に蒼真の前に現れた小さかった筈のドラゴンが巨大化し、不良少年らをつぎつぎと咬み殺していく。


 突然現れた巨大なドラゴンに偶然居合わせた通行人が悲鳴を上げるはじめる。


 街は突然現れた生き物に恐怖のどん底へ落とされた。


『わが主の願い聞き入れた』


「まっ……待っ」


 静止の言葉は聞こえなかったのか、低く唸ったドラゴンは翼をはためかせて飛び上がると蒼真を置いて何処かへ飛び去ってしまう。


 生中継で最寄りの大きな政令指定都市へ行ってしまったことを知る。


「止めなくちゃ」


 何とかして止めなくちゃと震える足を叱咤して、後を追いかけるために家にかえると、自宅が瓦礫とかしていた。


「なっ、なんで?」 


 自宅の前に停められた車、それは出勤し自宅にいない筈の母の車……


「蒼真君っ、良かった無事だったんだなっ、まだお母さんが中に居るんだっ」


 騒ぎを聞き付け、何人もの近所の人達が懸命に瓦礫を取り除こうとしてくれている。


「うそだ……ウソだっ嘘だっ!!」 


 自宅であった筈の瓦礫を乗り越えて、蒼真は一心不乱に崩れ去った自宅の残骸を掻き分けていく。


 指や手が傷付き、爪が剥がれる。


「いっ居たぞ! まだ生きてる!」 


「母さん!」


 誰かが通報してくれていたのか、遠くから救急車のサイレンが近づいてくる。


「一体何かあったんですかっ!?」 


「わからん、いきなり何かが大量に蒼真君の家の屋根を突き破って飛び出して行ったと思ったらいきなり崩れたんだっ」


 大量に何かとはもしかして……


「この患者さんのご家族の方がいらっしゃいましたら同乗お願いします」 


「はっ、はい!」


 自宅の前に到着した救急車に母を乗せた救急隊員の声に小走りに近づき、後部ドアから車内へ乗り込む。


 酸素マスクを着けられ、色々な機械に繋がる医療機器に繋がれた母の姿。


 突然巨大化し不良達を食べてしまったドラゴン……なら家を全壊させた何かとは、蒼真が作り出した者達が原因なのではないだろうか。

 

 病院へ到着すると、母はすぐにストレッチャーで集中治療室まで運び込まれた。


「ご家族の方は廊下の待合室でお待ちください」


 そう看護師さんに言われて、母が乗るストレッチャーを見送り蒼真の前で治療室へと続く白い扉がしめられた。


 リュックサックをあさり筆が入っていた箱を取り出すと、パサリと白い紙が廊下へ落ちた。


 4つ折りにたたまれた紙を拾い上げ、広げる。


『蒼真へ

 具合い大丈夫? お母さん今日は職場に顔を出したら直ぐに帰ってくるから一緒に蒼真の好きなオムライス食べようね?

              美枝子』


 母からの手紙に涙が溢れた。 


 

 母親が居るのが当たり前、変化が無い退屈だと思っていた当たり前の日常が一番幸せだったと気が付く。


 大切に手紙を折り畳み仕舞うと、問題の箱に手をかけた。

 

 和紙を睨みつけ読める文字を拾い集める。 どうやら漢文のようにして読むらしい。


 ようやくすれば術者の人生全てを作り出した魔物に捧げ、魔王となれば、すべての魔物は少年に従うという内容だった。


 産み出した魔物は消えず、きぞんの種と共存していくことになる。


「フェアリー」


『はい主様』


 蒼真の声に姿を隠していた妖精が姿を表した。


「俺が魔王になったら母は、助かるの?」


『はい、既に死んでしまった者は復活できませんが、母君の治癒は可能です。 しかし、魔王となればこの世の理からは外れますから、この世から主様が存在した記憶が消失致します』


 この世界の全てが蒼真が存在した記憶を失う、勿論蒼真を産み育ててくれた母も……


 蒼真は、看護師さんに許可を取り、応急処置がすんだ母親の枕元に立った。


「母さん……」 


「……そ……そうま?」


 目を覚ました母は、ぼんやりと蒼真の頬へと手を伸ばしてきた。


「そうだよ」


 母の手を取り自分の右頬に当てる。


「蒼真、具合は? 怪我はない?」


 包帯だらけで、蒼真の心配ばかりする母にゆっくりと首を振った。


「大丈夫だよ。 母さん……側にいるからゆっくり休んで?」


 蒼真の言葉に安心したのかまた眠りだした母の身体に毛布をかけ直す。


「フェアリー、俺は魔王になる。母さんを治せ……」


『御意』


 そう告げると母の寝ている身体の上を妖精が飛び回り、羽から鱗粉を全身へふりかけると、母の身体が淡い光を放ち母の呼吸が落ち着いた。


「母さん、俺を産み育ててくれてありがとう……愛してる」


 蒼真はそう告げると、母の額に魔王となった息子から祝福のキスを贈り病室を出た。


「五十嵐さん、良かった目が覚められたのですね? おかげんはいかがですか?」


 ナースセンターに鳴り響いた患者の急変を知らせるアラームに美枝子の部屋へと駆け込んだ看護師は、ベッドに身体を起し、月明かりが差し込む窓を見つめる美枝子に近寄り声を掛けた。


 崩れた家屋の下敷きになって病院へ緊急搬送されて来た。


 女性には亡くなった旦那さん以外の家族は居らず、近所に住む青年の付き添いで救急車で搬送されてきた。


 青年は直ぐに病院を去ってしまった為、誰か保証人となる人は居ないか目が覚めたら確認する予定でいた。


 しかし家屋の下敷きになった際に重傷をおっており、下半身はリハビリをしても車椅子無くては生活できないだろうとの医師の判断だった。


 美枝子はベッドから立ち上がると、ゆっくりと看護師に近づくと、不安げに首を傾げた。


「ここはどこですか? 私はどうしてこんなところに……」


 本人は気が付いていないのかもしれない、静かに涙を流しながらそんな事を言った美枝子の様子を訝しく思いながら、看護師は事情を説明する。


 美枝子の傷を確認した看護師は、あり得ない事態に混乱した。


「あり得ない! 怪我が綺麗に無くなってる!」


 奇跡としか思えない回復力に看護師は医師を呼ぶため病室から駆け出していった。 


*****


「フェアリー、他の者たちを集結させられるか?」


『可能です主様』


 地球上の何処かでこの作り出した生き物たちと生活していくにも、すでに既存の大地は利用できないだろう。


 病院の屋上へ移動した蒼真は、即席でロック鳥と呼ばれる巨大な鳥を筆で描きだすと、その背中に乗り込んだ。


 既に夜、月明かりと星が瞬く空をロック鳥と飛ぶ。


「場所は、太平洋のど真ん中、広さは……オーストラリアくらいで……」


 ブツブツと呟きながら目をつぶれば頭の中に太平洋の真ん中と思われる海上の景色が浮かぶ。


 イメージを言葉にしながら取り出した筆を動かすと、海面上を巨大な筆が島の形を形成していく。


 突如としてあらわれた大陸に世界各国がどよめいた。


 どの国の所有でもない新大陸の出現に、世界各国が戦闘機をスクランブル発進してきているようで、まだ出来上がっていないにも関わらず、大陸の周りを飛び回っている。


 この新大陸の覇権を巡り世界中が荒れることだろう。


 しかしこの大陸は魔王である蒼真が創り出した大陸。


『主様、皆海に集まっております』


 妖精の言葉にしっかりと頷くと、一度だけ故郷を振り返る。


 眼前には無数の獣や翼竜、亜人があつまっていた。


「ひとりも欠けることなく我らの大陸を……魔大陸を目指す、俺に続け!」


 鼓舞する声に大地を震わせるほどに大きな咆哮が答えた。


 自ら飛ぶことが出来ない種族は、翼竜などの背や蒼真が創り出した巨大な移送籠で魔大陸を目指して一斉に飛び立った。


 新大陸を巡っての魔王蒼真率いる後に魔族と欲深い人間との生存戦争、第三次世界大戦の火蓋が……切って落とされた。 




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