④五歳になりましたよっと
お久しぶりです(大遅刻)
いやはやプロットも設定もなしに書いてるんですが
メチャメチャでも程々に楽しんでくれればなって思います
「おい、テオ!!」
「はい?お呼びですか?殿――」
めしゃり
お久しぶり。
私はこの世界に転生してズバリ五歳になった。
当然、ギルベルト第一王子殿下も五歳になられた。
に も か か わ ら ず だ
1カメ 笑顔の殿下
2カメ 振り向く私テオフィル
3カメ 雪団子を投げつけられた私の顔面
4カメ 私の顔面に雪団子がめり込み大の字で倒れる
5カメ 笑顔の殿下 プライスレス
「ハハハ!テオ、こんな雪球も避けられないのか?」
「…ふぅ……殿下?私は殿下が先ほど汚されたコートを畳んでいたのですが。」
「そのようなことはそのへんの侍女にやらせておけばいいだろう?」
「これ一着で平民が何年生きていけると思ってるんですか」
「俺は王族だからわからん」
「分かれ」
「分からんもんは分からん。テオ敬語外れてるぞ」
「は…失敬。あまりにも殿下の脳みそがマシュマロ以下で…私も素が……」
「なあ、お前貶してるだろ?自分の主、貶してるだろ?」
「いいえ決してそのようなことは」
「あるだろ」
「まあないとは言いません」
「そこは嘘でも"あるはずございません"って言えよ」
「言って欲しかったんですか?」
さて五歳ともなればヤンチャなお年頃。
現在はメッシリ詰まった王になるべく教育の時間の合間でござい。
殿下が「折角雪が積もってるのに遊びに行けないなんて」と嘆いて授業が進まなかったのもあるが。
休憩と称してギル様と私は庭園の隅っこでこうして雪遊びを洒落込んでいた。
因みに畳んだコートはいつの間にかセバスさんが回収している。
執事有能ぇ……
周りの人間は殿下のことを甘やかす。
明らかに口先だけのリップサービスの雨あられだ。
最初のほうこそ喜んでいた殿下もさすがにここまで来ると不審に思ったらしく、ある日たずねてきた。
『なあ、俺って本当にそんなに凄いやつなのか?』
…と、生まれてこの方ずっと傍にいる私に聞いてきたのである。
だがギル様よ、聞く相手を間違えたな?私は本当のことしか言わんタイプの人間だぞ。
『殿下が凄い?それは授業は逃げ出すし衣服は着崩すし、悪い意味では凄いと思いますよ』
と―――――
いや急に聞かれたから本心でつい答えちゃったのもあるが
言いすぎたかなーーーと思って「いえでもですね」と言い繕おうとしたら言ったのだ。
『やっぱ、あいつら嘘吐いてたんだな』
ぽつりと呟くように。
残念、というふうもあったが大半を占めていたのは納得。
なんでも「テオは絶対嘘吐かないから」とのこと。ちったぁ疑えよ未来の王。
閑話休題。
まあそんなこんなで。
周りの人間の嘘と本当を見抜くことが出来るようになった殿下五歳。
従者として中々様になってきた宰相の息子である私テオフィル五歳。
六歳になったら訪れる社交界デビューまでは急がしながらも楽しく生きています。
「何ぼーっとしてるんだ?テオ」
「いえ、来年には殿下も社交界デビューなのにこんなんで大丈夫かなぁ…と」
「テオ以外の前ではちゃんとしてるだろ」
「私の前でもちゃんとして欲しいものですが」
「本当にしてもいいのか?俺がキッチキチな感じでお前に話しかけたとこ想像してみろよ」
「………う、ないですね…」
「だろ、っていうかテオも来年には社交界出るだろ」
「あーそうでしたね、殿下の従者として出ると思います」
「宰相の息子としてじゃなくてか?レイモンドが泣く顔が浮かぶぞ」
「とか言いつつギル様は嬉しそうな顔ですけど」
「ばばばっばっかそんなわけないだろ!俺は別に一人でもいいし」
「なら私は父上とに変更し―――」
「――なくても別にいいんじゃないかと思うぞ」
「…素直じゃないですね」
「お前が言うなよ」
「はて?」
「とぼけやがって…」
などと言い合えるような仲になっている。
因みに殿下は今のところ熱心に勉学に励んでおられる。たまに逃げるけど。
自堕落予定だけど、それは婚約者にうんざりして王とかどうでもいいやって逃避したからだっけか?
リアルを生きてるキャラと二次元だったキャラを比べる行為は経験上、参考ぐらいにしかならない。
今の殿下は少なくとも、五歳にしてはよくできた王子殿下だと思う。
「ギルベルト殿下、テオ様、そろそろ次の授業のお時間になります」
ヌッと気配なく後ろに現れたセバスにめっちゃ驚く。
サーチ系の魔法を使えば分かるんだろうけど王宮内の結界に気付かれるし。
超能力でも似たようなのはあるんだけど神経使うから常時展開はしてらんないし。ぶっちゃけ王宮内安全だし。
とか心の中で言い訳しつつ
ぶーぶーコールをあげる殿下の襟首を捕まえてセバスさんの後ろを行くのであった。
「さあ殿下、次はマナーレッスンですよ」
「いやだァァァァァ!!カルメラ夫人だろ!!!あの人怖いんだよォォォ!!!!」
「黙らっしゃい」
「ぐべあ」
「殿下は行けそうですか?テオ様」
「問題ありません、ついた頃には覚醒するはずです」
「いつ見ても見事なお手前で」
「いえいえセバス様に比べれば私など」
「うふふふ」
「うふふふふ」
「「ウフフフフ」」
ちなみに、セバスとの白兵模擬戦は最初こそ負け続けたものの、今では引き分けが続いている。
「ではカルメラ夫人のところへ出発しましょう」
従者として、主を一人前にしないといけないですからね!!!!!
テオ「別に楽しんでなんかいないですよ」
ギル「ダウト」