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③王子様はやっぱクソイケメン

何も考えずに書きました。

そう、何も。ぐだぐだということは作者が一番わかっているのです。





歳相応の振る舞い。

それは慣れないと屈辱だろうなと私は思う。


オムツを変えられるとき。

母乳を与えられるとき。


まあ、一般的にこういう行為。

知性があり恥じらいを持つ生き物であれば本能的に拒絶するのだろう。

しかし、どうだろう。転生慣れした私からしてみれば恥などない。


最早、無心である。

やや愛想のない子供ぐらいの扱いで今世の私…テオフィルは三歳になった。

まあ、その間にもラブラブ両親は推定妹を身篭っているわけだが。



「ははうえ、ちちうえはおしごとですか?」

「そうよ、王様のお仕事を支えるためにお父様は今お城にいるの」

「ちちうえは、めしちゅ、つかい、ですか?」

「いいえ、部下…うーん……お手伝い。王様のお手伝いをしてる此の国で二番目に偉い人よ」

「ちちうえ、えらいひと?」

「ええ、とっても立派な人よ」

「ははうえは?」

「私は昔は城仕えの魔道士だったけれど、今はテオのお母様ね」

「もうすぐ、あかちゃんって、ミーナがゆってましゅた」

「えっ、ミーナ…あの子は仕事は出来るけど口が悪いのがいけないわね……」



まあ、舌足らずなものの母親とのコミュニケーションはしている。

サ行の難しさよ。頑張ればいけるんだけどね。今は屋敷だからね。問題ないのだ。

数代前の地球日本ゲームの乙女ゲームの舞台と知ったときから情報収集に余念はない。

それも、王子の名前を聞かされるまで気付けなかったという不覚よ……異世界は有触れているから。


VRMMOのときもあれば乙女ゲーでもあり国民的RPGかと思えば全く知識にない異世界なんてザラ。

実はこの世界、数百年前に転生済みだったりする。名もなきモブで盗賊をしていた。

世界の成長に子供が大きくなった感覚で感心できるって私は本当に今人間なのか本当に分からない。


こうして両親に愛想を適度に撒きつつ現在の情報整理のため眠いふりをして会話を終える。

母はフローラ・フォン・シーラッハ。我が国の宰相である父、レイモンド・フォン・シーラッハの良き妻である。貴族の見本だ。

眠そうにすれば優しく抱きかかえてベッドに寝かせてくれるあたり、素晴らしい人だ。


まあ、歴代の母にモンペがいたことは記憶から追いやったさ。



とりあえず情報整理。

この国はカースレスト王国。

父は宰相。母は元宮廷魔道士。そして国王はアドルフ王。私が生まれた二日後に第一王子のギルベルト様が生まれたらしい。テオフィルと同い年だ。王妃はレティシア様。隣国の三女のお姫様だったと聞く。


そしてまあ。



「ふふ、眠そうね」

「…ははうえ、ぼくも、おーさま、てつだいましゅ」

「ええ、貴方は来年になったら王子殿下の従者としてお手伝いになるかしら」

「おーじ、ギル?ぎるの、じゅうしゃ?」

「そうね…良き友であり、良き従者になるのよ」



舌足らずなのは仕方あるまい。

ギル、と呼んでいるのは既に非公式で王子殿下と会った事があるからだったりする。



そう、それは私が生まれて数ヵ月後の話だ…

父が困った疲れたゲッソリ顔で屋敷に帰宅してきた………

後ろに国王と王妃とゼロ歳である第一王子、護衛数名をつれて。



いや、あのときは赤ちゃん言葉で「はぁ!?オメ、国王!!王妃!!おい!!国の重鎮たちよぉ!!!」と叫びそうになったのをすんでのところで堪えたものだ。


「来ちゃった」とてへぺろ顔が似合いそうなまさかの父と同い年の青年っぽい王様。

「ごめんなさいね」と困惑母に謝るほわほわ美人王妃。

「申し訳ございません、宰相殿…」護衛たちがめちゃくちゃ丁寧に謝ってた。



そんな中で、どっちかというと王妃似のイケメン有望の赤子(自分もだが)がいた。

そう、ギルベルト様である。

しかしこのときギルベルト様、当然だが喋れるはずもなく。


「あうあう」


初対面でポカン顔をしていた私の頭をべしっと叩いて笑っていた。

出会って第一声がこれである。普通の子供なら泣き出すだろうが私はまあ驚いただけだった。


周囲が「ギルベルトが笑っただと…私には笑わなかったのに…」「あらあらまあまあ」「うちの子を叩くなど王子だろうが許せn「赤子のやることですわ、貴方」などと騒いでる中。


その王子の双眸に宿る才覚を察した私は、笑い返した。

また私も笑わないタイプの赤子であったため、周囲がまた騒ぐ。

「テオフィルが笑った…?私相手にはいつもほぼ無表情なのに…」「貴方は強面ですものね」「ふむ…聡明な赤子だなレイ」「アドルフ様、目が仕事モードになってますわよ」



そんな大人たちを傍らに王子と私の目が交差する。



気に入らなくても仕えるつもりではあったが、その王の資質の欠片を見せる双眸を見て聡明なお子様だ、と思った。ひとのことを言えんが。



この王子になら、今世の私を捧げても良いだろう。

私は王子に仕える覚悟を生まれて数ヶ月で決めたのだった。



そんな覚悟を密かにしていることを、周りが知る由もないが。

……多分。










しかし赤子の才覚を見抜くことは出来たのだろうか。王様。

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