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②どうせまた異世界だろうと思ってたさ

久し振りに更新しました。

うん、試験?あ、聞かないでいいです。

私はね、ヒトとは勉学に囚われて生きるべきではないと思うんです。

例えば心が綺麗とかね、うん。何が言いたいかって勉強できなくても生きていけるよ人間だもの。




温かい羊水から排出される感覚にも慣れてきたか。

まだ色が認識しにくい赤子として〝今世〟初めて吸った空気。

恥も外聞もなく泣き喚くことが出来る特権をもつ状態で私は産声を上げた。



「奥様、生まれましたよ!」

「ああ、なんて愛らしい男の子でしょう!」

「良かった…男児が生まれたのね……私にも抱かせてくれる?」

「もちろんです、奥様」



ふわり、と抱き上げられた。

見上げた母親の髪はプラチナブロンド、目は翡翠色だった。

とても綺麗な母の元に生まれたのか、今回は男子として…そして恐らく異世界。

赤子らしく振舞っているが、異世界転生に良い思い出はあまりない。

そして美人から生まれると悪い思い出になるのは決定事項ぐらいの印象だ。



「まあ…目を開けたわ」

「本当、旦那様の紫紺を受け継いでいらっしゃる…」

「まるでお人形のようですわ」

「髪は私と同じ色ね、きっと素敵な子になるわ」



嬉しそうに赤子、私についての話に花を咲かせる女性たち。

それを嗜めるように年配の女中が「旦那様がお見えです」と強制的に母を休ませる。

私は赤子らしく丁寧に扱われ寝かせられた。

母のベッドの隣にだ。


「生まれたのか…」


少し掠れた低音、男性らしい声が聴こえる。

恐らく旦那様と言っていた人物だろう。


「ええ、貴方と同じ紫紺の瞳よ」

「髪はお前と同じか、赤子ながら真摯な目をしている」


厳しい顔をした男性が私を見て顔を綻ばせる。

どの世界でも親馬鹿というのは存在するらしい。

まあ、真逆のパターンもあるので嬉しいと言ってもいいのだろう。


「宰相の息子だからかしら?」

「私とお前の子だからに決まっているだろう」

「あらやだ」


いちゃいちゃするのをやめてくれんかね。

それを言えない赤子だ。


「名は決めてあるんですか?旦那様」

「ああ、この子の名はテオフィルだ」

「ではいずれ、テオフィル・フォン・シーラッハになるのかしら」

「それは、此の子次第だな」

「まあ、実の子にも厳しいのね」

「国を担う宰相になる器を生まれたばかりの赤子はまだ持つまい?」

「そうね、それに丈夫に育ってくれることが第一だわ」

「……そういえば、男児が生まれたのなら第一王子の従者にとアドルフのやr…王が言っていたな」

「貴方、仮に王に野郎はないと思うけれど」

「旧友の頼みとは言えど…いやしかし、まだ王子とは限らんか」

「レティシア王妃の出産はまだなの?」

「ああ、だが大分暴れるようでな、王子が生まれると噂はよく聞く」

「そう……従者教育もしなくてはならないのね」

「此の子のためだ、多少は厳しくても…此のときばかりは私とお前が貴族という縛りに囚われていることが重苦しいものだな」

「それも覚悟の上で、宰相にお成りになられたのでしょう?」

「ふ、お前には敵わないな、フローラ」

「レイモンド様が思うほど女は弱くはないのですよ」

「ああ、まったく、その通りだ」



うん、私が寝ていると思っているのか重大な話を生まれてすぐか。

ちょっと心を落ち着かせるクールタイムが欲しかったところだぞ父と母。

情報収集を少しでも、と状態異常・睡眠無効を使っていた私は当然すべて聞いていた。

なんというか生まれて数時間で己の生まれた立場と名前と従者になる云々決まってるなんてね。

まあ、問題あるまい。碌な食事も与えられずスラムで人殺しする生まれでないだけマシだ。

他の人生で培った従者としてのあり方との違いをすり合わせれば大抵いけるはず。



……って思ってても死ぬのが私なのだが。



まあ、どうせ死ぬ運命。

その第一王子とやらのために命を懸けて差し上げよう。


死ぬのは怖くない。

だが「死」までの道のりは未知。故に怖い。


生きることが怖いのだ、私は。

そういえば前世の佐藤は「お前って生きてる目してないよな」が口癖だった。

言い得て妙というべきか、私は正に生きている間は死んだような心地をしているのだろう。

そして死ぬと分かる瞬間にやっと、という一瞬の「生」を噛み締める。


中々親しくなれた友人に思いを馳せながら

赤子の体力ではそろそろ魔力が切れるので、まどろむ眠気に身を預けた。








まだ此の時点で主人公は乙女ゲーだとは気付いてないです。

あとご都合主義というか、数歳すっ飛ばしとか普通にあると思います。

再三申し上げますが不定期更新。亀かめ更新。申し訳ござらんです。

ここまで見てくださった方には感謝を。

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